周囲も違和感に気づき始め…知人を交えた飲み会の夜の出来事

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-12-13 17:30
投稿日:2019-12-13 17:30

自分自身を好きなキャラクターに投影

 1960年代生まれのGの憧れのキャラクターは、『ベルサイユのばら』のロザリーでした。皆から愛され、大切にされる存在。特に自分の愛する誰かには母親のように慕われ、甘えられ、守られる存在。

 自分から私に迫るのは、彼女のシナリオ上では、母親が子を守るような所業。キスをせがむのは、可愛い甘え。そしてはにかむ自分の唇を、私にはくすっと笑って、奪ってほしい。自分があげた愛情以上の情熱をぶつけて欲しい。

 イメージとは食い違うことが起こっても、彼女は脳内で都合よく補正します。が、マイシナリオに没入するパワーは、崩れだすリアルの前で、自分を壊す負のパワーにもなっていくのでした。

ヒロインの親友との関係を細かく指示

 ある居酒屋での打ち合わせでのこと。当時、彼女は私に、「自分と綾さんの物語」を書かせようとしていました。ヒロインの親友キャラのモデルを、(彼女の自己イメージの)自分にし、さらにヒロインとの関係を同性愛っぽく描くよう指示していました。

私「どうしてその方向にする必要があるんですか?」

 私が仕事として理由を問うと、

G「どうして駄目なんですか!」 

 彼女が突然、喚きだします。

G「私は綾さんのためを思って言っているのに」

私「駄目なのではなく、違和感と疑問があるので」

G「だから! 綾さんはいまこれを書くべきなんです!」

 ヒステリックな大声が続きます。周囲の客や店員がこちらを見ています。彼女のほうは斜め下を向いて、自分の感情とシナリオに酔って喚き続けるだけです。

G「どうしてですか。どうして同性愛は駄目なんですか。それは綾さんの偏見です」

私「えーと、私、同性愛自体はむしろぜんぜんOKですけど」

 束の間の沈黙。そして、

G「とにかく! 綾さんはいまこれを書くべきなんですっ!」

 5分ほど喚くと、彼女は背中を丸めて下を向き、涙を拭ったりします。

 こういったことが、私の仕事や取材に同行するようなシチュエーションでも頻発するようになりました。これまでの被害は私ひとりで済みましたが、だんだん私の仕事仲間にも居心地を悪くさせる状況が続きます。
 
「あの人、おかしくない?」「ちょっと見ていてキツイわぁ」

 そう言いだす人が増えてきました。

うかみ綾乃
記事一覧
小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

エロコク 新着一覧


男女に聞いた「女性のアンダーヘア事情」どこまで処理する?
 女性のみなさん、アンダーヘア、つまり陰毛の処理はどのようになさっているでしょうか。  10年くらい前まではみんな...
アブノーマルプレイ初心者へ…細いボディーが優秀な相棒に
 コスメブランドが1シーズンに数種類のカラーの口紅を出すように、ラブグッズの世界にもシリーズ展開しているブランドがありま...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
3Aを求める他力本願な自己実現女が騙される救世主男子よ
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
“ママ活”マンガ 男性用と女性用を読み比べたら全然違った
「ママ活」という言葉が盛んに使われるようになったのは、2018年後半頃から。そこから半年ほどを経て、いよいよ「ママ活」を...
内藤みか 2020-05-20 11:23 エロコク
女性器リノベに投資する女たち#2…小陰唇縮小術の費用と中身
 日々鏡で顔を見ない女性はほとんどいないと思いますが、「自分のアソコを毎日見てチェックしている」という女性もまたほとんど...
内蔵されている“舌”が高速で…あっという間に昇天してしまう
 今年一番、勢いのあるメーカーといわれているのが「P×P×P」。ポップなデザイン&パッケージとお手軽価格とで、ネットショ...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
全SNS利用者が読むべき太宰治に学ぶ【恥】リスクヘッジとは?
 48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイットボーイというよ...
女性器リノベに投資する女たち#1…最も多い“小陰唇”の悩み
 20~40代のOLのうち60%近くの女性が、自分の性器の形状にコンプレックスを感じている、という出版社の調査がありまし...
じんわり穏やかな快感…欧米で流行の“あてがう系”ローター
 一見するとPC用品? 昨今のラブグッズは“いかにも”なものがどんどん減っていますが、これはその中でも群を抜いてグッズら...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
プラトンで分かる 2500年ぶりに令和に蘇った【エロス】とは
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋。男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイット...
男心の大事なポイントは「アダルトビデオ」が教えてくれます
 映画観放題の動画配信サービスはいくつもありますが、実はアダルトビデオ観放題の配信サービスも存在しています。なかには月額...
内藤みか 2019-07-18 06:00 エロコク
“セックスをすると綺麗になる”は本当か? 理学療法士が検証
「セックスをすると綺麗になる」そんな話を耳にしたことはないでしょうか。実際のところどうなのか、なぜ綺麗になるといわれるの...
山本茜 2019-08-14 16:06 エロコク
気づけば奥にまで…初めての女性にもオススメな“植物的”形状
 ずっと以前に読んだ官能小説で、女性主人公が常夏の異国で出会った年下男性の“彼自身”について、「細長くて、植物のような」...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
蜜月編<2>言いまつがい【滑舌悪いVS耳遠い】頂上決戦
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。...
自意識を吹き飛ばす シャイな女性が目覚めた“見られる”快感
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-07-11 18:00 エロコク
彼を恋の虜に…男性を100%本気にさせる「スンドメ」の美学
 皆さん、今少し気になっている男性はいらっしゃいますか? 願わくば、気になっている男性に振り向いて欲しいと思うのが女心だ...