いきなり唇にキスを…セクハラ女の怪進撃がヒートアップ

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-14 17:01
投稿日:2019-10-17 15:20

ひとりで盛り上がる身勝手な女

G「ンふ……」

 もう、気持ち悪い、という感覚さえなく、ただ焦るばかりです。どうしよう、どんな対処がいちばん、仕事のために正解なのだろうか。

G「ン、ぁフン……」

 キスしながら、彼女はどんどん盛り上がっていきます。それは性的な興奮に加え、「私がいろいろ教えてあげる」というような、上から撫でつけるような喘ぎ声です。

 私は、彼女が部屋に上がったときから、左手にケイタイを握りしめていました。すぐにタクシー会社の番号が出るよう設定してもいました。横目で操作します。プルルルルー。

私「あ、恐れ入ります。いつもの場所に一台、お願いします」

 話しながら立ち上がり、

私「では、6、7分でタクシーが来ますので」

 Gはまた、左右の瞼肉に黒目の埋もれた目でこちらを見上げます。私は先に玄関まで行きます。

私「それでは、お疲れ様でした」

 彼女はゆっくりと動き、靴を履き、そうしてまた私を睨むように小さく笑い、ようやく外へ出ていきます。私はドアを閉じ、鍵をかけながら、心から祈ります。どうかこれ以上は勘弁してください。彼女自身が後に引けなくなるくらいにまでは、進撃してきませんように……。

 次回に続きます。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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