一点をかき混ぜて分離を防ぐ
今回のお酒はウイスキーです。大きなロックアイスが、グラスにカランと当たり、おいしそうな音が響きます。
「僕が甘いものが好きなので、コース10品のうち3品はデザートです」
艶のあるチョコレートをスプーンで掘り起こすと、奥からナッツが姿を現します。ビターなチョコはじんわりと口の中で溶けて、ナッツはカリッと香ばしい。そのままウイスキーを口に含めば華やかな香りが充満して、余韻がふくよかに続いていきます。
「チョコレートに生クリームとバターを合わせる際に分離することがあります。それを回避するためのポイントは、かき混ぜ方にあります。全体をかき混ぜるのではなく、溶かしたチョコレートの一点をかき回しながら、混ぜた生クリームとバターを少しずつ入れることです。そのあとで最後に全体をかき混ぜます。こうすれば、それぞれの油脂が分離することなく、滑らかに仕上がります」
スイートチョコレートの場合は砂糖が多めで油脂が少ない分、失敗も少ないんだとか。初心者は、こちらから始めてもよさそうです。
【材料】
・ビターチョコレート 120グラム
・生クリーム 100グラム
・バター 20グラム
・ラム酒で戻したレーズン 少々
・軽く砕いたミックスナッツ 適量
【レシピ】
1. ナッツ、クッキー、レーズンを皿に敷く。
2. 生クリームとバターを弱火で温めておく。
3. 湯煎して溶かしたチョコレートに2を少しずつ入れて、1に流して冷やして固める。
本日のダンツマ達人…山下泰史さん
▽やました・たいし
調理師専門学校を卒業後、長崎、京都、パリで研さんを積んだのち、東京・恵比寿の「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」や西麻布「アムール」で鍛錬を重ねた。2016年、福岡市にガストロノミーフレンチ「TT0AHISU」をオープン。「何が出てくるかわからないから楽しみ」と、地元の人はもとより、海外や東京からの健啖家も多い。
▽トアヒス
メニューは「シェフお任せコース」のみ。正統派フレンチのコンソメスープはもちろん、郷土料理のうどん、パクチーなどのエスニック調も出す。カテゴリーはフレンチだが、あらゆる枠組みを超えた「Madein Japan」のガストロノミーレストランだ。福岡県福岡市中央区大手門3―12―12 BLDG64 1F。
(日刊ゲンダイ2019年3月30日付記事を再編集)
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