「そっちに行っちゃダメ!」をなくす廊下のない保育園の魅力

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2019-06-20 06:00
投稿日:2019-06-20 06:00
 保育園の現場では、「廊下に出ちゃダメよ!」とスタッフが子どもに声をかけているところをよく見ます。しかし、すんなり戻ってくる子どもは少なく、笑って逃げたり、泣き出したり、怒ったりと、リアクションはさまざまです。なぜこのようなことが起こるのか? また、その改善方法をお話したいと思います。

ここじゃない場所に関心があるから

 日本の保育業界では今、「自由保育」が重視されていますが、それでもまだ集団行動が主流です。自由保育を取り入れようにも保育士の人数は限られ、多くの保育園では、遊びの内容も保育士がある程度、決めてしまう傾向があります。

 しかし、園児みんなが同じことをやりたいとは限りません。このおもちゃでは遊びたくないと駄々をこねる子もいますし、そうした子どもは自分で楽しいことを探し、ほかの場所へ行こうとします。保育園ではまず「廊下」に出ますよね。

 廊下からお友達の声が聞こえてきた、という理由もありますが、ほとんどの場合は面白いものを探しに行きたい! という冒険心です。

 自分で自分の好きなことを、目で見える世界から飛び出して探しに行きたい。こうした好奇心は、今後、人生を切り拓く上で必要とされる大切な行動の一つです。

 しかし、ほとんどの園では「廊下に出てはダメ!」という理由だけで、引き止められてしまいます。せっかく好きなことを自分で見つけたいと思っているのに……。

保育園は「廊下」を必要以上に作らない

 こうしたことを減らすため、「廊下」をなくして子どもたちが好きな遊びを選択できる空間づくりを実施している保育園もあります。

 保育室はなるべく広いスペースを確保し、ブロック、ままごと、パズルなど、おもちゃを種類分けしてジャンルごとに配置する「コーナー保育」を実施。そうすることで、廊下に出ることなく、自分たちで好きなおもちゃを選ぶことができます。

 都会の保育園はどうしても土地的に狭くなりがちですが、狭い空間でも工夫次第でコーナー保育を実践することはできます。

 子供たちが廊下に出ることを注意するよりも先に、どうしたら好きな遊びを自分たちで選択できるようになるか。それを第一に考えることが大切ではないでしょうか。

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


結婚式で靴を履き替えたい…! 袋は必要?替え場所や預け方
 結婚式にお呼ばれされた時、当日の靴で悩んだことはありませんか?「行き帰りはスニーカーでも良いの?」「履き替えるならどの...
2021-03-31 06:00 ライフスタイル
辛酸なめ子さんが図解!「猫廃人入門」あなたも当てはまる?
 漫画家の辛酸なめ子さんは猫の魅力にハマり、毎日「猫の画像を見て、猫の成分を吸収しないと生きていけない」と言うほどの愛猫...
誘ってるの?あどけない“にゃんたま”の大胆ポーズにドキドキ
 きょうは、まだあどけなさが残るツッパリにゃんたまω少年に出逢いました。  もしも私がおんにゃの子だったら……こん...
保護猫譲渡のお約束とは?トライアル中は毎日レポート提出⁉
 保護猫を飼い始めたのは、2019年7月のことです。4月半ば頃に生まれたと推測される2匹の子猫ちゃんは、いずれもコクシジ...
猫×ヨガの癒しパワー「ネコヨガ」で心身ともにリフレッシュ
「ネコヨガ」とは、猫と一緒にヨガを行うこと。猫のしなやかなポーズを真似たり、ヨガを行っている隣で猫がくつろいでいるのを感...
デキる女は知っている…今こそ磨いておきたい”鈍感力”の話
「仕事で大切な力」と聞いて、真っ先に思いつくものはなんですか? コミュ力、体力、プレゼン力……色々あるとは思いますが、”...
なめんなよ!一触即発状態の“にゃんたま”を鎮める魔法の言葉
 きょうは、日頃から気に入らないアイツとバッタリ会ってしまったにゃんたま君。  猫はこんな時、相手に近づかないよう...
家のシンボルツリーに…純白で美しい雪の枝「ユキヤナギ」
 仏教も神道も、どちらも代々総代を受け継ぐほど信心深い我が実家。一日三回必ずお仏壇に向かって「りん」をチンチン鳴らし、一...
猫を上手に撮る7つのテクニック 女性のポートレートのように
 スマホやデジカメで飼い猫を撮影し、SNSにアップすることが多くなったという方も多いはず。しかしせっかくならインスタやF...
猫ヨガに続け!“にゃんたま”カメラマンが提案する新しい習慣
 最近、「ネコヨガ」というものが巷で評判です。猫の伸びのポーズなど、猫と一緒に猫の仕草をまねるヨガで、猫のように強くしな...
意味がわかると怖いLINE…違和感が恐怖に変わる内容4選
 ホラー映画や小説などでは、よく「後から意味がわかると怖い話」がテーマとして取り上げられますが、でも、実はもっと身近なあ...
「猫のきもち」熟読!子猫のいる生活を前のめりで夢想(笑)
 さて5月の半ばに子猫8匹とのお見合いを終え、書面で改めて茶トラ柄の男の子とサビ柄の女の子、2匹の子猫の里親に申し込みを...
間違えて家族に…気まずすぎる「誤爆LINE」消したい内容9選
 日常の連絡ツールとして欠かせないLINEは、送り先を間違えると一瞬で修羅場な状況を生み出す危険と隣り合わせ…。今回は家...
忘れないで!年齢とともに中身も大人になるために大切なこと
 もうすぐ自分も30歳だけど、ちゃんと大人になれてるのだろうか……。そんなふうに不安になったことはありませんか? アラサ...
渋い表情をしてるけど…実はとっても甘えん坊な“にゃんたま”
 きょうは、ビシッとキメ顔で写真を撮れせてくれたにゃんたまω様。ちょっと近づきがたい表情ですが、カメラを向ける前は甘えん...
お盆と何が違うの? アナタの心を整える“お彼岸のススメ”
 以前の話ではございますが、ドイツからの女子留学生がワタクシの師匠のお花屋さんに体験留学にやってまいりました。  ...