SEX観を変えた映画と彼…“無理しない”に気づいた人形プレイ

大泉りか 作家・コラムニスト
更新日:2020-10-03 06:00
投稿日:2020-10-03 06:00

「いい反応しなきゃ」の呪縛が解け…

 その時の“人形プレイ”が、みなとさんのセックス観だけではなく人生観さえも、変えたといいます。

「その時に、『セックスをして楽しい』には『無理しない』も含まれるって、気が付いたんです。

 それまではずっと『セックスの時は いい反応しなきゃ』って思い込んでいた。『いい女』って『がんばってる女』だと思っていたし、だからセックスの時も変なサービス精神でがんばっていた。

 わたしはわりと誰とでもセックスが出来るし、セックスで何をしても『恥ずかしくない』って思っていたけど、本当は『恥ずかしがってると思われたくない』だった。そこが心の壁だったと思う。

 だから、その人形プレイをきっかけに、これまでバカバカしいって思っていた、茶番みたいなセックスも楽しめるようになったし、セックス以外のことも、自分も含めて『何かやんなきゃ』って思いつめるより、のんきな消費者でいることはいいことなんじゃないかって思うようになって。

 そういう発見は、わたしとしては革命だったんですよね」

セックスも人生も「無理しない」

 セックスによって“革命”されたみなとさんですが、その後はどうなったのでしょうか。

「彼とデートをしたりセックスをしたりっていう関係がしばらく続いたんですが、ある時、『奥さんと離婚しようと思う』って言われて。私のせいだけではないんだけど、ちょっと深入りしすぎたかなとかって思ってた時に、3.11の震災があって。

 看護師の奥さんは現地に向かうっていうし、私もちょうど父が亡くなったところだったこともあって、家族って存在について考えた時に、『潮時だな』って思って別れを告げました。

 その後、わたしがぶり返しそうになって、『また、会いたい』ってなったこともあったけど、『人間として好きだから、そういうのやめよう』って、毅然と断ってくれて、そういうところも良いなって。

 だからもう会ってません。」

 生き方は、その人のセックスにも滲み出る。逆をいえば、セックスの価値観が変わることで、人生のスタンスそのものが変わることも当然あるということ。

 みなとさんの人生を「無理しない」にシフトチェンジしてくれた年下の彼の想い出は、なんと切なくも甘やかなのでしょうか。

大泉りか
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作家・コラムニスト
ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や、男性向けの「モテ」をレクチャーするコラムを多く手掛ける。新刊は「女子会で教わる人生を変える恋愛講座」(大和書房)。著書多数。趣味は映画(映画館で年間100本以上)、海外旅行。愛犬と暮らして14年目の犬飼い。X

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