LINE電話越しの疑似SEXでエクスタシー、脱アラフォー内縁妻なるか #6

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-06-21 06:00
投稿日:2024-06-21 06:00

不安が襲ってくる

――聞いていてドキドキしっぱなしでした。続けてください。

「このようなプレイは週に2、3度続いたでしょうか。疑似セックスの時はこの上なく幸せで、彼に愛されている実感はありましたが、LINE通話を切ると、すぐさま不安が襲ってくるんです。本当に離婚してくれるの? という不安です。

 奥さまとは離婚の話はついているとのことですが、直前になって、息子さんへの愛情に傾いてしまったら…。そんな恐怖と常に背中合わせだったんです。

 彼のことをひたすら待つ苦しい時間が過ぎました。略奪婚を目論んだ際、決して自分から『離婚に向かって順調にいってるの?』と聞かないと決めたので、自分から彼をせっつくようなマネは一切しません。

 人間、せっつかれては反発心が湧いてきますからね。そして、決して奥さまの悪口を言わないことも、ルールに入れました。

 ひたすら『正樹さんを信じてる』『今日もLINE通話の時間をとってくれてありがとう』『お仕事頑張って』とポジティブな言葉を伝えました。

 東北の実家では、母の看病という名目ですから、さほど奇異な目では見られなかったことも救われました。父とは相変わらずぎこちない関係ですが、以前の電話で、私が父に対してのこれまでの不満と怒りをぶちまけたことで、少しだけ反省したようで…(笑)。

ついに離婚が成立

 約束の2年まで、あと2カ月という時、彼から連絡が入ったんです。

――無事、離婚が成立した。千鶴のご両親に挨拶がしたい。

 この報告を聞いた時、私はスマホを握りしめて、その場に崩れ落ちてしまいました。嬉し涙がこみ上げて、どのように返答したか覚えていません。

 それからは、大忙しです。仏頂面の父に正樹さんは頭を下げて、

――千鶴さんと結婚させてください。

 と言ってくれて…。そんな正樹さんに父は『財産目当てじゃないだろうな』とか『因果応報という言葉がある。不倫で結ばれた夫婦は、同じ目に遭って別れる可能性がある』など、失礼極まりない言葉を浴びせかけましたが、正樹さんは、

――財産目当てなど一切ありません。

――不倫で結ばれても、僕は一生、千鶴さんを大切にします。

 とキッパリ告げ、何とか結婚を認めてもらったんです。北陸に住む正樹さんのご両親にも挨拶をして、結婚式は無し。婚姻届けは、大安の日に区役所に届けました。

 私が休職していたイベンド会社は辞め、現在は専業主婦に徹しています。内縁の妻だった2年は不安でいっぱいでしたが、振り返ってみると、彼を必要以上に追い詰めなかったり、奥さまの悪口を言わなかったり、セックスを含めて『彼に居心地よく過ごしてもらう』というささやかな積み重ねが、略奪婚の成功に繋がったんじゃないかと思えます。

 略奪婚というよりも、『純粋に不倫愛を貫いた』ともいえるでしょうか」

 千鶴さんは幸せそうに微笑んだ。

 今は妊活に向けて、体調管理をしているそうだ。今回の取材を通して、不倫から略奪婚に至る確率はどのくらいなのかと、ふと考えた。2年ならば短い期間だろうが、千鶴さんが味わった苦しみや不安は想像を絶する。

 そう遠くないうちに、家族3人で笑い合うことを願って、筆者は千鶴さんを見送った。

(了)

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

エロコク 新着一覧


ハンズフリーで楽しめる…ローターの振動から逃れられない!
 本日紹介するのは、ニューヨーク在住の女性2人が立ち上げた「デイム」というブランド。女性のオーガズムについて研究とリサー...
桃子 2019-11-12 04:39 エロコク
いわゆるSMではダメ…精神的に屈服させられることに興奮する
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-05-24 18:05 エロコク
同棲編<2>男に求めては絶対NGなのに女が求めすぎる“〇〇力”
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
出版社OLが“人妻風俗”に転落した理由 美沙さんのケース#4
 職場の人たちからも、実家の家族からも距離を置いてしまった美沙さん。一人の給料で健斗と二人の生活費をまかない続けてきまし...
主婦レズビアンの告白#3…女同士の底なしのセックスとタブー
 夫とのセックスレスに悩むY子さん(35歳・薬剤師)は、観劇仲間で、宝塚男役のように麗しい友人・Dさん(37歳・独身・映...
蒼井凜花 2019-05-15 17:33 エロコク
温感&ターボ機能…優しさとワイルドさを併せ持った優秀電マ
 女性を気持ち良くするグッズとして、これまでバイブ、ローター、吸引系グッズを中心に紹介してきましたが、電マを忘れてはなり...
桃子 2019-10-08 15:56 エロコク
SEXはコミュニケーション…オナニーは自身の“快楽の追求”
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-05-11 06:00 エロコク
同棲編<1>男のアレを抜いてトリコにさせる第一歩
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
寿司を素手で食べる女性はモテる? 男を無意識に欲情させる
 これから書くことはあくまで私の経験による持論でしかありません。しかし、寿司を素手で食べる女性はモテる傾向にあります。つ...
先端の二股で耳もくすぐって…新たな快感に出合えるかも
 “くすぐったい”って、笑っちゃうような、それでいて性感の一歩手前のような、なんとも、じれったい感覚ですよね。「ファンフ...
桃子 2019-11-12 04:39 エロコク
マッチングアプリでお金目当ての男性を見抜く3つのポイント
 今や利用率は20代、30代の男女で約20%とも言われ、次第に一般的になりつつあるマッチングアプリ(出会い系サイト)。ア...
内藤みか 2019-05-06 06:00 エロコク
容姿やお金が足りなくても…M女を従わせるのは心根だと実感
 私が出逢い系で遭ってきた様々な体験談を語るこの連載。第2回目はSM系のチャットで知り合った男性と会った時の話です。
吸引系ラブグッズの衝撃 ドイツメーカーに聞いた開発のウラ
 “吸引系”ラブグッズーークリトリスを覆い、振動で刺激しながら吸い上げるラブグッズのことを、こう呼びます。これが世界中で...
桃子 2019-11-12 04:38 エロコク
<袋とじ>浮気しない男を見つけるために必要なひとつのこと
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
現代と違う? 15年前の“パパ活”マンガを読み直してみました
 先日、15年前のちょっと過激な少女漫画『娼婦ハルミン物語』を読み直してみました。援助交際をする10代の女の子が主人公な...
内藤みか 2019-05-05 23:11 エロコク
無意識のモテ術! 着飾る“キレイすぎる女”がモテにくい理由
 皆さんは「無意識のモテ術」って知ってますか? これ、私が恋愛に困っている女性たちにレクチャーしている恋愛術のひとつなん...