ひたし地の“ダブル使い”がポイント
春の到来を告げる山菜は、独特のほろ苦さと香りがごちそうです。
「山菜のおいしさを味わうなら、やっぱりおひたしに限りますよね。あくが強くて下ごしらえが大変そうに思うかもしれませんが、タラの芽やうるい、こごみなどは、さっと下茹でするだけなので、扱いやすいと思います。あとはおいしいだしさえあればいい」
昆布とかつお節で濃いめにとっただしに調味料を加えてひたし地を作り、野菜を漬けるだけでなく、ゼラチンで固めたジュレを上からかけるという、ひたし地の“ダブル使い”がポイントです。
ジュレのほうは、冷ますとどうしても塩味が落ちて味がぼけるので、塩ひとつまみを加えることがおいしさの決め手だといいます。お酒はフレッシュでみずみずしく、米のうま味を感じるうすにごりの純米酒を。春野菜の苦味をまろやかに包み込んでくれます。
【材料】
・菜の花、タラの芽、うるい、こごみ、ふき 各適量
・ひたし地(だし2リットル、塩10グラム、薄口醤油小さじ1、酒小さじ2、みりん小さじ1、砂糖1グラム) 適量
・ジュレ(ひたし地250ミリリットル、ゼラチン5グラム、塩ひとつまみ)
【レシピ】
1. ひたし地の材料を鍋に合わせて火にかけ、沸騰する手前で火を止める。
2. 塩とゼラチンを入れたボウルに1を250ミリリットル熱いうちに加えてよく混ぜ合わせる。粗熱がとれたら、冷蔵庫で2時間ほど冷やし、フォークでほぐす。
3. 菜の花、タラの芽、うるい、こごみはそれぞれ茹でて氷水にとる。ふきは塩で板ずりにしてから茹でて氷水にとり、筋を取る。
4. 水気をとり、食べやすい大きさに切った3を冷やした1のひたし地に2~3時間漬ける。
5. 器に盛り、ひたし地を張って2のジュレをのせ、酢味噌を回しかける。
《だしの取り方》
鍋に水2リットルと昆布20グラムを入れて10~20分おき、中火にかける。沸騰直前に昆布を引き上げ、さし水100ミリリットルをしたらかつお節100グラムを入れて火を止める。1~1分半おいてこす。
《酢味噌の作り方》
鍋に酢70ミリリットルと薄口醤油20ミリリットルを合わせて火にかける。和からし6グラムと砂糖20グラムを溶かし、白味噌200グラムを加えて溶き、最後にみりん少々を加える。
本日のダンツマ達人…川辺輝明さん
▽かわべ・てるあき
1974年、東京都生まれ。高校卒業後、専門学校を経て、ワーキングホリデーなどで3年ほど海外へ。帰国後、数軒の飲食店で修業をし、三軒茶屋の日本酒居酒屋「赤鬼」から2004年に独立。学芸大学に「件」をオープン。
▽くだん
東急東横線沿線では横浜に次いで飲食店が多いといわれる激戦区・学芸大学駅前で愛され続けて14年。こだわりの日本酒は定番が40種類で、酒蔵とのコラボによるプライベートブランドもあり。名物は天然素材のみでとったダシで炊いたおでん。東京都目黒区鷹番3―7―4。
(日刊ゲンダイ2018年4月26日付記事を再編集)
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