「蒸し」と「焼き」のいいとこ取り
甘鯛、金目鯛、真鯛など体表の赤い魚には、大体、甲殻類のソース(アメリケーヌ)がよく合います。生の甘鯛をジャガイモで包み焼くことで香ばしさが増し、味はもちろん、口当たりも良く、食欲が増します。理想はオマールエビの頭。なければ甲殻類の殻を軽く油で炒め、水に入れ、トマトかトマト缶をつぶしながら煮ます。
「甘鯛は焼いてももちろんおいしいのですが、やはり『蒸し』がいいですね。それもただ蒸すより、ジャガイモで包むことで『蒸し』と『焼き』のいいとこ取りができます。皮はパリッとした食感にさせるため、分けて調理します」
ジャガイモは千切りにし、蒸すか、レンジなら600ワットで20~30秒ずつ、様子を見ながら少し軟らかくなるまで温めます。皿にラップを敷き、ジャガイモの上に甘鯛をのせ、おにぎりを作る要領で茶巾に包み込み、冷蔵庫へ。そのまま半日冷やします。
「甘鯛の皮はオーブンペーパーではさみ、フライパンや耐熱性の皿などで上に重しをして焼きます。ジャガイモは中まで火を通して、表面に焼き色をつける。レンジでジャガイモを包む前の状態がうまくできれば、あとは簡単です」
フワッとしていて、マッシュポテトとはまた違った食感が新鮮です。
【材料】
・甘鯛 60グラム
・ジャガイモ 小1個
・金針菜 適量
・塩 適量
・アメリケーヌソース
・トマト缶 1缶
【レシピ】
1. ジャガイモをスライサーで千切りに。包丁で切るよりも断面が乱れてくっつきやすい。
2. 軽く塩をしてあえる感じでレンジで20~30秒ずつチン。
3. 粘り気が出たジャガイモ、甘鯛をラップで包み込み、冷蔵庫で半日寝かす。
4. 切り分けておいた甘鯛の皮、ジャガイモをそれぞれ焼く。
5. 金針菜をフライパンでさっと炒め、アメリケーヌソース、金針菜、ジャガイモ、仕上げに甘鯛の皮をのせる。
本日のダンツマ達人…一色幸作さん
▽いっしき・こうさく
神戸市灘区出身。中学生時代から寿司職人に憧れ、高校卒業後、辻調理師専門学校に進学し、和洋中料理を学び、最終的にフレンチを選択。神戸の「メリケンパークオリエンタルホテル」を経て、オーナーシェフのフレンチなどで修業を積み、2017年12月、芦屋の山手の閑静な住宅街に「Isshiki」をオープン。
▽Isshiki
カウンター10席ながら店内はゆったりとくつろげる空間が広がる。ランチは、前菜付きの生パスタ(1080円)と目玉焼きチーズハンバーグプレート(1290円)の2種類。夜は、アラカルトのみの本格フレンチ。近所に住む芦屋マダムで賑わっている。兵庫県芦屋市東山町2―6。
(日刊ゲンダイ2019年9月20日付記事を再編集)
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