味のポイントはウスターソース
「カレー粉に酢」の味がまったくイメージできませんでしたが、これが何とも絶妙な味わいに仕上がっていました。
「ヒレ肉を使うと脂っぽくなく、サッパリして軟らかいのですが、食べておいしいのは脂の入った肩ロースです。肉というのは適度な筋と脂身と赤身がある方がいい。それをどうやったら、さらにおいしくできるか考えました」
じゃばら状にちょっと切り込みを入れるだけで筋が切れるし、味が乗り、肉が軟らかくなります。
表と裏の切り込みを逆にすれば、バラバラにちぎれません。こうすることで肉に甘酢がよく絡んで、コクのある味わいになるのです。
「ポイントはウスターソースです。いろいろな野菜のエキスやスパイスが入っているので、味を調えてくれ、料理のアクセントになります。ケチャップと酢と砂糖だけだと単に甘ったるくなるだけですが、ウスターソースを入れることでグッと味が締まります」
合わせ調味料の分量は黄金比率なので、人数分に合わせて加減すれば、いつでも誰でも鉄板のカレー風味酢豚が味わえるそう。晩酌をしていても白米が欲しくなります。
材料
・豚肩ロース 200グラム(厚さ1センチのステーキカット)
・タマネギ 50グラム
・じゃがいも 50グラム
・パプリカ赤&黄 各20グラム
・ピーマン 20グラム
・冷蔵庫にある野菜 何でもOK
【水溶き片栗粉】
・片栗粉 小さじ1
・水 小さじ2
【合わせ調味料】
・ケチャップ 40グラム
・酢 30グラム
・砂糖 40グラム
・水 60㏄
・カレー粉 3グラム
・ウスターソース 15㏄
レシピ
(1)肉の表面と裏面を右斜め、左斜めと反対方向にじゃばら切りして切り込みを入れる。塩、コショウ(分量外)をして3センチにカット。
(2)タマネギはくし切り、じゃがいも、ピーマン、パプリカは細切りにする。
(3)湯に少量の塩、カットした野菜を入れ、ボイルする。
(4)具材をザルにあげ、水気を切って皿に盛り付ける。
(5)肉は薄く片栗粉をまぶして油で焼き、火を通す。この時、火が通り過ぎないよう注意する。
(6)そのフライパンの中に合わせ調味料を加減しながら少しずつ入れる。
(7)水溶き片栗粉を入れて、とろみの様子を見ながら好みで調整する。
本日のダンツマ達人…矢谷幸生さん
▽矢谷幸生(やたに・ゆきお)
大阪府松原市出身。子供の頃、中華鍋とお玉が当たる「カチン、カチン」という音に憧れ、小学校4年の時、「将来の夢は」という欄に「調理師」と書いた。辻調理師専門学校卒業後、在学中に講師を務めていた千葉県柏市の老舗中華店「知味斎」の料理長にその意欲と熱心さを買われ、9年間、修業を積んだ。料理は全て手作りで「できることは全部やる」という現在の店のコンセプト、経営のノウハウは全て知味斎で叩き込まれた。32歳で店を始め、今年13年目を迎えた。
▽中国菜 香味(シャンウェイ)
2020年、21年と2年連続ミシュランのビブグルマンに輝き、リーズナブルでこだわりの料理の数々が味わえる。常に新しい味を求め続けるオーナー兼シェフの矢谷さんは、オープン以来、毎年4、5回、わざわざ休暇を取って北京や上海、四川省、香港などに買い付けに行っている。山積みにされた数種類の唐辛子や山椒を味見し、どんな料理に合うかを考え、納得したものだけを仕入れるというのだから探求心旺盛だ。店の名前は「知味斎」の「味」と、同店で一緒に修業した先輩が経営する四川料理店「飄香」の「香」から取った。「飄香」は現在、銀座三越など東京で3店舗を展開する有名店だ。大阪府大阪市北区西天満3―6―15。
(日刊ゲンダイ2021年1月16日付記事を再編集)
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