東南アジアで重用される調味料のひとつに「タマリンド」があります。マメ科の常緑高木で、その果実を料理の酸味づけに使います。本場インドでも、スパイスの香りを引き立て、味を引き締めるのに欠かせないものですが、日本ではあまり馴染みがないのが現状です。
そこで、若林さんは梅干しを使うことに。今回は、ナスと豚肉で作るカレーに合わせました。
梅干しを、日本酒と砂糖でのばしたペーストを決め手にしたルーを口に入れると、まず、まろやかな酸味と爽やかな梅の香りが広がります。あとを追ってくる3種のスパイス、ナスを炒めるのに使ったごま油の風味が重なり、彩りで添えたパクチーと一緒に豚肉を口に放り込めば、「香りのごちそう」といったアンバイ。
ビール、白ワインが進む一品ですが、合う酒はあえて、「ホッピー」としました。「ホッピーLOVER」を自任する、若林さんの推薦です。
「ホッピー好きが、ホッピーに合わせるために考えたツマミです。冷めてもおいしいですよ」
なるほど。ホッピーのほのかな苦味に、梅干しの酸味が確かに合いますね。
【材料】
・長ナス 1本
・豚バラ肉(しゃぶしゃぶ用) 100グラム
・ごま油 小さじ2分の1
・ショウガ 適量
※ルー
・梅干し 大2個
・日本酒 100㏄
・トマトジュース(無塩) 150㏄
・クミンパウダー、コリアンパ ウダー 各大さじ2分の1
・ターメリック 小さじ2分の1
・砂糖 小さじ1
【レシピ】
1. ルーを作る。中火にかけたフライパンに、種を取った梅干しを入れ、潰しながら、日本酒と少量の水でのばす。トマトジュース、砂糖、スパイス3種を加え、軽く煮詰める。
2. 別のフライパンにごま油を引き、ナスとショウガの千切りに塩をひと振りして炒める(ナスは横半分に切ったものを、縦に5ミリ幅のスライス)。火入れはさっとでいい。
3. 炒めたナスにルーを入れ、豚肉を加えたら、フタをして弱火で蒸し煮にする。
4. 豚肉に火が通り、ナスがしんなりしたら、パクチー(分量外)を添えて完成。
今日のダンツマ達人…若林剛史さん
▽わかばやし・たけし
1971年、浅草生まれ。グラフィックデザイナーを目指していた19歳のとき、アルバイト先で厨房に入ったのをきっかけに料理の世界へ。22歳で現在の店を任されて以来、独学でスパイス料理の研究に没頭する。
▼ヘンドリクス
渋谷区神宮前に店を構えたのが1994年。カレー激戦区といわれる界隈のトップランナー的存在だ。昼はスパイスの効いた定番のチキンカレーなど4種が用意され、ライスと自家製のナンが両方楽しめるセットが人気。若林さんのアイデアとセンスがあふれる料理が日替わりで20品以上も用意される夜の部も連日大盛況。予約必須だ。
渋谷区神宮前2―13―2 ユハラアネックスビル1F
℡03・3479・3857
(日刊ゲンダイ2018年3月28日付記事を再編集)
フード 新着一覧