容姿やお金が足りなくても…M女を従わせるのは心根だと実感

深志美由紀 官能作家
更新日:2019-05-05 06:00
投稿日:2019-05-05 06:00
 私が出逢い系で遭ってきた様々な体験談を語るこの連載。第2回目はSM系のチャットで知り合った男性と会った時の話です。

見た目は好みじゃなくても……

 その男性は私より少し年上。かなり太目の体型で、体重は100キロ近く。正直なところ見た目はカッコイイとは言い難い人でした。

 逢う前に写真を見せてもらっており、好みのタイプではないことは分かっていました。けれど、言葉選びや考え方のセンスがとても面白い人だったので会ってみようと思ったのです。

 この男性、容姿の問題だけではなく、なんと現在無職。お金がないと聞いていたので、いろいろと期待はしていませんでした。

 私はこれまでにも何人か出逢い系で男性には会ってきていましたが、なんというか、やはり皆さん若干女性の扱いが「雑」なのです。

 なので、今回もそんなに楽しいことはないだろうな、という覚悟でいました。

 ところが会ってみてビックリ!

 まず最初に食事をしたのですが、彼は私の好みを事前にリサーチし、店決めもすんなり。お値段的には控えめなお食事ながらも決して私に財布は出させず奢ってくれた上、ラブホテルではなく、新しくキレイなビジネスホテルを予約済みだったのです。

「心がご主人様」とはこういうこと

 最初の期待値が低かったこともあり、もう、これだけで株は爆上がり。

 その後のプレイでも、たとえば写真撮影には必ず私のカメラを使うなど、上手く羞恥心を煽りながらも決して私にリスクを負わせないように配慮したプレイスタイルで、今までにないような新鮮な経験をさせてくれました。

 確かに、彼は容姿が整っているわけではないし、決してリッチなデートではなかったかもしれません。

 けれど会ってからお別れするまで、一日中スマートなエスコート力を発揮してくれました。

 世の中には自称「S」とでも呼ぶべきワガママなだけな男性がごまんといて、自分が楽をしたいからM女に何でもやらせようという不届きものも多いです。

 そんな中、「心がご主人様」というのはこういうことだなあと思い、私は感動すら覚えたのでした。

 サディストは顔でも金でもない、M女を従わせるのは心根なのだと実感できた出逢いでした。

深志美由紀
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官能作家
集英社ノベル大賞佳作受賞にてデビュー。2010年「花鳥籠」
で第一回団鬼六賞優秀作受賞、同作13年映画化。新聞や電子書籍など、男性のみならず女性にも受け入れられる官能小説を多方面で執筆。著書に「ゆっくり破って」(イーストプレス)「美食の報酬」(講談社文庫)など。自他ともに認めるダメ男好きで、自らの体験を活かしたエッセイ漫画なども配信中。

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