番組タイトルを考えながら実力を磨きチャンスをつかんだ日

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2019-12-30 17:54
投稿日:2019-12-30 06:00
 誰だって一度は「こんな仕事がしてみたい」「こんな世界で働いてみたい」と夢を見る。でも実現できる人は多くはないし、それで食べていける人はほんのひと握りだろう。日々の業務に取り組みながら、心の奥にしまった夢を宝石のように磨き続けた人だけが、立ち止まったり回り道をしたりしながら夢に近づいていけるのかも知れない。成人向けスカパー! チャンネル『パラダイステレビ』の女性プロデューサー・吉永あずきさんはその一人だ。

作詞家への道を切り拓いた番組表作りのコピーライティング

ーー作詞のために、吉永さんは何か勉強をされていたのですか?

吉永「ちょうどその頃、宣伝会議がやっているコピーライター養成講座に通っていました。仕事で番組表に載せるタイトルを80字以内で書くんですが、パンチのある言葉が書けるようになりたくて、毎週金曜日に仕事が終わってから行ってたんです。会社の命令ではなく、自費です。ジョニー大倉さんの歌詞の話が出たときに、これを活かしてみようと思ったんですよね」

ーージョニー大倉さん、歌詞へのこだわりが強いと思いますが……。

吉永「ジョニーさんが書いているキャロルの本を読み、キャロルの曲を聴きながら(ジョニー大倉はギターと作詞担当)、彼が使いそうな言葉を必死に考えました。その結果、『あ、これちょっと手直しするだけで歌えるわ』と、ジョニーさんがOKを出してくれて誕生したのが『パラダイス・フォーエバー』です。第1回の『24時間テレビエロは地球を救う』(2003年)の番組中で、ジョニーさんが生歌・生ギターで歌ってくれました」

総勢15人のアイドルと20曲以上の歌詞をプロデュース

 毎日の番組制作に結果を残したいという努力と、それを突然やってきたチャンスに結びつけるポジティブな姿勢が、吉永さんを作詞という新しい世界に進ませた。パラダイステレビは2011年にマシュマロ3DというAV女優のアイドルグループを結成、その後もメンバーを入れ替えて(現在はマシュマロ3d+)2019年12月には100回目のライブを達成した。吉永さんはマシュマロ3d+、その研究生であるチームメレンゲギンギン♂ガールズMakeit!も育成しながら、彼女たちに歌詞を提供している。

ーー番組の運営からアイドル育成、作詞と多忙すぎる一日ですが……。

吉永「そうですね、朝7時か8時に起きてLINEやメールの返信をして…これ結構だいじです。アイドルの情報、固まっちゃうと誰も見なくなっちゃうので、SNSを動かさないといけません。12時か13時に出社して書類作業、イベントがある日は16時から準備に入って、撤収は22時か23時。家に帰るのが翌日になっちゃったり、帰ってからも次の準備をしていることもあります。あと、作詞は絶対に家でやるんですよね」

ーー吉永さんが一番やりがいを感じることは何ですか?

吉永「すぐ辞めちゃった子もいるんですけど、みんなのステージも性格も全部覚えています。ステージに上がったライブ中の彼女たちは、ほんとキラキラ輝くんですよ。ライブを100回も続けられたのは彼女たち一人ひとりが本気で関わってくれたおかげです。言葉だったり、音楽的才能だったり、表現力だったり、キャラだったり…いろんなものを見せてもらいました。男性の多い職場ですが、私は彼女たちと仕事をしてきたって感じています」

セクハラもないけどチヤホヤもされない!男女対等のエロ現場

 吉永さんがパラダイステレビに入社してから18年、日本女性の生き方は大きく変わりつつある。女性の活躍は日本経済の維持に必須となり、生涯にわたって職業を持つことがこれからは常識になっていくだろう。その一方で、あたかも旧時代における男女関係の膿を絞り出すかのようにセクハラの告発や、フェミニズムの問題が起きている。私たち女性と仕事、そして女性と男性の関わり方は生まれ変わろうとしているのかも知れない。

