プレイ後にお悩み相談 イケメンS男が抱える悲しいジレンマ

深志美由紀 官能作家
更新日:2020-02-05 18:33
投稿日:2020-02-05 18:30
 出会い系の中でもSMでのマッチングに力を入れていた時の話です。その男性は輸入関係の仕事をしておりなかなかのイケメン。スタイルもよく、趣味は格闘技という彼氏力の高い人でした。

「殴らないと勃起できない……」

 お会いしてみたところエスコートもスマートで話もお上手。私はドキドキしながら彼と一緒にホテルに入りました。

 ホテルに入ると、早速私に「服を脱いで俺の目の前に跪いて、頭を床に付けて」という彼。いう通りにすると、後頭部をぐっと足で踏まれて私の胸はキュンとときめきました。マゾなので!!

 そこからはめくるめくSMの世界が広がっていったわけですが、プレイ後にふたりでまったりとお酒を飲んでいると、彼がこんなことを言い出しました。

「俺、女の人を叩いたり殴ったりしないと勃起できないんだよね。でも、恋人のことは愛しているから暴力を振るえないでしょ。そうしたらセックスレスになっちゃって」

 なるほど……彼はサディストとしては大変優秀でありますが、いわゆる「ノーマル」な彼女とセックスをする際に困難が生まれているようです。

サディスティックな性癖と趣味の格闘技

 さらに話を聞いてみると、彼の趣味は格闘技だとか。

「人体がダメージを受ける場所とか、少しの力で骨が折れる場所なんかを知るのが好き」と彼は語ります。

 本人的には格闘技の趣味とSMを結び付けてはいないようでしたが、私が見たところ、サディスティックな性癖と格闘技というアイテムは濃密に結びついているように思いました。

 ちなみに、彼とはアナルセックスなどもしたのですが、よく慣らさないうちに挿入しつつこちらが痛がるのを嫌がるという不思議な主張を持った方でありました。どうやら、「無理な主張」を笑顔で女性に受け入れて貰うことに意味があるようです。なので、殴られても悲鳴を上げたりせず、笑顔で受け入れてくれるのが好きなのだとか。

 こういうのは本当に人それぞれで、泣き喚くのを見るのが好きというSの人もいるのではかり知れません。

 結局その後すぐに連絡が途絶えてしまったので彼が今どうしているかは分かりません。愛しているけれど、殴らないと勃起できない。愛しているから殴れない――そんなジレンマを抱える彼が幸福になっていることを望んでいます。

深志美由紀
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官能作家
集英社ノベル大賞佳作受賞にてデビュー。2010年「花鳥籠」
で第一回団鬼六賞優秀作受賞、同作13年映画化。新聞や電子書籍など、男性のみならず女性にも受け入れられる官能小説を多方面で執筆。著書に「ゆっくり破って」(イーストプレス)「美食の報酬」(講談社文庫)など。自他ともに認めるダメ男好きで、自らの体験を活かしたエッセイ漫画なども配信中。

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