おいしい季節に!「合鴨の治部煮」脂の乗った“口福”な鴨料理

コクハク編集部
更新日:2021-10-09 06:00
投稿日:2021-10-09 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は、東京・鐘ヶ淵の鳥割烹「鳥田中」の田中惣一郎さんに、週末にちょっといい日本酒で楽しみたい「合鴨の治部煮」のレシピを教えていただきました。

「暑さも緩んでくると、鶏はもちろん、鴨は自然と体に脂を蓄えてくるので、一段とおいしくなってきます」

 そんなうま味の強い鴨も、火が入り過ぎると身が硬くなって台無しです。素人には調理法が難しい食材ですが、失敗しないように編み出されたメニューが治部煮。

「鴨肉は筋肉質なので、包丁の背を使って身が離れない程度に全面を叩いてのばす。歯切れよく、味がしっかりと含むようにするためです。スライスした鴨肉にまとわせた片栗粉がとろみとなり、ゆっくりと火が入っていきますので、長く煮過ぎないのが大事なポイントです」

 もともと石川県の郷土料理で、片栗粉ではなくそば粉で鴨肉をコーティングし、同県名産のすだれ麩、季節の野菜などと一緒に煮て仕上げます。丁寧に仕事を施せば、“口福”に包まれる一品に。週末にちょっといい日本酒で楽しみませんか。

材料(4人前)

・合鴨ロース肉 1枚
・ホウレンソウ(お好みの青菜) 2分の1束
・シイタケ 4個
・おろしわさび 少々
・柚子の皮(せん切り) 少々(お好みで)
・片栗粉 適量

【A】
・鰹だし(顆粒だしで代用可) 400㏄
・日本酒 100㏄
・みりん 100㏄
・濃い口醤油 100㏄
・上白糖 大さじ2

レシピ

(1)治部煮のだしを作る。小鍋に【A】を入れ、一度煮立て、冷ましておく
(2)ホウレンソウは湯がき、1の一部を入れたボウルに浸しておく。シイタケは軸を切り、飾り包丁を入れておく
(3)合鴨肉はスライスし、包丁の背を使って全体を叩いてのばす。表面の水気を拭き、片栗粉を薄く付ける
(4)鍋に残りの1とシイタケを入れ、火にかける。一度沸いたら、煮立たない程度に火を弱め、3を1枚ずつ入れていく
(5)器に盛り付けたら、ホウレンソウとわさび、お好みで柚子の皮を添え出来上がり

本日のダンツマ達人…田中惣一郎さん

▽田中惣一郎(たなか・そういちろう)
 1962年、東京生まれ。高校卒業後、東京の下町で料理人としての修業を始める。23歳の時、新橋「京味」へ。ふぐ調理師職人として板場に立ち、故・西健一郎氏から仕事を学ぶ。37歳で独立し恵比寿に「和食 ごっ惣」を開店、2017年に現在の地で、京都の地鶏と野菜を中心としたおまかせのコース料理屋「鳥田中」をオープンさせた。

▽鳥田中(とりたなか)
 京味の技法を生かしながら、西氏から常日頃聞かされていた「素材の持つ味を大切に」を実践する予約困難の超人気店。できるだけ邪魔せず、できるだけ丁寧に、「選んだ素材の良さをお客さまへと伝えたい」と、優しい味わいの料理を提供している。コロナ禍で予約販売した「地鶏焼鳥弁当」も即完売。妥協しない味と芸術的な美しさで客を魅了した。東京都墨田区墨田3―25―7。

(日刊ゲンダイ2021年10月2日付記事を再編集)

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