風邪の正式病名って?【専門家監修】引きやすくなった要因とエキナセア

コクハク編集部
更新日:2024-02-29 06:00
投稿日:2024-02-29 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

 

 

1. 最近風邪を引きやすくなりました…仕事も休めず悩んでいます

 さよさん(34歳女性/仮名)からご質問をいただきました。

以前よりも風邪を引きやすくなってしまいました。最初は周囲から同情されていたんですが、最近は『またか…』みたいな冷たい目で見られます。

 しょっちゅう風邪を引いていると、『自己管理ができていないだらしない人間』みたいに思われていそうで、気になります」

 えりのボスは、頷きながら言います。

「そうよねえ、きちんと体調管理していても引くときはしょうがないけど、何度も引いていると周囲の目が気になってしまうかもね」

「私が休むだけで仕事の進行に支障をきたしてしまって。でも無理して出社するわけにも行かず…リモートワークもできない職種なので困っています。風邪予防のコツはあるんでしょうか?」

 風邪を引きやすく、悩んでいるさよさん。これは放っておけません!

2. 風邪を引くメカニズムはこれ!

「風邪予防の前に、まずは風邪を引くメカニズムについて説明するわね。

 一般的に『風邪』といわれるけど、これは通称で正式な病名ではないの。大抵は風邪症候群、感冒、急性上気道炎といわれる病気で、ウイルス感染によるものなのよ

「なぜ症状が出るんですか?」

免疫力が強ければウイルスは撃退されて症状は出ないけど、体調を崩していたり、抵抗力が弱まっていたりするとウイルスが増殖するのよ。のどや鼻の症状を始めとして、気道に広がる場合もあるわ」

「熱が出るのはどうしてですか?」

ウイルスは熱に弱いから、からだが熱を出してウイルスを撃退しようとするの。これが発熱よ」

 そして、えりのボスは、おすすめのハーブをさよさんに見せました。

風邪の予防には、『エキナセア』もおすすめよ。最近注目されているハーブなの」

「エキナセア? もっとくわしく教えてください!」

3. エキナセアって?

 エキナセアは、さまざまな薬理成分が含有されていて、風邪の予防効果があるといわれるハーブです。エキナセアの基礎知識、効果・効能、飲み方や注意点をご紹介します。

3-1. エキナセアの基礎知識

 エキナセアは、北アメリカ原産の多年草です。ネイティブアメリカンが薬として重用していたハーブで、アメリカのハーブ市場ではとても人気の品種です。ハーブのほかに、ドライフラワーとしても親しまれています。

 エキナセアは、赤紫色の美しい花弁と、大きく膨らんだ中心部が特徴です。その見た目から、ギリシャ語でハリネズミを意味する「エキノス」をもとに名づけられました。

 和名は「ムラサキバレンギク」といい、近年日本でも免疫力向上のハーブとして注目されています。

3-2. 効果効能

 エキナセアには抗菌・抗ウイルス作用があり、免疫機能を活性化するといわれています。3,508名を対象とした臨床試験では、風邪のほかに、インフルエンザ、上気道感染症、カンジダ症に有効性が確認されました(※1)。

 ただし、エキナセアにおいて確認されているのは予防効果であり、風邪発症後の罹患期間を短くするわけではありません。

3-3. 飲み方のすすめ

 エキナセアはサプリメントのほかに、ハーブティーで摂取する方法もあります。おすすめの飲み方をご紹介します。

(1)ポットをお湯でしっかり温める
(2)ティーカップ1杯あたり、ティースプーン山盛り1.5~2杯くらいを目安にエキナセアのドライハーブを入れる
(3)お湯を注いだあと、3分ほど蒸らす

 エキナセアと他のハーブを合わせたブレンドハーブティーもおすすめです。緑茶や紅茶はもちろん、ローズヒップ、ジンジャー、エルダーフラワーともよく合います。

3-4. 注意点

 エキナセアはアレルギー反応を誘起しやすいといわれていて、自己免疫疾患を持つ患者にエキナセアを使用する場合は注意する必要があります。

 エキナセアは、短期的な経口摂取であれば問題ないといわれていますが、長期的な使用の安全性は確認されていません。

 また、妊娠中や授乳中における安全性についても、まだ研究が不十分な部分があります。薬物相互作用については、リスクは低いといわれています(※2)。

4. エキナセアで風邪予防!

