イチジクの甘味がシメサバを引き立てる
「シメサバとイチジクをそれぞれ切って、盛り付けただけです」
江口さんが笑いながら説明した一皿は、カメラマンが「キレイ」とうなったほどで、「今回の撮影は、オシャレなツマミが続くんだろうな」とライティングの調整に力が入ります。それが切って盛り付けただけというから恐れ入ります。
「シメサバを一から作るのは大変でしょう。魚屋さんでできたものを買ってくればいい。味付けは、オリーブオイルとカボスだけです。店で出す一皿なら、それなりのドレッシングを仕上げますが、家飲み用のツマミならこれで十分。シメサバに塩分も酸味もありますから」
なるほど! イチジクはスイカやメロンなど代表的な夏の果物に比べて、甘味が穏やか。それが、独特のシメサバの酸味とウマ味を引き立てます。カボスでもスダチでもいいですが、果汁は惜しみなくたっぷり注いだ方がおいしいですよ。
「イチジクでなくても、桃やオレンジ、ミカンなど何でも合いますよ」
酒飲みは、概してやや濃いめの味を好みますが、あえて味付けは何も加えません。白ワインを飲みながら少しずつつまむと、サバやイチジクのウマ味や酸味が口の中で一体化。それぞれの素材の味わいが存分に生きているので、飽きずに食べられるのがうれしいところ。ひと手間プラスするなら皮目を軽くあぶるのもおいしかった!
【材料】2人前
・シメサバ 半身
・イチジク 3個
・オリーブ油 適量
・カボス 半分
【レシピ】
(1)シメサバは平切りに、イチジクは短冊切りに。
(2)キレイに盛り付けたらオリーブ油を回しかけ、カボスをたっぷり搾ったら、食材がなじむように和えて出来上がり。
本日のダンツマ達人…江口慶さん
▽えぐち・けい
白金のフレンチ「オザワ」や渋谷のイタリアン「バッカーノ」などで腕を磨き、2007年11月に独立。現在は、メリプリンチペッサの渋谷店のほか、銀座店、豊洲店、西荻窪店の計4店舗を手掛けるほか、渋谷のパッチョオイスターバーを経営。5店舗を運営するビッグスマイルの社長兼料理長。
▽メリプリンチペッサ渋谷店
牡蠣にチーズ、野菜、豚肉や牛肉など、食材はほとんどが広島の生産者から直送。石窯で焼く本格ピッツァが500円~と格安で、中でも世界一に輝いた広島・庄原の農吉モッツァレラを使用した、ピッツァD.O.Cは一日限定5食の人気メニュー。
東京都渋谷区円山町22―11
TEL 03・5456・9364
(日刊ゲンダイ2019年7月18日付記事を再編集)
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