裏技テクでじっくり2時間 磯の風味を凝縮した「蒸しアワビ」

コクハク編集部
更新日:2020-11-16 06:00
投稿日:2020-11-16 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔さんに、どんなアワビでもおいしく仕上がる「蒸しアワビ」のレシピを教えていただきました。

時間をかけて弱火でじっくりと

 アワビ――なんと高級な響き。庶民には旅館の夕食でしかお目にかかれないVIPです。それを今回は家飲みのツマミにしようってわけ。

「アワビなんて、いまどきスーパーでも売ってますよ」と小林さん。そりゃそうだけど、我々庶民が買える代物なんぞ、たかが知れています。

「どんなアワビでも同じようにおいしくなる、とっておきの方法を教えますよ」

 そう言って透明の袋を取り出した小林さん。そこに殻ごとよく洗ったアワビを入れ、空気を抜いて口を縛り、蒸し器にかけました。

「袋に入れるのは、にじみ出たうま味を再びアワビに戻すため。アワビ自体に塩気があるので塩も入れません」

 弱火で蒸すこと2時間。肝は取り出して肝ソースに。それをチョイとかけていただきます。ムム、ナンダこの軟らかさ! ほどよく弾力もあり、噛めば噛むほど磯の香りと塩味がにじみ出てきます。そこに肝ソースの甘味がからまり、何ともふくよかな味わい。これに負けない酒は……そう、越後の銘酒、鶴齢です。

 とにかく時間をかけてじっくり蒸すのがコツ。雨の日曜日にでも、じっくり取りかかりましょう。

【材料】

・アワビ 200~300グラム(ツブ貝や白バイ貝でも可)

〈肝ソース〉
・肝   ※アワビ1つ分
・水       50ミリリットル
・酒      大さじ2
・濃口醤油   大さじ1
・塩        適量

【レシピ】

(1)アワビの殻の表面をタワシでこすってゴミをとり、口を切って神経を抜き、厚手のナイロン袋に殻ごと入れて空気を抜く。
(2)蒸し器に入れて弱火で2時間以上蒸す。
(3)軟らかさを確認して蒸し器から出し、冷ましたら殻から外し、肝と身に分け、肝は真ん中から割って掃除する(中の白い部分を流水で洗う)。
(4)まな板の上で肝を叩き、鍋の中へ入れ、調味料を加えて火にかけ、木ベラで肝を潰すように混ぜる。裏ごしして完成。

本日のダンツマ達人…小林宏輔さん

▽小林宏輔(こばやし・こうすけ)
 1979年、新潟県新発田市生まれ。東京の魚問屋が営む鮨店「魚真」で板前修業を積み、2010年に帰郷。17年のリニューアルを機に「登喜和鮨」3代目を襲名。

▽登喜和鮨
 新潟県北部に位置する新発田市に昭和29年創業。飯豊連峰の山の幸と日本海の海の幸、それぞれの素材を引き出すことにこだわる。近ごろは県外からも多数来客。地酒も数多く揃える。新潟県新発田市中央町3―7―8。

(日刊ゲンダイ2019年11月27日付記事を再編集)

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