「エキナセアは体調を崩しがちな人におすすめよ。ハーブティーとしても楽しめるから、気軽にとり入れられるわ」

「ありがとうございます。風邪にならないように、日々の生活習慣にも気をつけようと思います」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくさよさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

【参考文献】
(※1)「エキナセア」日本メディカルハーブ協会

(※2)「エキナセア(ムラサキバレンギク)」厚生労働省eJIM

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

医療・健康ジャーナリスト 後藤 典子(ごとう・のりこ)

 一般社団法人日本サプリメント協会理事長、賢く選ぶ食と健康プロジェクト統括。同志社大学文学部を卒業後、編集プロダクションを経て、医療・健康ジャーナリストに。「ヘルスデザイン」をテーマに掲げ、健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス- Youtubeチャンネルでは、健康リテラシー向上のための情報を発信している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」の統括も行う。

Sフードプロジェクト
YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


ついつい雑になりがち? 意外と知らない“正しい洗顔”の方法
 洗顔は当たり前に毎日すると思います。歯を磨いたり髪をとかしたりするのと同じで、何げない日常の一部になっていますよね。で...
ビューティークレンジングバームで大人の毛穴ケア!60秒でメイクオフの効果は?
 女性誌で話題の「ビューティークレンジングバーム」ってご存知ですか?メイク落ちの良さはもちろん、毛穴悩みまで改善させてく...
かわいい系からキレイ系にシフトする手っ取り早い4つの方法
「童顔って言われることが多かったのに、気がついたら年相応に見られることが多くなった」 「ガーリーなものが大好きだったけ...
七海 2019-12-04 06:00 ビューティー
乾燥対策は12月から! ボーナスで買って損しない美容家電3選
 例年、冬の乾燥警報は12月から増えていきます。たかが乾燥、されど乾燥。加齢とともに敏感になる女性の肌には、乾燥は大敵で...
ダイソー「URGLAM」4点を紹介! 秋冬メイクを100円均一で
 100円均一で買えるなんて信じられないくらい、アイテムがオシャレなダイソーコスメ「URGLAM」。ちょうど購入予定だっ...
腫れぼったさゼロ!「涙袋×ピンク」でモテる瞳のつくり方
 ツンとしたおすまし顔をしていても、まるでニコッと微笑んでいるように見せてくれるのが涙袋メイク。  けれど、白いアイシ...
ほっそり長い脚に見せたい!コンプレックス別ブーツの選び方
 寒くなり、朝夕は息が白くなる季節になりました。防寒対策としても、お洒落としても、ブーツを導入し始めている人は多いのでは...
七海 2019-11-30 06:00 ビューティー
毛の悩みとサヨナラ! 医療脱毛のアレコレを専門医に聞いた
 脇だけ脱毛を済ませたのですが、お手入れが劇的に楽になったので、他の部位も医療脱毛をしようか迷い中。でも医療脱毛ってどん...
エイジングケア専門医が語る「セックスと美容」の良い関係
 モデルやレースクイーンの経験を持ち、40歳で“奇跡のグラドル”として活動したり2019年はラスベガスで開催された「Mr...
2021-12-21 16:23 ビューティー
いくつ実践? セルフで“美バスト”を育む効率的なポイント3つ
 彼が女性らしさを感じる大切なパーツに、“胸”は欠かせません。「胸に自信を持ちたい!」「美バストになって、彼に喜んでもら...
化粧水はコットンと手のどっちがいい? 肌の水分量UPの方法
 洗顔後に化粧水を付ける時、コットンでつけるか、手でつけるか迷ったことがある方は多いでしょう。実際のところ、どちらが正解...
湿度が低い日も怖くない!デート前の「くせ毛」を時短で救う
 くせ毛の女子にとって、広がりやパサつきが気になる日のデートは、頭を抱えがちなシチュエーション。 「今日に限って、髪が...
小顔整形って? エラを小さくする「3つの方法」を詳しく解説
 プチ整形、アンチエイジング……気になるけれど、敷居が高くてよくわからない、そんなお悩みを抱えている方も多いのでは? コ...
妊娠線予防は?髪型は?プレママに役立つ産前産後の美容知識
 プレママ期間は赤ちゃんを迎える準備や妊婦検診など、何かと忙しい時期。気づけば自分のことは後回しになってしまっていません...
肌に優しいから安心スキンケア! お守り的な基礎化粧品4選
 肌が強くないので、合わない化粧品を使うと赤くなったり、吹き出物ができてしまうのが悩みのタネ。もしもトラブル肌になっても...
そのヒール…本当に似合ってる? 美脚のための選び方のコツ
 美脚になりたくてハイヒールを履いているのに、ガラスに映った自分の歩く姿に、ギョッとしたことがある方はいませんか? 「デ...
七海 2019-11-19 06:00 ビューティー