“リアル峰不二子”と運命の出会い。俺どうする?局部のコンプレックス #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-09-03 13:55
投稿日:2024-06-28 06:00

「リアル峰不二子!」の声にドキドキ

――お父様が元気になられて良かったですね。続けてください。

「社長業にも徐々に慣れていきました。社員たちがファミリーのように仲が良く、人間関係に悩まなかったのもありがたいですね。父が築いた会社は本当に素晴らしいと、今さらながら再認識したものです。

 玲子さんも社員たちと打ち解けて、時々、女性社員と日帰り温泉に行くこともあったようです。

 休み明け、女性社員たちが『びっくりしたわー。玲子ちゃんたらナイスバディなのよ!』『まさにリアル峰不二子!』なんてはしゃいでいて、男性たちのほうが『こら、逆セクハラだぞ』なんて困ったように笑っているんです。僕もドキドキしました。

(ああ、仕事中だよ…マズい)

 パソコンの前で、僕は腹に力を込めました。難解な数式を思い浮かべたり、歴代総理の名を羅列したり…。そうでもしないと下腹が熱くなっていく。あの時ばかりは、サイズのコンプレックスなどそっちのけで、必死に肉体コントロールに努めましたね(笑)。

会社の飲み会で急接近

 彼女と一気に距離が縮まったのは、会社の飲み会です。以前から『社長就任祝いと玲子さんの歓迎会をしよう』と言われていたので、近所の居酒屋で会を開いたんです。

 普段から仲のいい連中ですから、飲み会も楽しくてね。特に玲子さんは飲みっぷりも良くて、カッコいい! 女性らしいんだけれど、どこか男が惚れる男の部分もあって、その時、ふとこう思ったんです。

彼女なら、傷つけるようなことはしないのでは?

(玲子さんだったら、僕のコンプレックスを打ち明けても、励ましてくれそうだ)

 あの屈託のない笑顔やスーパーポジティブな性格、仕事では迅速に正確にこなす聡明さ――彼女なら絶対に僕を傷つけるようなことはしない。

 宴会もお開きになりそうな時、彼女と居酒屋の狭い廊下ですれ違ったんです。

――社長、お疲れ様。楽しくて飲みすぎちゃった。

 化粧室から出てきた玲子さんは頬を紅潮させて、笑みを浮かべてきました。タイトスカートから伸びた脚がちょっとふらついていて、

――玲子さん、危ない。

 思わず腕を引き寄せてしまったんです。すると、彼女は僕の胸に頬をうずめてくるではありませんか。

(えっ)

 胸が高鳴りました。甘い香りが鼻先を揺らぐと、

――社長、やっぱりいい体ですね。ますます好きになっちゃいそう。

 酔ったせいでしょうか、玲子さんは僕の胸や腹あたりの筋肉をさすってきたんです。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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