おなかが鳴るの恥ずかしい!【専門家監修】ギュルギュル音を止める対策

コクハク編集部
更新日:2024-02-01 06:00
投稿日:2024-02-01 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 寝る前にいつもおなかが鳴ることに悩んでいます

 あかりさん(30歳女性/仮名)の方からご質問をいただきました。

夜寝る前に横になるとおなかが毎回鳴るんです。ギュルギュルと…。抑えようにも抑えられず悩んでいます」

「それは確かに恥ずかしいわよね」

 えりのボスは深く頷いています。

「夜は静かなので、余計におなかの音が響いてしまって…。家族に聞かれて恥ずかしい思いをしています」

 おなかの音で真剣に悩んでいるあかりさん。これは放っておけません!

2. 横になるとなぜおなかが鳴るの?

おなかが鳴る音は、医学的には『腹鳴(ふくめい)』というの原因は、蠕動(ぜんどう)運動という、消化器官が収縮するときに起こるのよ。とくに、蠕動運動が強くなった場合におなかがギュルギュル、グルグルと鳴るわ」

「じゃあ病気じゃないんですね」

「基本的に、腹鳴は食後や空腹時に起こるものだけど、おなかを壊しているときに起こるものもあるわ。『乳糖不耐症』という、乳糖を消化できない体質の方が乳製品を摂取したときに起こるもの。

 あとは、悪玉菌の増加による腸内環境の悪化。胃腸はナイーブだから、ストレスが原因によるものもあるわね。

 下痢、腹痛、吐き気などの症状がみられる場合は『過敏性腸症候群』『細菌性胃腸炎』『ウイルス性胃腸炎』などの疑いもあるから、自分で結論を出さずに、まずは病院を受診してみるといいわ」

「まずは病気が原因かどうかを確かめてみます」

「腹鳴が病気由来のものではないなら、きちんと胃腸がはたらいている証拠だから、深刻に心配することはないの。ただ、そうは言ってもレディならおなかの音は気になるわよね。

 そんな方に、おなかの音を抑えるための対策を伝授するわね」

3. 今鳴らないで!そんなときにできるカンタン対策

 今日から気軽に実践できるおなかの音の対策を3つ、ご紹介します。

3-1. ツボ押し

 とっさにできるおなかの音対策としては、ツボ押しがおすすめです。おなかの音を止めるのに適したツボは2つあります。

・合谷(ごうこく)

 手の親指と人差し指の合間の、少し窪んだ場所にあるツボです。幅広い不調に対応できるため万能ツボと呼ばれます。おなかの音を止めるのにもおすすめです。

・足三里(あしさんり)

 ひざのお皿から指4本分下にあるツボです。脚の疲れをとるだけでなく、胃腸機能を改善する効果があるといわれています。

 ツボを押すときは、あまり強く押さないように気をつけましょう。軽いタッチで、指の腹で垂直に押すといいでしょう。

3-2. 腸内環境改善

 悪玉菌が増加して腸内環境が悪化すると、おなかのなかにガスが発生しやすくなります。おなかの音の原因にもなるので、腸内環境を改善し、ガスがたまりにくい食生活を送りましょう。

 おなかのガスの原因になりやすい食品は以下の通りです。

・乳製品
・発酵食品
・小麦
・サツマイモ
・炭酸飲料

 人によって体質的に合う、合わないものは違います。おなかの調子が悪くなりやすい食品を特定し、摂取量を控えるのもおすすめです。

 また、きちんと噛んで食事をするのも重要です。噛む回数が少ないと、消化の助けをする唾液が十分に出ず、飲み込む際に余計な空気もとり入れてしまい、それがガスの発生率を高めます。

 また、ストレスや疲労も腸内環境悪化のもとです。小さなことでクヨクヨせず、しっかり休息をとり、健康的な生活を送ることで、腸内環境も落ち着いていきます。

3-3. 事前にストレッチをしておく

 適度なストレッチは、おなかの音対策になります。おなかのガスを抜く、おすすめのストレッチをご紹介します。

a. 仰向けに寝て、両ひざを手で抱える
b. ひざが胸に当たるくらいまで引き寄せ、そこから上体を起こす
c. そのときに太ももをおなかに押しつけ、ゆっくり呼吸をする
d. 体勢を戻して、繰り返す

 無理のない範囲で行うことが大事です。首や腰などに持病がある方は、控えてください。

4. 腸を整えるには漢方薬を使うのもおすすめ

 おなかが鳴る悩みには、腸内環境を整えるはたらきが期待できる漢方薬もおすすめです。漢方薬は、植物、鉱物などの、自然由来の生薬をもとに作られていて、西洋薬よりも副作用リスクが低いともいわれています。

 腸内環境のバランスを整えるには、「腸の動きを正常化する」「腸内細菌のプレバイオティクスを増やす」「自律神経のバランスを整えて、ストレスによる腸内環境の悪化を防ぐ」といったはたらきを持つ漢方薬を選びます。

