「ホタテと春菊のワサビ和え」茹でずに焼くのが味の決め手

コクハク編集部
更新日:2019-11-15 06:00
投稿日:2019-11-15 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は埼玉県・浦和の懐石料理「日に日に新」の木下泰司さんに、プロならではの小技が光る「ホタテと春菊のワサビ和え」のレシピを教えていただきました。

シンプルの中に凝縮された「極み」

 これ以上ないんじゃないか、というくらいシンプルな料理です。とはいえ、ここに至るまでには紆余曲折あったそう。

「強羅花壇の料理長になったころは、やはり、自分の特徴を出したくて、いろいろ手を加えようとしたものです。ところがあるとき、オーナーのおかみさんとメニューの試食会をしている際に『もっとシンプルに考えたらどうか』と言われたんです。もともとの素材がおいしいのに、自分たちで手を加えることで、素材の良さを損なっていないか。ハッと気づいたんですね」

 木下さんは高校を中退して、この世界に入ったそうです。強羅花壇の料理長になったのは34歳。それまでの苦労、努力が報われた瞬間でした。悩み、迷った経験を経たからこそ、お料理に「極み」があるのでしょう。

 ただし、この料理には、素人は気づかないコツがあります。

「ホタテを茹でて割いても同じだろうって? 違います。茹でると、お湯にうま味が逃げてしまいます。焼かなければダメです。醤油を絡ませるのも、貝と相性がいいからです」

 木下さんは市場によく行かれるそう。そこで、最近の農家のブランド野菜への取り組みには驚かされるといいます。春菊も進化した野菜のひとつです。

 いい素材をシンプルなだしで味わうと、おいしさが際立ち、日本酒が進みますね。

【材料】

・ホタテ 5個
・春菊 1束
・ワサビ お好みで

【だし】
・だし汁 130㏄
・薄口醤油 10㏄
・みりん 10㏄

【レシピ】

1. ホタテは塩をふってから焼く。仕上がりに醤油を塗って、さらに焼いて香ばしくする。
2. 春菊は葉をていねいにむしり、軸も割いてから、さっと茹でて絞り、だし汁につける。
3. ホタテを割いて、そこに加え、たっぷりのワサビを入れて混ぜ合わせる。

本日のダンツマ達人…木下泰司さん

▽きのした・やすし
 和歌山県出身。地元で修業後、横浜で5年、その後、強羅に移り、箱根の有名旅館「強羅花壇」へ。17年間責任者を務め、2017年4月、「新」に総料理長として移った。

▽日に日に新
「春秋」「暗闇坂宮下」などを手掛けた宮下大輔氏がプロデュースした浦和の新名所。店内は木工作家、富田文隆氏の作品がちりばめられていて、落ち着く空間になっている。素材を吟味した懐石料理のコースはもちろんのこと、埼玉の地酒、ワイン、クラフトビールなどとの組み合わせは斬新で、常に“新たな”発見がある店。
埼玉県さいたま市浦和区仲町1―6―4 ソサナビル3F
℡048・825・1112
営業時間11~14時、17~22時
不定休

(日刊ゲンダイ2018年9月7日付記事を再編集)

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