シシトウの青臭さを消す秘訣は?
研究熱心な滝沢シェフの逸話はいろいろありますが、印象的だったのは魚の神経締めに関するエピソード。さまざまな魚種を締め、データを採取し、魚一つ一つの“味のピーク”を記録に残したそうです。
「タラのように自然死すると身が緩くベターッとなる魚も、神経締めなら身の弾力が残る。寄生虫がいる魚は魚で、味は落とさず安全性の高い調理法を考えなくてはならない」と滝沢さんはサラッと言いますが、この“研究”をいつやるかというと、一日の営業を終えた後や、店の定休日。
その傍ら、シャルキュトリー(ハムなどの食肉加工品)作りにも精を出し、調味料作りにも熱心。現在、店に料理人は滝沢さんひとりであることを考えると、頭が下がる思いです。
「どうやったらおいしくなるんだろうって気持ちがいつもある。お客さまに、値段以上の喜びを感じてほしいんです」
今回のレシピのポイントは、先にシシトウに火を通すこと。それによってシシトウの青臭さが消えますよ。冷めてもおいしいので、焦らずゆっくりワインを楽しみましょう。
【材料】
・豚の薄切り肉(モモ肉)
・シシトウ
・チーズ
(「クラフト 切れてる チーズ18枚切り」が使い やすい)
※シシトウ1本に対し、豚肉2枚、チーズ1枚が目安
・塩 少々
・サラダ油 適量
【レシピ】
(1)シシトウは、魚焼きグリルなどで軽く火を通す。
(2)豚肉2枚を広げ、チーズの塩気を考えて、少なめに塩を振る。
(3)豚肉の上にシシトウ、ちょうどいい大きさに切ったチーズをのせ、チーズが漏れないように豚肉で巻く。
(4)サラダ油を引いたフライパンに入れ、弱火から中火で豚肉を焼く。表面に火が通ったら、水を少し入れてふたをし、強火にする。チーズが少し漏れ始めたら火が通った証拠。
本日のダンツマ達人…滝沢英哲さん
▽たきさわ・ひでのり
1974年、青森県青森市生まれ、野辺地町育ち。元マウンテンバイクレーサー。2000年にイタリアへ渡り、現地の料理学校、エミリア・ロマーニャ州ラ・カバンナ、ピエモンテ州オステリア カッシーナ ディ フィオーリのMassimo Milanに師事。04年に帰国。八戸でオステリア デル ボルゴを開店後、15年から青森で同店を開店。
▽リンチェ
24歳で料理人への転向を考えた時、相談した先輩から「本気なら本場に行った方がいい」と言われ、いきなり渡伊。「絶対にイタリア料理人になる」という強い信念のもと、1日19時間ものイタリア語の勉強をこなし、厳しい修業に耐えた。リンチェの店内にはテーブル席とカウンター席。シェフ手作りのシャルキュトリーをはじめ、酒が進む前菜がこれでもかと載った「お一人様セット」が1500円と破格の値段だ。ぜひ出張や一人旅の時に。青森市新町2―6―18。
(日刊ゲンダイ2018年10月17日付記事を再編集)
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