同棲編<3>恋愛に妥協できない男の、最も長く続く愛とは?

小悪魔ドルチェ寿司 編集者
更新日:2019-07-28 17:52
投稿日:2019-05-24 06:00
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホットなイットボーイというより、じわじわ低温やけどさせる引退系男子。そんな男を好いて惚れ尽くしたわたしの話をしてみたいと思います。今回は、自分を妥協できない男、ましてや恋愛によって妥協なんて到底無理な男が、win-winで女を満足させる亀の頭……、じゃなくて亀の甲をお話ししたいと思います。

ベルトコンベアーに乗せられたい❤️

【vol.14】

 オフィスに迎えに来た車に乗り込むと、一路、羽田空港へ。

 そのまま日本航空のグランドホステスさんに案内されラウンジに向かうと、ひろしがど真ん中で大股を広げて、鎮座していました。

「おう、来たか。思ったよりも早かったな。お前はいっつも遅いけんのう」

 それは時間設定にいつも無理があるから……とは言えず、

「よかったぁ! どこに行くんですか?」

「京都や」

「京都でなにがあるんですか?」

「来たらわかる」

 と一事が万事この調子ですが、なにも決めなくていい、なにも考えなくていい、なにもしなくていい、といったライン作業で完成される"ヤマザキパン"や"玉子屋"のお弁当になった気分で、ベルトコンベアー的デートが大好きなわたしは、ホクホクと着いていきます。

 ラウンジを出たら移動車に乗せられ、気づいたら滑走路のど真ん中へ。なにかの間違いじゃ……と思いながら車を降りると目の前にヘリコプター。

アリストテレスは通用しない

「さっさと乗れ」

「え、ヘリで行くんですか?」

「お前の予定に合わせたったんや。新幹線で京都行くなら3時間はかかるやろ」

 ひろしはわたしが相当な無理をしながら、ひろしの要望を聞き続けていたことを知っていたのです。でも自分の要望や意思は絶対に、なにがなんでも曲げたくない(ヲイ)。わたしが無理をしてひろしに合わせてさえいれば、ふたりは幸せ、少なくともひろしはなんの努力もしなくていい。

 よく津々浦々の恋愛指南ではお互いの歩み寄りが大切、相手を変えようと思ってはダメ、自分が変わらなくては、などと中庸であれ的な解決策が叫ばれていますが、もちろん、ひろしには通じません。

 だって変わる必要も変える意思もないから。女の愚痴も聞きたくないし、要望にも答えたくない。ただ気づいてはいるから、ひろしがどうするかというと……。

カネで解決できるものはすべてカネで解決する

 上空から“H”と見えたヘリポートに降り立ち、向かった先は先斗町。細い路地をくねくねと縫って到着した先は、お茶屋でした。そこには4人の舞妓さん、しかもいずれもメディアに登場したことのある精鋭揃いの方々で、美貌はもちろんのこと、含蓄も人気も高く、一堂に揃えるというのは至難の技だったはず。

 ひろしは開口一番、

「こいつ働きすぎで疲れとるらしいけ、話を聞いてやってくれや」

 とわたしを舞妓さんに紹介しました。一気に女子会モードになった我々。一見様お断りの先斗町一のお茶屋さんで、なにをいわずとも"謝礼を弾むからヨロシク"という無言の圧力と威厳で、ひろしは顔なじみの舞妓さんたちにわたしのガス抜きを"頼んだ"のです。これが噂の……。

 アウトソーシング!!!!!

 お前の愚痴は聞きたくないけど、まあゆうても心配やけ、王様の耳はロバの耳ホールを用意してやったわ、ってことなんですね、ひろしさん……。

 きゃっきゃっきゃっきゃと舞妓さんとわたしはビールを片手に大盛り上がり。

「えー、かっこいいです。出版社で連日徹夜なんて」

「そんな激務でこんなかっこいいなんて、ドルチェさんにしかできないですよ」

「凛とされていて、あ、だから姿勢も綺麗なんですね、やっぱり!」

「いろんな人にお会いになっているから、こんなに洗練されているんですね!」

「うーん、ドルチェさんが愛している人の言う通りにして幸せなら、そのままでいいと思います!」

「わたしは恋人によって自分を変えたくないから、自分を変えなくてはいけないような相手とは難しいと思うんです」

「それほど誰かを好きになれる人って、とことん行くべきだと思うけど!」

「仕事の方が大事だから、仕事に支障をきたすような人は無理かな、わたし」

「えー、自分が変わるしかないと思う! 愛があれば変われるもの」

 これらすべて舞妓さんの言葉なのですが、もう、男性の気持ちがわかる! うん、毎日来たい! うん! 全財産失っても惜しくない! 口と+αで男性をいい気分にさせるスキルが高すぎて、さすが勉強になります。パーフェクトな口の使い方だと思います。

舞妓さんのアドバイスでリフレッシュ

 そして後半に向かうにつれて、どんどんみんなタメ語に……。嬉しい。マジでリアル女子会だわ。

 日夜、手練手管のお客様の相手をし、生き馬の目を抜く京都でトップを走り続けている舞妓さんのナマのアドバイスは、シンプルだけど愛に溢れていて最高のリフレッシュになりました。

