「鶏すき焼きの黄金比のたれ」コクとうま味の秘密はザラメ

コクハク編集部
更新日:2021-10-01 06:00
投稿日:2021-10-01 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・鐘ヶ淵の鳥割烹「鳥田中」の田中惣一郎さんに、お値段以上のぜいたくが楽しめる「鶏すき焼きの黄金比のたれ」のレシピを教えていただきました。

ザラメのワイルドな甘さがいい仕事を

 老舗のすき焼き専門店が監修するたれは、少量なのに値段が張ります。だからといって自分で作れば、醤油、みりん、日本酒、砂糖を目分量で組み合わせるから毎回味が定まらず……。田中さん、どうしたらいいですか?

「自宅でも本格的な味わいのたれを作るなら、ザラメ糖をぜひ使ってみてください。ザラメ独特のワイルドな甘さがコクとうま味を生み出し、いい仕事をしてくれます。牛肉はもちろん、鶏肉とも相性がとてもいいたれになりますよ」

 ちなみに年齢を重ね、霜降り牛肉がつらくなりつつある記者は、少し前から鶏すきに開眼。ちょっぴりフンパツできる日は、スーパーではなく、鶏専門店に足を運び、すき焼き用として売られている、そぎ切りの鶏むね肉を買ってきます。そこに黄金比のたれとなれば鬼に金棒。お値段以上のぜいたくが楽しめることに。

 この日は田中さんの手で白磁の器に盛り付けられましたが、自宅でやる時は、すき焼き鍋をつつきながら思うがままに。

材料

【黄金比のたれ】
・濃い口醤油  200㏄
・日本酒  200㏄
・みりん  200㏄
・ザラメ糖  66グラム
・だし昆布  3グラム

【鶏すき焼き】(2人前)
・鶏もも肉  200グラム
・長ネギ  2分の1本
・しらたき  1玉
・焼き豆腐  1丁

レシピ

(1)たれを作る。鍋にだし昆布以外の材料を入れ、中火にかける。ザラメが溶けたら、ひと煮立ちさせる。冷めたら昆布を入れて出来上がり
(2)鶏もも肉は皮目に焦げ目がつく程度あぶる。粗熱を取り、スライスしておく
(3)焼き豆腐、長ネギは適当な大きさに切り、しらたきは必要あらば、ふきこぼしておく
(4)すき焼き鍋にサラダ油(分量外)を引き、加熱。皮目を下にした鶏もも肉を入れる
(5)鶏もも肉に程よく火が入る直前に一度火を止め、1を入れる。野菜など他の具を追加し、ハフハフ食べる

本日のダンツマ達人…田中惣一郎さん

▽田中惣一郎(たなか・そういちろう)
 1962年、東京生まれ。高校卒業後、東京の下町で料理人としての修業を始める。23歳の時、新橋「京味」へ。ふぐ調理師職人として板場に立ち、故・西健一郎氏から仕事を学ぶ。37歳で独立し恵比寿に「和食 ごっ惣」を開店、2017年に現在の地で、京都の地鶏と野菜を中心としたおまかせのコース料理屋「鳥田中」をオープンさせた。

▽鳥田中(とりたなか)
 京味の技法を生かしながら、西氏から常日頃聞かされていた「素材の持つ味を大切に」を実践する予約困難の超人気店。できるだけ邪魔せず、できるだけ丁寧に、「選んだ素材の良さをお客さまへと伝えたい」と、優しい味わいの料理を提供している。コロナ禍で予約販売した「地鶏焼鳥弁当」も即完売。妥協しない味と芸術的な美しさで客を魅了した。東京都墨田区墨田3―25―7。

(日刊ゲンダイ2021年9月25日付記事を再編集)

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