高額バイトで経験した夢のような一日…優紀さんのケース#2

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2020-03-22 06:00
投稿日:2020-03-22 06:00
 しつけの厳しい両親から離れ、一人暮らしの大学生活をはじめた優紀さん。生活費が苦しくて応募した高額バイトはアート写真のモデルでした。アダルト撮影だったらどうしようという不安ははずれ、芸術的なロケ撮影に参加できて優紀さんは喜びました。ところが帰り道、カメラマンのA氏は黙ってラブホテルの駐車場に車を乗りつけたのです。

親に植えつけられた男性への警戒心が恥ずかしい

 優紀さんの母親はいわゆる過干渉で、優紀さんの異性関係をくわしく聞きたがる人でした。高校のときに男性経験はありましたが、「責任を取ってくれない男性に体を許してはダメ」と母親に言われ、相手がきちんと避妊をしてくれなかったことを理由に別れたこともあります。

 写真家の先生は独身だし、強引に連れこんだわけではなく、当たり前のような顔でカメラバッグを持ってホテルの中に入っていきました。優紀さんは、「これってセクハラなのでは?」という疑念と、「まだ撮影の続きがあるのかな?」という気持ちのあいだで迷いながら、部屋に入りました。

やさしい笑顔に不安と緊張も消えて

 乱暴に腕でも引っぱられれば「やめて」と反射的に言葉が出ますが、平然と密室に入って行かれると、断ったり相手の気持ちを問いただしたりするキッカケを失ってしまいがちです。

 セクハラや性犯罪の裁判で「彼女は拒否せずにホテルの部屋についてきた」と加害者が主張するのは、こういうケースが含まれているのではないでしょうか。困った顔をしている優紀さんにA氏はにっこり笑いかけ、髪に手を伸ばしてきました。

「シャワー浴びたほうがいいよ。山の植物でアレルギー起こしたら困るから」

 いつのまにか髪についていた草の実を取ると、優紀さんにバスルームの場所を示して、A氏は自分だけ部屋に入っていきました。ベッドに誘われるのかと緊張しましたが、運転途中の休憩を取りたかっただけで、変なことをする意図はないのかも知れない……。

 シャワーを浴びながら、優紀さんは疑り深い自分が恥ずかしくなりました。両親の潔癖な教育のせいで、男性に対する警戒心が強すぎるのだと思いました。男性の好意を、性的な下心かも……と不安になって拒絶し、彼氏ができかけてもうまくいかない……ということが過去に何度もあったのです。

神田つばき
記事一覧
作家・コラムニスト
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”、女性に生まれたことの愉しみを探そうと緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、女性の悩みや疑問を解き明かすコラム「性に纏わるあれこれ」
イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などの企画も。X

関連キーワード

エロコク 新着一覧


男女に聞いた「女性のアンダーヘア事情」どこまで処理する?
 女性のみなさん、アンダーヘア、つまり陰毛の処理はどのようになさっているでしょうか。  10年くらい前まではみんな...
アブノーマルプレイ初心者へ…細いボディーが優秀な相棒に
 コスメブランドが1シーズンに数種類のカラーの口紅を出すように、ラブグッズの世界にもシリーズ展開しているブランドがありま...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
3Aを求める他力本願な自己実現女が騙される救世主男子よ
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
“ママ活”マンガ 男性用と女性用を読み比べたら全然違った
「ママ活」という言葉が盛んに使われるようになったのは、2018年後半頃から。そこから半年ほどを経て、いよいよ「ママ活」を...
内藤みか 2020-05-20 11:23 エロコク
女性器リノベに投資する女たち#2…小陰唇縮小術の費用と中身
 日々鏡で顔を見ない女性はほとんどいないと思いますが、「自分のアソコを毎日見てチェックしている」という女性もまたほとんど...
内蔵されている“舌”が高速で…あっという間に昇天してしまう
 今年一番、勢いのあるメーカーといわれているのが「P×P×P」。ポップなデザイン&パッケージとお手軽価格とで、ネットショ...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
全SNS利用者が読むべき太宰治に学ぶ【恥】リスクヘッジとは?
 48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイットボーイというよ...
女性器リノベに投資する女たち#1…最も多い“小陰唇”の悩み
 20~40代のOLのうち60%近くの女性が、自分の性器の形状にコンプレックスを感じている、という出版社の調査がありまし...
じんわり穏やかな快感…欧米で流行の“あてがう系”ローター
 一見するとPC用品? 昨今のラブグッズは“いかにも”なものがどんどん減っていますが、これはその中でも群を抜いてグッズら...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
プラトンで分かる 2500年ぶりに令和に蘇った【エロス】とは
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋。男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイット...
男心の大事なポイントは「アダルトビデオ」が教えてくれます
 映画観放題の動画配信サービスはいくつもありますが、実はアダルトビデオ観放題の配信サービスも存在しています。なかには月額...
内藤みか 2019-07-18 06:00 エロコク
“セックスをすると綺麗になる”は本当か? 理学療法士が検証
「セックスをすると綺麗になる」そんな話を耳にしたことはないでしょうか。実際のところどうなのか、なぜ綺麗になるといわれるの...
山本茜 2019-08-14 16:06 エロコク
気づけば奥にまで…初めての女性にもオススメな“植物的”形状
 ずっと以前に読んだ官能小説で、女性主人公が常夏の異国で出会った年下男性の“彼自身”について、「細長くて、植物のような」...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
蜜月編<2>言いまつがい【滑舌悪いVS耳遠い】頂上決戦
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。...
自意識を吹き飛ばす シャイな女性が目覚めた“見られる”快感
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-07-11 18:00 エロコク
彼を恋の虜に…男性を100%本気にさせる「スンドメ」の美学
 皆さん、今少し気になっている男性はいらっしゃいますか? 願わくば、気になっている男性に振り向いて欲しいと思うのが女心だ...