 明日からまた徹夜で大丈夫な気分、ひろしのための人生で全然オッケー❤️ひろしのためならなんでも言うこと聞いちゃうもんね! なんてなノリです。

 よくよく詳細を聞くと、ひろしはいつものごとく、なじみのお茶屋さんに今夜行くよと伝えただけ、あとはそのまま来たらしく、そこらへんの事情というのは、もちろん女将さんはひろしには無粋に聞かないし、秘して語らず。ですが、新参者のわたしに聞こえるか聞こえないかの声でひろしの耳元に「〇〇様(ひろしの名字)のいつものお部屋で4人席を用意させていただいたのですが、おふたりだったのですね」と囁いていたので、これが京都の洗礼か、という"ぶぶ漬け"的メッセージを個人的にわたしは受け取りました。この察せよ文化。

「ほんまに〇〇はんは。こないなワガママを聞いてあげるんは、いまんわてどすえ」

 普通の人ならきっと「申し訳ない。今日だけ多めに見てよ」とか「ごめん、ごめん、今度埋め合わせをするから」と少しは申し訳ながると思うのですが、例によってひろしは一向に気にしません(ブレない)。しかし、“いけず”な気持ちになっていた女将さんが「まぁ……」と喜びで嘆息するほどの金額を現金で支払い、京都での夜を後にしたのです。

 わたしは庶民でひたすら恐縮しきりでしたが、その夜のわたしは幸せな気分で世界一の幸せ者だと、いつも以上に愛して愛し合った夜でした。

 そしてこの時のわたしはまだ知りませんでした。イギリスの小説家、サマセット・モームがいった、最も永く続く愛は決して愛し返されぬことであるということを。そしてそれが真実であったことを。

 次回(5/31更新予定)に続きます。 

小悪魔ドルチェ寿司
記事一覧
編集者
出版社で勤務のかたわら、現場主義のスケベライフを送っている最中に81歳と恋に落ち同棲生活開始。

関連キーワード

エロコク 新着一覧


キャリア女子がチャラ男とのエッチで得たもの&失ったもの
「女の子だってエッチしたいんだもん!」  はい、女性にだって性欲ありますよね。“女は男の6倍エロい”という説もある...
援助交際も危機管理意識なし…精神的に未熟だった高校時代
 皆さん、出逢い系サイトを利用したことはあるでしょうか。最近は「マッチングアプリ」など、少しライトな名前でも呼ばれていま...
ゴツゴツした凹凸が粘膜をかきわけて刺激…クセになります
 ラブグッズの世界では、人気のある商品がシリーズ展開することがあります。コスメなどと似ていますね。今回、紹介する「エクス...
桃子 2019-11-12 04:36 エロコク
セックス編<1>81歳相手でもヤリマンとしての美学(キリッ)
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
「出会い系」のルーツは江戸時代? 出合茶屋にみる密会模様
「出会い系」というといかがわしい響きだと感じる人も少なくないでしょう。出会い系サイトというものが、男女の肉体的なものを意...
内藤みか 2019-03-28 13:55 エロコク
ひと手間で興奮度大 セックスを極上にする“3つのスパイス”
 互いの肌の温もりを感じ、肉と粘膜を求め合うセックス。大好きな彼とのセックスをより豊饒なものへと変えるため、もしくはマン...
蒼井凜花 2019-04-11 17:23 エロコク
小ぶりな挿入部とお手ごろ価格でビギナーも安心して使える
 私は知っています。ローターやバイブレーターといったラブグッズに興味がある女性が少なくないことを!  でも、一歩を...
桃子 2019-11-12 04:35 エロコク
出会い編<4>これが「81歳オトコ」のお持ち帰り100%必勝法
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
あなたの避妊は一回いくら?#2…コストが高く大きな負担に
 ふたりの人間の心が高鳴り、心と体の波長が一致したときに「肌を重ねたい」と突然、思うのが現実のセックス。いつ・誰と・どこ...
6個の独立したモーター内蔵…関節のように曲がる斬新バイブ
 近年の女性用ラブグッズ界では、「1つあれば何通りもの快感を得られる」バイブがトレンドです。バイブレーターとクリトリス吸...
桃子 2019-11-12 04:35 エロコク
出会い編<3>セクハラ目線を承知で…この中の誰とヤリたい?
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
あなたの避妊は一回いくら?#1…価格×成功率のコスパ最強は
 一生に一度も避妊をしたことない、という人は多くはいないでしょう。日本人はどんな方法で避妊を行っているか、国際協力NGO...
ソフトなのにセクシー 気分を盛り上げるオススメの“キス4選”
 手をつなぐ、ハグする、とともに愛情表現の一つである「キス」。官能小説でもたびたび登場するキスシーンは、唇をソフトに密着...
蒼井凜花 2019-03-12 17:00 エロコク
女性も楽しめる吉原…遊郭専門の書店「カストリ書房」の魅力
 お江戸吉原といえば、かつては遊郭街があった場所。でもそこが今の東京のどの辺りかを正確に言える人はあまり多くはありません...
内藤みか 2019-03-11 16:44 エロコク
出会い編<2>ヘイ! 48歳年上のひろしにノーブラの挑戦状
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
エッチな気分に彼とのズレ…ここが違う“男女の官能スイッチ”
 カレがベッドインしたいというタイミング、なんだか自分とズレているかも……と思ったことはありませんか? それって実は、男...