モラハラ夫と束縛系男子の8つの共通項
――その状態から、どうやって離婚できたのでしょうか。
後藤 杏奈さんの窮状を察したたった1人の女友達が、彼女に修斗さんの裏の顔を伝えて手を差し伸べたのです。杏奈さんは即、離婚を決意。現在はシングルマザーとして、仕事と子育てに奮闘しています。「あのとき、自分を信じてくれなかった人たちとは疎遠になって、人間関係の整理ができたからよかった」と、今は笑って過去を話せるようになりました。杏奈さんの笑顔を見ると、モラハラをする配偶者とは別れて正解だと実感します。
――修斗さんのようなモラハラをするような人は、先生のご著書にある「束縛系男子」とも何点か共通している気がします。ご著書より8つの特徴を抜粋させていただきます。
1.異常に嫉妬深く、独占欲が強い
2.自分以外(特に異性)との接触を可能な限り阻止しようとする
3.「LINEの返事は5分以内」など独自のルールを設定してくる
4.スマホを盗み見る
5.同姓の友達が少ない
6.根本的なところでは、自分に自信がない
7.わがままで自己中心的である
8.キレやすい
「自立は身を助く」結婚後も経済力はキープ
後藤 人を支配下に置き、自在にコントロールしようとするところが共通点です。モラハラ男性は、パートナーが自分以外の人間と接触することを極端に嫌います。パートナーが外へ出る機会が増えるほど、自分がモラハラをしている事実が発覚しやすくなるからです。修斗さんのように、専業主婦願望を押しつける男性もいます。そして自分自身は、周囲から「いい旦那さんね」と評価される態度をとり続け、周りの人間を味方につける。
当然、結婚後は専業主婦になってほしいと言う男性すべてがモラハラをするわけではありませんが、経済力を奪い、周りから孤立させた上で本性をあらわにするのです。今は結婚しても共働きが主流の時代ですが、40歳以上で大人婚を希望する女性は、結婚後も仕事を続けて経済力を手放さないようにしましょう。「自立は身を助く」です。
モラハラ性質を見抜く方法
モラハラをするか否かを事前に見抜くには、店員やタクシー運転手など、本人とは無関係の相手への態度で見極めたほうがいいと言われています。その相手への態度が、将来の自分への振る舞いだからです。
ただし筆者は個人的に、上記に加えて自分がミスをしたときの相手の態度も、モラハラかどうかをふるいにかける手段だと考えています。筆者の体験談をお伝えしますと。先日なぜか手元が狂い、冷蔵庫から卵を落として割り、熱々のおみそ汁を夫の足元にぶちまけまけるというミスを、1日に2回もしてしでかしてしまいました(情けない……)。
このミスをご自身がしたと仮定してみてください。あなたのパートナーは、どんな対応をするでしょうか。それが本性です。
さて、後藤先生が実例を元に提唱している「女性が離婚を考える主原因8つ」ですが、2つ目の「DV」、3つ目の「異性問題」、4つ目の「金銭問題」はモラハラ同様、事前に見抜くのは難しいとのことです。ですが、絶対に見抜けないわけではないのでは。疑問をぶつけた詳細は次回にて。
※エピソードは個人情報保護のため、一部脚色してあります。
ごとう・ちえ
▽京都府出身。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、17年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案を最も得意とする。中でも離婚案件は女性を中心に、年間約300件、のべ3000人以上の相談に乗っている。著書は『誰も教えてくれなかった「離婚」しないための「結婚」の基本 女性弁護士が3000人の離婚相談で見つけた「パートナー選び」の絶対法則』(KADOKAWA)
ラブ 新着一覧