「セックスは心でするもの…」乳房、卵巣を失った人妻の甘美な気付き #5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-03-01 06:00
投稿日:2024-03-01 06:00

潤滑ゼリーも持ってきたなんて

――香織さん…そろそろ、いいかな。あまりにも気持ちよくて…。

 挿入を求めてきたのは彼からです。私も、早く一つになりたい気持ちでいっぱいでした。

――ええ…早く欲しい。

――待ってて。ちゃんと着けるから。

 そう言って、自らベッドサイドに置いた避妊具を着けたんです。改めて彼の優しさやリスク管理に感心しましたね。

――念のために、潤滑ゼリーも持ってきたんだけど…。

――えっ?

 驚きました。彼、コンドームだけではなく、性交痛を防ぐためのゼリーも用意してくれていたんです。

――香織さんには苦しい思いをさせたくないから。

――ありがとう。もし、つらくなったら言うわね…。

 優しさあふれる彼の言葉に感激しつつ、私は『早く抱かれたい』と囁きました。彼がゆっくりと入ってきた時、あふれる優しさに泣きそうになりながら、熱く硬い男の象徴を受け入れたんです。

慈愛に満ちたセックス

――ああ…嬉しい…。

 あまりの感動と心地よさに彼の背中に回し、ギュッと抱きしめました。

――痛くない?

――大丈夫。すごく気持ちいい。

 私は細めた目で彼を見つめました。

――ゆっくり動くね。

 彼が徐々に腰を前後させると、ヒダがペニスに絡みつき、甘美な摩擦がもたらされたんです。これまで経験した激しく情熱的なセックスとは違う、優しく慈愛に満ちたセックスでした。

 エロスを求めるより、ひとつになれた悦びを分かち合う心から安心できるセックス…今さらながら『セックスは体ではない、心でするものだ』と感じてしまって…。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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