横暴SEXで“分散”決意!乳房、卵巣を失った40代主婦は新たな男を探す#4

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-02-23 11:21
投稿日:2024-02-23 06:00

そして「分散」へ…

――お相手がいたわってくれない虚しさ、とてもつらいですね。続けてください。

「はい…純也さんとの関係に違和感を覚え、久しぶりに既婚者専用マッチングサイト『R』を見ると、私にメッセージ付きの『いいね』がついていることに気づきました。

 顔にボカシのない笑顔が爽やかなスポーツマン風の年下男性でした。グリーンをバックにしているので、ゴルフ場で撮影した1枚と察せられました。

《香織さん、初めまして。都内に住むタカ(45歳)と申します。会社を経営しているため、時間はある程度融通が利きます。

 気の合うパートナーを探しているので、お一人見つかったら、サイトを退会予定です。よろしければ、お会いできませんか?》

 メッセージはシンプルですが、爽やかな笑顔に惹きつけられました。身長176センチ、やや細め。趣味はゴルフ、トレーニングジム、映画。

 年収は1200万~1500万円。子供はおらず、妻とは別居と書かれています。希望は『真面目なお付き合い』『癒し癒される関係』『お互いの今を大切に』

 純也さんと関係しているにもかかわらず、このタカさんに強烈に惹かれてしまったんです。不意に、『分散』という言葉が脳裏をよぎりました。

 これは、既婚者マッチングサイトならではの文言かもしれませんが、ひとりの男性に沼らないよう『パートナーを複数持ち、愛情を分散させ、婚外恋愛を謳歌しよう』という意味です。

 むろん反対派もいて、『分散派・アンチ分散派』で掲示板が炎上することもありました」

幸せなのか? と自問自答の末

――続けてください。

「私自身、性病などが怖いし、複数との関係は持ちたくない派です。でも、純也さんのLINEに一喜一憂したり、彼に捨てられないよう暴虐的なセックスにも耐える自分は幸せなの? と自問自答しました。

(もし『分散』したら、もっと楽に生きられるかも。それに、純也さんより誠実な男性と出会えるかも)

 すでに不倫をしているのに、何を血迷って分散するの? と呆れられるかもしれません。でも、私は思い切って彼に『いいね』を返してマッチングし、返信メッセージをしました。

《初めまして。いいねとメッセージをありがとうございます。香織と申します。私も癒し癒される一人の男性を求めています。タカさんの爽やかな笑顔に惹かれました。お時間の合う時、ぜひお会いしたいです。よろしくお願いします。》

 約1時間後、タカさんから返信が来たんです。

《香織さん、ありがとうございます。僕が四つも年下なので、正直断られたらどうしようと思ったのに、勇気を出してよかったです。

 僕は『まずはお会いして話してみたい派』なんですが、香織さんさえよければ、お茶かランチでもしませんか?

 会ってみて気に入らなかったら、その場でお帰りくださって大丈夫ですよ。場所は香織さんの都合のいい所で、ぜひ。》

 彼はチャットでやり取りを重ねるよりも、まずはリアル対面してフィーリングを確かめたいようです。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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