そのまま鍋に放り込めばいい
焼き鳥屋で出てくる砂肝といえば、シャリシャリした食感が特徴です。しかし、この砂肝はそれとはまるで別物。
「砂肝は2つの塊になっていて間に筋があります。皆、硬いので取り除きますが、30分間湯がいてスライスすると程よい食感になります。1時間程度蒸せば筋そのものも軟らかくなるのですが、酒のアテということで少しだけシャリシャリ感を残しました」
これなら砂肝をパックから出してわざわざ筋を切らなくて済みますね。そのまま鍋に放り込めばいいのです。
「食べるのも飲むのも好きなので、自分が食べる場合はまず味と食感、それからいかに手軽にできるかを考えます。さらに一番心掛けているのはロスを出さないようにすること。これは料理人としては当然です。砂肝の筋もそうですが、使えるものは何でも使います。皮を剥く、筋を取る、そうしていくとどんどんロスが出ます。ロスを出さずにいかにおいしく調理するかですね」
麻辣汁がまたお酒によく合うんです。砂肝と一緒にセロリの食感も楽しめますよ。
材料
・砂肝 5個約150グラム
・セロリ 50グラム
・パプリカ赤&黄 各10グラム
・水 600㏄
・塩 7グラム
・日本酒 少々
・ネギ 適量
・ショウガ 適量
【麻辣汁】
・醤油 大さじ6
・酢 大さじ4
・ごま油 少量
・中国山椒の粉 少量
・ラー油 少量
レシピ
(1)砂肝は1度ボイルして湯こぼしをする。
(2)新たに水600㏄に塩7グラム、日本酒を少々と臭み取りでネギとショウガを入れ、弱火で30分間、アクを取りながら煮る。
(3)パプリカとセロリをカットする。
(4)砂肝のあら熱が取れたらスライス。
(5)全部の材料を合わせ、麻辣汁をかけ、混ぜ合わせる。
本日のダンツマ達人…矢谷幸生さん
▽矢谷幸生(やたに・ゆきお)
大阪府松原市出身。子供の頃、中華鍋とお玉が当たる「カチン、カチン」という音に憧れ、小学校4年の時、「将来の夢は」という欄に「調理師」と書いた。辻調理師専門学校卒業後、在学中に講師を務めていた千葉県柏市の老舗中華店「知味斎」の料理長にその意欲と熱心さを買われ、9年間、修業を積んだ。料理は全て手作りで「できることは全部やる」という現在の店のコンセプト、経営のノウハウは全て知味斎で叩き込まれた。32歳で店を始め、今年13年目を迎えた。
▽中国菜 香味(シャンウェイ)
2020年、21年と2年連続ミシュランのビブグルマンに輝き、リーズナブルでこだわりの料理の数々が味わえる。常に新しい味を求め続けるオーナー兼シェフの矢谷さんは、オープン以来、毎年4、5回、わざわざ休暇を取って北京や上海、四川省、香港などに買い付けに行っている。山積みにされた数種類の唐辛子や山椒を味見し、どんな料理に合うかを考え、納得したものだけを仕入れるというのだから探求心旺盛だ。店の名前は「知味斎」の「味」と、同店で一緒に修業した先輩が経営する四川料理店「飄香」の「香」から取った。「飄香」は現在、銀座三越など東京で3店舗を展開する有名店だ。大阪府大阪市北区西天満3―6―15。
(日刊ゲンダイ2021年1月14日付記事を再編集)
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