バツ2子持ちのアラフォー“地下アイドル”が語る20代の妊娠 #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-08-26 16:25
投稿日:2023-04-14 06:00

幸せだった日々

――そうだったんですね。続けてください。

「生まれた子供は男の子でした。夫はベビーベッドの横でギターの弾き語りをしたり、息子のために曲を作ったりと、父となった幸せを噛みしめていて……。そんな光景を見ているだけで、『これ以上の幸せはない。大切な宝物をありがとう』と、いつも心の中で呟いていました。22歳の時です。

 育児中は睡眠不足で体力は消耗しましたが、私の実母が協力的で……実家が都心だったのも幸いしました。近所に住む親せきやアイドル時代のメンバーが遊びに来てくれたり、何かと気遣ってくれて、皆で息子を育ててくれるという絆を感じました。

「産後うつ」という言葉は無縁だったかな。ただ、夫は違ったようです。

「俺の将来がパーだ!」荒れ始めた夫…その理由は

 息子が生まれて3カ月後くらいからでしょうか。お酒の匂いをぷんぷんさせて、帰宅するようになったんです。聞けば、私の妊娠中からバンド仲間や事務所にさんざん嫌味を言われていたそうで……。かなりストレスがたまっていたようです。

 夫は妊娠中の私の体を気にかけ黙っていたようですが、産後、一気に不満が爆発して、ある夜、とんでもないことを言われました。

――「今日は安全日だから」と誘ったのはお前のほうだったよな。

――えっ?

――まんまとお前にハメられたよ。くそっ! お前のせいで、俺の将来がパーだ!

 この一言には愕然としましたね。人づてに、夫は私を妊娠させたことで、バンドマン……いえミュージシャンとして決まっていた大きな仕事が立ち消えし、せっかくのチャンスを失ってしまったと聞かされました。

 その日を境に、夫は家に帰らなくなったんです。時々朝帰りをしても、キッチンで酒を飲んでは大声でわめき散らすようになり、息子の身の危険を感じ、何度か警察を呼びました。

 仕事につまづいたことと、もともとマスオさん状態でしたから、彼自身もつらかったと思います」

離婚後は六本木でクラブホステスに転身

――おっしゃる通り、R美さんもご主人もおつらかったですね。続けてください。

「夫と離婚したのは、息子が生後10カ月の時でした。夫婦仲はすっかり冷え切っていましたが、いざ、息子に父親の存在がなくなると不安で……。とにかく子育てを頑張らなくちゃと必死でした。品川区にある実家に引っ越しをし、実母と子育てをしながら、得意なビーズアクセサリーを作っては売り、収入にしましたね。あとは母のパートの収入です。

 ただ、これだけでは生活が苦しいので、24歳の時から友人の働いていた六本木のクラブでホステスとして働きました」

――えっ、ホステスですか?

「はい……。面接時、アイドルグループの元メンバーだというと、即OKをもらえましたよ。クラブのママも『R美ちゃんは可愛いから、お客様の隣でにっこり笑ってお酒を飲んでくれているだけでいいわ』と言ってくれて……。私もお酒は好きですし、夜の世界にも慣れていって、けっこう楽しかったですね」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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