憧れの女性は「匂わせ女子」? クール美女のもうひとつの顔

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-08-22 17:24
投稿日:2021-12-10 06:00

「インスタにアップしたい」とスマホを…

――続けて下さい。

「舞いあがっていたのは、トレーニングウエア姿とは違うR美さんが、さらに女らしい美のオーラを放っていたのも一因でした。いつもひとつに束ねたロングヘアは丁寧にブローされ、整った目鼻がメイクでいっそう華やいでいました。ファッションは、鮮やかな黄色のワンピースにハイヒール。どの角度から見てもそれは綺麗で、店内でも目立っていましたよ。

 同席する僕は、ちょっと優越感に浸りました。

 ただ気になったのは、乾杯する時も、料理を食べる前も『写真を撮っていいですか? インスタにアップしたいので』という言葉。

 もちろん快諾しました。その時は単に、『インスタなんて、今どき普通だよな』と思ったんです。トレーニング中も自撮りをしていましたしね」

足をもつれさせた彼女からの突然のキス

――続けて下さい

「話しているうちに、話題は互いの家族のことに流れたんですね。僕が一歳下の妻と中3の息子がいると言うと、彼女はちょっとだけ寂しそうに目を細めて『子供はいなくて、夫は札幌に単身赴任』と言っていました。

 返す言葉に困ったんですが、『生活感を感じさせない、エレガントなところが素敵です』と言いました。事実、彼女はちっとも所帯じみていなくて、都会的な女性でした。スタイルもいいし、ルックスだって文句のつけようがない。

 すると『嬉しいです。そんなふうに褒められたなんて、数年ぶり』と笑みを浮かべました。

 ワインはすでに3杯目だったでしょうか。頬がほんのり赤らみ、瞳が潤んでいてね……。

 変な話ですが、会話中、互いの左手薬指に結婚指輪が光っているのに気づきました。今はこうして見つめ合っているけど、お互いそれぞれの家庭を持っているんだと思うと、訳も分からず切ない気持ちがこみあげてきて……。

 結局、レストランには2時間もいました。

 店を出た帰り際、ほろ酔いのR美さんが、ヒールの足をもつれさせたんですね。

『危ない』と、腕を掴んで引きよせた瞬間、彼女は僕の胸に飛びこんできました。えっ? と思う間もなく、唇を重ねていたんです」

 続きは次回。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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