ある夏の夕暮れ時のお客様
「あのぅ、お店まだやってますか~?」
太陽の暮れるのがすっかり長くなった、ある夏の日の夕暮れ。お花屋さんである我がお店、そろそろ本日営業終了のお仕度を始めたころ、やや暗くなり始めたお店の外から、ワタクシをどなたかが呼んでらっしゃいました。
ワタクシ「大丈夫ですよ~。なにかございますか?」
お客様「ちょっと、こっち来てもらえます?」
お客様に外へ誘導されると、店外にある雑多に集められた植物コレクションの中のある植物がどうやら気になっているご様子……。
そこは、お店のスタッフが「気になるもの」をやたらと集めてその生態を実験観察している、売る気のサラサラない植物ばかりを集めたエリア。特製の「ハス池」まであるので、花屋の店長が「猫」ってだけでも変わっているのに、妙に人慣れしたカエル達が「ゲロゲロ」と大合唱している、お店の外までオカシナ我がお店なのでございます。
「このお店の前を通るたび、ずっと気になってたんですけど」
お客様が指をさしたのは、お店の屋根ほどの背丈の高い木でございました。何を血迷ったか……ワタクシ、後先考えずに大興奮で仕入れて弊店の輸送トラックに入らず、配送スタッフに「もうちょっと考えろよ!」とめちゃくちゃ叱られた逸品。
「いつ見ても、ぶっ倒れてるんですけど、私、買ってもいいですか?」とお客様。
そうね、今もぶっ倒れて屋根にもたれかかってますね……。
「しかし、よく気が付きましたね?」とお伺いすると、「だってずっと探してたんですもの。欲しくて欲しくて~」とおっしゃる。
「ほかの種類はよく見かけるけど、この香りの強いタイプはなかなかないのよね。万能選手よ、この木は!」
ふふ~ん、やっぱりね。そうでしょ~ならば、これをご紹介しない手はございませんな。
ということで、今週は「ラッキーは引き寄せてもイヤな虫は遠ざける ユーカリ」の解説でございます。