 腸のはたらきがよくなることで栄養が体中に届けられ、肉体や精神の疲労が軽減したり、美容に役立ったりするのです。

 便通を整える漢方薬をご紹介します。

<便通を整えるおすすめの漢方薬>

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):余分な熱を発散し、便を出しやすくする漢方薬です。油ものやお酒が好きで脂肪がついているタイプに適しています。

・麻子仁丸(ましにんがん):からだの水分の巡りが悪く、便秘傾向にあり、コロコロしたウサギのような便が出る方におすすめです。腸を潤し、便を出やすくします。

・加味逍遙散(かみしょうようさん):エネルギーの気の流れをよくするとともに、栄養を行き渡らせ、ストレスなどの精神神経症状を和らげます。便秘傾向の方に用いられます。

 最近は、スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. おなかの音、あまり悩みすぎないで

「えりのさんに話を聞いてもらえて、スッキリしました」

「おなかの音は、胃腸が頑張っている証拠なのよ! 誇らしいことでもあるの。病気が原因でない場合は、あまり気にしすぎないことも大事よ」

「そうですね。今日は本当にありがとうございました」

「また何かあったら気軽にいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくあかりさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


一滴のベビーオイルが洗顔を変える!つっぱらない肌を実感♪
 以前、ベビーオイルでのクレンジング方法(ベビーオイルでクレンジング!正しいやり方でもちもち肌に)をコクハク編集部でお届...
鏡に映った「お疲れ顔」から卒業! 若見えおうちメイクテク
 鏡を見ながら、自分に対し「今日の私、疲れてる……?」と感じた経験はありませんか。お疲れ顔に見えるということは、老けて見...
体重維持に効率的な方法とは?我慢しない6つの体型キープ術
 一生懸命ダイエットして理想の体型になっても、体重を維持するというのは簡単なことではありませんよね? そこで今回は、我慢...
こんなに違う!爪のカットスタイルが与える印象の違いを解説
 人の外見がまちまちであるように、指や爪の形もいろいろです。大きさ、厚さ、長さ、色味も人によって異なります。爪のカットス...
つい甘いものに手が…「コロナ太り」対策におやつを見直そう
 外出やジムに出かけられず、普段と行動が変わってきているので、食べ方に気をつけないとうっかり太ってしまいそうなこの時期。...
マスクでニキビが…!悪化させない肌荒れ対策&改善方法
 新型コロナウイルスが蔓延してから、一番の必須アイテムとなった「マスク」。しかし、毎日の長時間のマスク着用によって、「マ...
お家にいる時間で綺麗に!おこもり美容初心者に3つのススメ
 自宅で過ごす時間が増えた今「おうちだし、メイクしなくてラッキー! すっぴん万歳!」と考えるか「おこもり美容ができる!」...
正しいお手入れで理想の眉毛に♪ 絶対失敗しない5つのコツ!
 眉毛は顔の印象を大きく変える大事な部分。しかし、「左右のバランスがバラバラ」「剃りすぎてしまった」など、眉毛自体の悩み...
お家で運動=ワークアウトをする時に気をつけたい3つのこと
 お家の中でワークアウトをする人が増えている今、気をつけたい3つのことを紹介します。最近は、オンラインでの教室やYouT...
健康美肌へ…栄養士直伝“トレーニングと豆乳”のステキな関係
 おこもり生活が続いて体が重く感じたり、肌もなんとなく不調気味だったりする方もいるのではないでしょうか。そんな今こそ、家...
肌断食で美肌に♡ 効果とやり方&成功させる5つのポイント!
 モデルや芸能人の間でも広まっている「肌断食」をご存知ですか? 肌断食は、“スキンケアをやめて肌の調子を整える”という美...
30代からの基本のシミ対策!原因を知って正しいケアを♡
 30代を過ぎると、肌のトラブルに悩む女性も増加傾向。中でも、「肌のくすみ」や「シミ」で悩んでいる女性も多いのではないで...
アイブロウメイクの完成度を高める 100均&プチプラアイテム
 いろいろなアイブロウアイテムを使ってみて、辿り着いたのは100円均一とプチプラのアイテムでした。顔の印象を大きく変える...
ボディソープより赤箱!日焼け止めが落ちない悩みが解決した
「日焼け止めを塗らずして紫外線を浴びるなかれ」  筆者が10代の頃から自分に課してきた、唯一の美容法です。10代の...
ミニスカートは何歳まで?大人女性が可愛く着こなすコツ♡
 本来、ファッションというのは自由なものです。それなのに、「ミニスカートは何歳まで履いていいの?」という疑問や、脚を出す...
“おこもり・おうち美容”の落とし穴…在宅でやりがちなNG3つ
 在宅時間が増え「おうち美容」「おこもり美容」に取り組んでいる女性も増えています。しかし気合いを入れた在宅美容で、残念な...