吉永「プロデューサーとして新人のときのフィスト番組を撮ってくれた監督、無口な職人肌のチーフディレクターなんですけど、常にすごく良い番組を作っている人なんです。その人が私の誕生日を覚えていてくれて、『また一つ、ババアになったなあ!』なんて言いながら、ランチをご馳走してくれました。『じゃあ、その代わりにストリップ観に行きませんか?』って誘ったら『ストリップ、初めてなんだよ』って、ワリカンで楽しんできましたよ!」

 吉永あずきさんのまわりには、形ばかりの女性活用ではない、男も女も対等に切磋琢磨する真剣勝負の厳しさがあり、日々の戦場をともに戦う本気の協力体制がある。もともとは男社会であったアダルト業界で、吉永さんがこのような風通しのよい職場環境を作ることができたのは、どんな業務にも心をこめて取り組み、ともに働く人を大切に思いやってきた結果だ。吉永さんの職場では、今も広く女性社員を募集している。第二、第三の吉永さんをめざして応募してみてはどうだろうか。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

ライフスタイル 新着一覧


大人だって誰かに迎えに来てほしい日がある 2023.4.5(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
スピリチュアル好きの“圧”がうざい!波風立てない対処法とは
 あなたの周りに、スピリチュアル好きはいますか。占いや迷信、オカルトなどに興味がある人は、それを周りにも伝えようとしてき...
「面倒くせぇ!」と撤去したら災いが? 榊(さかき)の由来と効果
「やっぱり再開することにしたって」。  猫店長「さぶ」率いる愛すべき我が花屋には、古くからご贔屓にしてくださってい...
物価高の今こそ! フリマアプリ8つの失敗から学ぶ賢い使い方
 不用になったけどまだ使える物となると「もったいないかなぁ」と捨てられなかったり、欲しい物が「もう少し安ければ……」と新...
白秋の春はすぐそこまで…と思っていたら? 2023.4.3(月)
 雪をまとう甲斐駒ヶ岳と咲き始めた梅、白秋の春はすぐそこまで……と思っていたら、気づけば4月。  次の季節を待って...
恋に落ちる3秒前♡ ぷっくり膨らんだ“たまたま”がキュート
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
娘の中学入学で準備不足発覚!公立進学でもお金が飛んでいく
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
毎朝のメイクも満員電車も嫌! 出勤再開がつらい時の対処法
 コロナ禍でリモートワークが当たり前の働き方になり、ようやく慣れたと思ったら通勤再開! 何コレつらい! という人、集まれ...
窮屈な世の中になった?見た目の話って難しい 2023.4.2(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
苦手な実母の新居訪問で事前に対策したこと 2023.4.1(土)
 コロナが落ち着いて、マスク着用も個人の判断になり、やっと日常が戻ってきた感じがしています。そして人の移動も……。  ...
家族愛がレべチ!子煩悩パパから届いた100点満点“神”LINE3選
 世の中には、星の数ほど男性がいるけれど、まだまだ男女差別の残る日本では、ママがメインで家事や育児をしている家庭が多いで...
心の鍵を開けるか締めるか 新しい季節の目標 2023.3.31(金)
 やっと待ちわびた春がやってきた。  新年に聞かれる「今年の目標」ではないが、年度明けにもちょっとした目標を立てて...
日本人は嫉妬心が強い?だからこそ「おめでとう」を伝えよう
 みなさんは、ちゃんと「ありがとう、ごめんね」を言える大人ですか? 私はなるべく気をつけて、意識的に言うようにしています...
予知できない?「富士山噴火」の可能性を専門家に聞いてみた
 近年、南海トラフの巨大地震や首都圏直下地震など大地震のリスクが指摘されるが、忘れてはいけないのが富士山の大噴火だ。 ...
義母からの“プレゼント攻撃”に困る…ギリギリセーフな断り方
 誰だって、義母とは良い関係を築きたいもの。義母も同じように思っているからあなたにプレゼントをくれるのですが、ありがた迷...
ぽちゃぽちゃ阻止! 小腹がすいた時の理想的な5つのお菓子
 年齢を重ねると、食べすぎているわけでもないのに太りやすくなるから不思議です。コロナ禍に自宅で過ごす時間が増え、サイズア...