洋風南蛮漬け 味が染み込んだ「ワカサギのエスカベッシュ」

コクハク編集部
更新日:2020-08-24 06:00
投稿日:2020-08-24 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は大阪・福島のフランス料理店「ミチノ・ル・トゥールビヨン」の道野正さんに、和風テイストの「ワカサギのエスカベッシュ」のレシピを教えていただきました。

マリネ液は先に用意しておく

 エスカベッシュとは「洋風の南蛮漬け」のこと。出来たてよりも、しばらくして味が馴染んだ方がおいしいので、大量に作って冷蔵庫で保管し、毎日の晩酌のお供にしたいもの。

 ポイントは、先に漬け込む方を作って用意しておくこと。揚げたての魚をボウルに入れた冷たいマリネ液に浸し、味を馴染ませます。

「熱いものと冷たいものを合わせると、熱を冷まそうとして圧力が外に向かい、中の水分が押し出されます。そこにできた隙間に外から水分が入り込み、味が浸透します。温度差を利用して味の浸透を早くさせるのです。これが冷たいもの同士だと分子の交換が行われず、味が染み込むまで時間がかかってしまいます」(道野さん) 

 ワカサギや稚アユが手に入らなければ、アジやサーモンの切り身でも問題なし。玉ネギだけでは寂しかったら、ニンジンやピーマンのスライスを入れるのもいいかも。ただしマリネ液に入れる野菜は生なので、噛みやすいよう、必ず細切りにしましょう。 

 朝、ちょっと早起きして仕事に行く前に作っておいて、帰宅してその日の夜に食べるのが理想です。その後も2、3日楽しむことができます。 目に見えるものだけではなく、温度まで考えて調理するのだから、料理の世界は奥が深いですね。 

【材料】(2人前)

・ワカサギや稚アユなどの小魚 10匹
・玉ネギのスライス 50グラム
・白ワインビネガー 50㏄
・エクストラバージンオリーブオイル 150㏄
・粗びきコショウ 適量
・薄力粉 適量
・揚げ油 適量
・塩 適量

【レシピ】

(1)白ワインビネガー、オリーブオイル、塩、粗びきコショウをボウルに入れてよく混ぜる。玉ネギのスライスも入れておく。
(2)小魚に塩を振り、薄力粉をまぶして揚げる。 
(3)揚げたてを1に入れる。粗熱が取れたら冷蔵庫で保管する。

本日のダンツマ達人…道野正さん

▽みちの・ただし
 1954年、兵庫県生まれ。同志社大学神学部卒業後、京都のフランス料理店「ボルドー」で7年間修業。31歳で渡仏。3つ星レストラン「ラ・コートドール」、1つ星「ル・ランパール」、2つ星「ジャン・バルデ」で研鑽を積む。帰国後は大阪の「シェ・ワダ」、北海道・旭川の「ハーヴェスト・ロード・ハウス」を経て、90年、大阪・豊中市でフランス料理店「ミチノ・ル・トゥールビヨン」を開業。2009年、大阪・福島区に移転、現在に至る。18年5月、自著「料理人という生き方」を出版。

▽ 「ミチノ・ル・トゥールビヨン」
 この道40年のオーナーシェフは、今でも食への探求心は衰えない。類いまれなセンスとフレンチの概念にとらわれない料理は「前衛的」「異端児」と称され、全国から食通が集う。大阪市福島区福島6―9―11 神林堂ビル1F。

(日刊ゲンダイ2018年8月24日付記事を再編集)

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