“ママ活”マンガ 男性用と女性用を読み比べたら全然違った

内藤みか 作家
更新日:2020-05-20 11:23
投稿日:2019-08-01 06:00
「ママ活」という言葉が盛んに使われるようになったのは、2018年後半頃から。そこから半年ほどを経て、いよいよ「ママ活」をタイトルにしたコミックが増えてきました。数作出ているそのほとんどは電子コミック配信なのですが、男性用と女性用でかなり内容が違うので比較してみました。

イケメンが颯爽と現れる女性向けコミック

 今までも、ママ活という言葉すらありませんでしたが、人妻らが若い男にお小遣いをあげるという内容のマンガはたくさんありました。特にレディースコミック系に多いと思います。

 それらにほぼ統一されている設定は「イケメンで若くて可愛いから、こんな男の子とデート(もしくはエッチ)できるんなら、お金払っちゃうわ♡」というノリのもの。おそらくこれが女性の夢なのでしょう。

 出会いのきっかけは、マッチングアプリなどネットでのものが多いです。例えば『人妻転落 4 【私、ママ活始めます】』(美咲りょう・作)という電子コミックでは、愚痴ブログを書いている人妻のもとに「よかったらどうですか」と大学生から売り込みメールがやってきます。

 会ってみたらめちゃ爽やかなイケメンで、医学部なので賢そう。やがて彼とはカラダの関係に。さすがイケメン、エッチもお上手で、めくるめくときめきを味わった彼女は、すっかり本気になってしまうのです。

女性用はアンハッピーエンド多し

 けれど、こうした女性向けのコミックはハッピーエンドで終わるものは非常に少ないのです。なぜならば、お金を払っている関係だから。彼にお小遣いをあげたりプレゼントしたりしているうちに、すぐに財政が厳しくなってしまうんですよね。

 そして彼は決して「お金なんていらないよ」とは言わない。追い詰められた主婦の中には風俗のバイトに手を染める人も出るわけです。

 読み進めるにつれて、ヒロインは幸せになるどころか、どんどん堕落していきます。やがてはこのことが夫にバレて離婚を突きつけられたりと、なんだかリアル。「若い男をツバメにすると、こんな風になってしまうから、気をつけなさいよ」と戒められている感じがします。でも女性って情が湧いちゃう生き物だから、なかなか上手に遊べないのかもしれませんね。

男性用には男のロマンがてんこ盛り

 さて、では男性用コミックでは、ママ活はどんな風に描かれているかというと、女性向けとは全然違う内容なのです。それでは『はじめてのママ活』(みさおか・作)を読んでみましょう。

 まず、主人公の男性は童貞! 女性向けコミックにはあまりない設定です。そしてイケメンというよりは可愛い甘えん坊キャラ。お姉さま教えてモード全開な感じなのです。そして現れたお姉さまは美人で超巨乳! やっぱり男性はこういうビジュアルが好きなんですね。

 そしてなんとお姉様のほうからホテルに誘ってくれるのですからラッキーです。童貞で何もできない男子はお姉さまにめっちゃ攻められ、めくるめく時を過ごします。彼は何もしないマグロ状態なんですが、お姉さまが自分からどんどんいろんなコトをしてくれるので、超ラクチン。

 最後にはしっかりお小遣いまで渡してもらえるんですから、女性側からしたらそんなうまい話あるんかい!と突っ込みたくなります。まあ、男性が女性向けコミックを読んだら「イケメンとラブラブ? ありえねえ」と突っ込んでくる気がします。

男女の妄想は方向性が違うみたい

 こうして読み比べてみると、ママ活において男女の妄想にはかなりの開きがあるのがわかります。実際ベッドインすることになったら、お互いに「攻められたい」と思っているようなので、どちらが攻めに回るのか、その攻防も気になるところです。

 ただ、私の周囲を見ていると「男性にお金を出すのは抵抗がある」という女性がとても多いので、パパ活とは違い、まだまだママ活はマンガの中だけの世界、なのかもしれません。

内藤みか
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作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
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