「蛤と九条葱のさっと煮」驚くほど軟らかく仕上がるプロの技

コクハク編集部
更新日:2020-08-25 06:00
投稿日:2020-08-25 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は埼玉県・浦和の懐石料理「日に日に新」の木下泰司さんに、貝のダシが効いた「蛤と九条葱のさっと煮」のレシピを教えていただきました。

貝は生のまま割るのが正解

 驚いたのは蛤を生のまま、割ることです。火を入れて、自然に貝が開くのを待ちません。

「そうすると硬くなっちゃうんですよ。貝はこの調理法を覚えておくと便利です。絶対に硬くなりませんから。やってみると、意外に簡単にできるんですよ」(木下泰司料理長)

 貝の割れ目にステーキ用のナイフを入れて力を入れると、簡単に開きます。包丁よりもステーキナイフの方が安全です。その際、汁がこぼれないように器の上でやります。この汁がダシの決め手になるのです。

「この汁は塩気があります。ですから、昆布ダシに貝の汁を入れたら、味を見ること。薄口しょうゆ、塩で味を調えるのですが、塩を入れないでも大丈夫です」

 火を入れ、アクをすくい、蛤を入れたら1分~1分半。葱を散らします。酢味噌和えもこの組み合わせですが、とにかく、蛤と葱が合います。蛤は大きなものは高いですが、別の貝でも大丈夫。この調理法であれば驚くほど軟らかく仕上がり、お酒がおいしくなること間違いなし!

【材料】

地蛤 5個
九条葱 1束
昆布ダシ
薄口しょうゆ 少々
足りなければ、塩少々

【レシピ】

(1)蛤を丼の上で半分に割り、身を取り出す。その際、中の汁も逃さず、丼で受け止める。
(2)葱は3センチくらいに切る。
(3)昆布ダシを炊き、蛤の汁を入れて、薄口しょうゆで味付け。その後、蛤を入れて、火が通ったら、葱を散らし、火を止め、冷ましてから出す。

本日のダンツマ達人…木下泰司さん

▽きのした・やすし
 和歌山県出身。地元で修業後、横浜で5年、その後、強羅に移り、箱根の有名旅館「強羅花壇」へ。17年間責任者を務め、2017年4月、「新」に総料理長として移った。

▽日に日に新
「春秋」「暗闇坂宮下」などを手掛けた宮下大輔氏がプロデュースした浦和の新名所。店内は木工作家、富田文隆氏の作品がちりばめられていて、落ち着く空間になっている。素材を吟味した懐石料理のコースはもちろんのこと、埼玉の地酒、ワイン、クラフトビールなどとの組み合わせは斬新で、常に“新たな”発見がある店。埼玉県さいたま市浦和区仲町1―6―4 ソサナビル3F。

(日刊ゲンダイ2018年9月4日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


カレー味のふんわり卵に包まれた「プーアッパッポンカリー」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・新橋の「タイ料理バル タイ象」のジットダ...
ダシとスパイスで食す「マサライカ焼き」大阪名物を超える?
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・下北沢の「タコムマサラダイナー」の藤田一...
「麻婆キーマカレー」お酒と一緒にちびりちびりつまみたい!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・下北沢の「タコムマサラダイナー」の藤田一...
錦糸町の“ヤバいカレー屋”に行ってみた 2021.11.11(木)
 すっかり日本の国民食として定着した「カレー」。筆者も大のカレー好きです。スパイスの香りに誘われて、ついカレー屋さんに入...
「ブルーチーズ和えピータンサラダ」素材の見事な好相性!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・下北沢の「タコムマサラダイナー」の藤田一...
秋だからこその逸品「秋刀魚のアチャール」旬の味覚が大変身
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・下北沢の「タコムマサラダイナー」の藤田一...
秋冬に食べたいアイス5選 2021.11.8(月)
 今年は、気温が低くなるのが早いと感じています。寒くなってくるとおいしくなるのが、暖かいお部屋でぬくぬくと食べるアイス。...
誰もが“美味しい”と感じる味!「ポテサラ風スパイスサブジ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・下北沢の「タコムマサラダイナー」の藤田一...
レンジでポテチが作れる! 100均グッズレポ 2021.11.6(土)
 100均ショップが好きです。欲しいものがなくても、とりあえず週に1度は宝探し感覚で覗きに行きます。最近の100均ショッ...
「すきじゃが」牛肉の代わりに鶏肉や豚肉でもおいしい!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・中目黒の「和食屋 だれかれ」の福田雅宣さ...
「鰹とキムチのクリームチーズ和え」丼にして晩酌の締めにも
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・中目黒の「和食屋 だれかれ」の福田雅宣さ...
「牡蠣の柚子胡椒焼き」表面はカリッと中はふわっと柔らかく
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・中目黒の「和食屋 だれかれ」の福田雅宣さ...
毎日食べたい味「ナスとピーマンとじゃこのショウガ炒め」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・中目黒の「和食屋 だれかれ」の福田雅宣さ...
相模原市「たまご街道」でおいしいもの巡り 2021.11.1(月)
 手頃な価格でありながら、栄養たっぷりのたまごは私たちの生活には欠かせないもの。筆者も一日一個は必ず食べるようにしていま...
「キノコと明太子和え」コツは明太子を余熱で和えること
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・中目黒の「和食屋 だれかれ」の福田雅宣さ...
ホッとする一杯「ウナギ茶漬け」ウナギは酒蒸しでふっくらと
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・日本橋の鰻串焼き居酒屋「心天」の林成さん...