更新日:2022-06-12 16:38
投稿日:2022-05-27 06:00

何度もキスを…そして彼の手が乳房に

ーー続けてください。

「私たちは校舎の前に停めた車中で、いくどもキスをしました。顔を傾け、舌を差し入れ、唾液を交換して……しばらくすると、彼の手が私の乳房をやわやわと揉み始めたんです。

 私は『ああっ』と自分でも恥ずかしいほど、淫らな声をあげてしまいました。

 久しぶりに男性に触れられる乳房は、自分でもわかるほど、乳首がツンと勃っていて……。

『柔らかくて、大きい……すごく魅力的だ』

 K君は、真珠のネックレスがかかる首筋に唇を押し当てながら囁きました。

 そして、洋服の上から乳首を弾かれて……。

 体が火照り、パンティの奥からトロリとしたものが滲みだしました。ベージュのワンピースにシミがついたらどうしよう……そんなことも頭をよぎりましたが、乳房を揉みしめる彼の手の力がいっそう強くなって……私、『ああっ……K君』と叫び、胸をせり出していました。

 体は完全に欲情していました。

 呼吸は浅く、はやくなり、時おり通る対向車を気にしながら、それでも抱きしめ続け、キスをし続けたんです。

 幸せでした。心から幸せでした。

 3年間ずっと恋焦がれていた彼と、こんな関係になれるなんてーー。 

 私の欲情の火はもう消すことなどできません。

雨が降る中ホテルへ

 キスを解いた彼が「ホテル……行こうか」と呟いた時には、彼に抱かれる嬉しさとともに、初めて不倫をする罪悪感がふつふつと湧いてきて……。

 その時、ちょうど雨が降ってきたんです。

『じゃあ、行こうか』とアクセルを踏み、車は一路ホテル街へと向かったんです。

『本当にいいの?』『今なら引き返せるわよ』ーー私の心は複雑でした。

 ただ、憧れだった彼に抱かれるのですから、やはり嬉しさのほうが勝りましたね。今まで封印していた、私の『女』が顔を覗かせてきた、とでも表現したらいいのでしょうか……?

 車がラブホテルの門をくぐり、駐車場に停車しました。

 彼を見つめると、『大丈夫、E子さんが嫌がるようなことはしないよ』と言ってくれて……。車を降り、エントランスで部屋を決め、2人でエレベーターで向かいました。

「嬉しい…幸せ」熱い抱擁に感じる幸福感

 個室に入るなり、私たちは再びきつく抱きしめ合ったんです。

 キングサイズのベッドを横目に、『嬉しい……幸せ』と、私は彼の腕の中で喜びを伝えました。

 そんな彼も、今まで以上にきつく抱きしめ返し『E子、E子……』と名前を呼んでくれて……。呼び捨てで呼ばれたことなどなかったから、幸せで……。

 体は汗びっしょり、パンティの奥もドロドロです。

 互いの鼓動は同化するように高鳴っていました。ほのかに香る彼の汗の香りや厚い胸板が、私の下腹をよりいっそう疼かせました。

 彼に手を引かれるまま、私はベッドに倒れ込んだんです。

 続きは次回

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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