冬においしさを増すカブ
もともとは和食の職人を目指していた吉田シェフが中華に方向転換したのは、調理学校での研修中に夏バテにかかったとき、中華料理の賄いを食べて治ったのがきっかけだったそう。以来、独学で薬膳を研究し、卒業後は中華料理の道に進みました。
特に野菜へのこだわりは半端ではなく、オーナーシェフを務めるこの店では、国産であることはもちろん、契約農家からじかに取り寄せている野菜も多いんだとか。そんな旬の野菜をふんだんに使った“体にやさしい中華料理”を提供する店として、地元の家族連れや小田急線沿線のサラリーマンなどでにぎわっています。
「簡単! 中華コツのコツ」の著書もある吉田シェフが「10分以内で作れる中華のツマミ」の1品目として教えてくれたのが、紅白の色も鮮やかな、この料理です。
「スライスしたカブは塩で揉むことで水分が抜け出してシンナリし、その水分がおいしいソースにもなります。熱々に熱したごま油をジューという音をさせながらみじん切りにしたニンニクにかけることで、生のニンニクのピリ辛さがやわらぎます」(吉田シェフ)
冬においしさを増すカブには、タンパク質やカルシウム、ビタミン類が豊富で、消化酵素の働きも強い。薬膳では、消化不良や吐き気などの緩和に効果が期待できますね。
「生のカブには喉を潤わせる効果があります。空気が乾燥して喉がイガイガしやすいこの季節にピッタリです」(吉田シェフ)
シャキシャキのカブのサッパリとした塩味に、ニンニクとごま油の風味が程よいアクセントになっていて、おせちに疲れた胃腸も喜ぶはず!
【材料】
カブ 2個
赤カブ 1個
万能ネギ 1本
ニンニク 1片
塩 1つまみ
ごま油 大さじ1杯
【レシピ】
カブ、赤カブは薄くスライスして軽く塩で揉んで盛り付け、みじん切りにしたニンニクと小口切りにした万能ネギを散らす。
本日のダンツマ達人…吉田勝彦さん
▽よしだ・かつひこ
1964年、岩手県の農家に生まれる。高校卒業後、和食の職人を志して調理学校へ。研修中に薬膳に興味を持ち、卒業後は埼玉・新座市の「四川飯店」へ。23歳で代官山「Linka」に入社。25歳で料理長になった後、香港で家庭料理を勉強した。帰国して代々木上原「正宇治」の料理長を3年間務め、1999年にオーナーシェフとして同店をオープン。
▽吉田風中国家庭料理ジーテン
ジーテンは吉田の北京語読み。「医食同源」「食養生」を常に念頭に置き、化学調味料を一切使わず、食材はほとんどが国産。出身の岩手県をはじめとする東北地方の食材を多く使っている。NHK「きょうの料理」などのテレビや雑誌にしばしば登場し、中国家庭料理の魅力を発信している。
水~月曜17~23時(LO22時半)、火曜定休。
東京都渋谷区西原3―2―3 小田急線代々木上原駅から徒歩1分。
℡03・3469・9333
(日刊ゲンダイ2018年1月10日付記事を再編集)
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