射精だけがすべてではない…トラウマを乗り越えた女性の告白

大泉りか 作家・コラムニスト
更新日:2021-07-29 06:00
投稿日:2021-07-29 06:00

射精の有無ではなく…心を満たすことが大事

 やがて、その配偶者とのパートナーシップを通し、気持ちが変わったといいます。それはいったいどんな変化だったのでしょうか。

「初体験のお相手の方が、一回り近く年上で、自分にとってはとても影響の大きな存在だったのもあるし、膣内射精出来なかったことを責められるような事もありましたし、(セックスが)初めてだったのに、そう思ってもらえてなかった事も後から知って、トラウマにもなっていたんです。

『女として求められていないと不安になる』みたいな強迫観念を持つ女性って少なくないと思うのですが、わたしにとっては『精液が出るか出ないか問題』に心を蝕まれていた半生だったと思います。

 けれど最近は、お互いの心を満たす事が、気持ち良いことと考えられるようになってきました。夫と身体を重ねる中で、射精してなくても満足出来てるという安心感を与えてくれたのが、大きかったのではないかと思います。」

 “射精しない男性”との初体験からずっと抱いてきた“射精”と“精液”への複雑な思い。しかし、パートナーとの心が満たされるセックスを経験したことで、筋子さんはその執着から解き放たれることになったのです。

「わたしの性欲は、まだまだ枯れそうにないなって思う一方で、愛する夫の下半身の力は、着実に疲れを見せて来ているのを感じます。

 だからこそ、若い頃のような感覚で生きていると、そのギャップが時として自分の首を絞めてくることがあって、良い妥協点やいい塩梅を見つけていかないと、苦しくなりそうだなと感じる事があります。

 今も、性に囚われていることが多いので、これからも様々に形を変えていかないとならなくなりそうですが、セックスなしでもさみしくならずに、元気に生きていけるようになれたらいいなと思っているところです」

 “射精”と“精液”という目に見えるものがなくても、相手の快感を信じることができるようになった筋子さん。信頼できるパートナーとのセックスによって、性のコンプレックスから解放されることができるという彼女の話は、悩みを持つ多くの女性にとって希望となるのではないのでしょうか。

大泉りか
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作家・コラムニスト
ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や、男性向けの「モテ」をレクチャーするコラムを多く手掛ける。新刊は「女子会で教わる人生を変える恋愛講座」(大和書房)。著書多数。趣味は映画(映画館で年間100本以上)、海外旅行。愛犬と暮らして14年目の犬飼い。X

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