デリケートゾーンの吹き出物発見!【医療専門家監修】自然に治るの?

コクハク編集部
更新日:2024-02-22 06:00
投稿日:2024-02-22 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. デリケートゾーンにできもの!?

 今回のご相談は、みさきさん(36歳女性/仮名)からです。

「最近、デリケートゾーンにできものができてしまって…」

 みさきさんは、言いにくそうにえりのボスに相談します。

「痛みやかゆみはあるの?」

「いいえ。でも、お手洗いに行くたびに気になってしまって」

 えりのボスも、心配そうにうなずいています。

「私にも経験があるから、よくわかるわ。自分では確認しにくい場所だし、人に相談するのも恥ずかしいし。それに、原因がわからないと不安になるわよね」

「はい…。どうして、デリケートゾーンにできものができてしまうんでしょう」

「原因になる疾患は、いくつかあるわ。たとえば、毛嚢炎(もうのうえん)や接触性皮膚炎…」

 みさきさんは真剣に耳を傾けています。

「それじゃあ今日は、デリケートゾーンにできものができる原因と対策、おすすめのセルフケアについて説明しましょうね」

「はい。お願いします」

 深くうなずくみさきさん。これは放っておけません!

2. デリケートゾーンにできものができる原因は?

「デリケートゾーンにできものができる原因は、いろいろあるわ。代表的なのは毛嚢炎ね」

「毛嚢炎ってなんですか?」

「毛包、つまり、毛穴に細菌が感染して、炎症が起きることよ。ぽつんと赤いできものができて、悪化すると赤みや痛みが強まったり、熱感が出たりする場合があるの。軽い毛嚢炎は、自然治癒することも多いわ」

「そうなんですね」

「あとは、接触性皮膚炎も多いわね。ナプキンや下着の繊維などがアレルゲンになって、湿疹が出るの。コンドームのゴムが原因になる場合もあるわ。

 接触性皮膚炎の治療には、原因となる物質を避けたり、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使ったりするのが一般的よ」

「ほかには、どんな原因でできものができるんですか?」

「膣の分泌腺であるバルトリン腺が閉塞する『バルトリン腺嚢胞』や、古い角質や皮脂がたまってできる『粉瘤(ふんりゅう)』、性行為で感染する『尖圭コンジローマ』や『性器ヘルペス』、『梅毒』などが挙げられるわね」

 えりのボスは、真剣な顔で言いました。

「病院での治療が不可欠な疾患もあるから、デリケートゾーンのできものがなかなか治らないときや悪化したときは、早めに婦人科に相談したほうがいいわ」

「わかりました」

 うなずいたみさきさんに、えりのボスはにっこりと微笑みかけます。

「つらい症状は、無理せずすぐに医療機関に相談すること。そして、日頃からデリケートゾーンのケアを正しく行って、トラブルを予防するのも大切よ!

 ここからは、簡単だけれど大切なデイリーケアを紹介するわ」

3. できものから解放されるお手軽デイリーケア

 できものの予防に役立つセルフケアを紹介します。

3-1. デリケートゾーンを清潔に保つ

 デリケートゾーンのトラブルを予防するには、細菌感染などを避けるためにも清潔に保つことが大切です。

 ただし、洗い過ぎには注意が必要。デリケートゾーンの皮膚は繊細なので、洗い過ぎたり、ごしごしこすったりすると負担がかかってしまいます。

 ボディソープをよく泡立て、外陰部を泡で優しく洗いましょう。

 膣には自浄作用があるため、洗う必要はありません。

 石鹸で膣を洗い流すと自浄作用が弱まってしまうので、注意しましょう。

3-2. 下着の素材を見直す

 デリケートゾーンにトラブルが起きやすい人は、今使っている下着を見直してみましょう。

 合わない下着でデリケートゾーンに摩擦やムレ、刺激などが生じると、皮膚が傷ついて細菌感染が起こる可能性があります。

 しめつけの強い下着は避け、コットンや麻など皮膚に優しい天然繊維のものを使うとよいでしょう。

3-3. 市販薬を使ってみる

 デリケートゾーンにできものができたら早めの受診が大切ですが、軽い湿疹やかゆみ程度であれば市販薬を使ってみるのもいいでしょう。

 自分の症状に合った商品を使うことが欠かせないため、判断に迷ったらドラッグストアや薬局の薬剤師・登録販売者に相談してください。

 数日使ってもできものが改善しない、日に日に悪化していくといった場合には婦人科の受診が必要です。

3-4. デリケートゾーンのケアには漢方薬もおすすめ

 デリケートゾーンのトラブル対策として、漢方薬を服用するのも効果的です。

 デリケートゾーンのケアには、

・ホルモンバランスを整える
・血流をよくして栄養を行きわたらせ、デリケートゾーンの皮膚の新陳代謝を高める
・水分の循環をよくして老廃物を排出し、おりものを軽減する
・泌尿・生殖器の炎症を鎮める

 などの働きを持つ漢方薬を選び、根本改善を目指します。

 おすすめの漢方薬を紹介します。

<デリケートゾーンのトラブルに悩む女性におすすめの漢方薬>

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え性で疲れやすく、貧血傾向のある人に向いています。血流を改善したりホルモンバランスの乱れによる不調を整えたりすることから、膣トラブルなどにも用いられます。

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):比較的体力があり、下腹部に熱感や痛みがある人におすすめです。頻尿や残尿感などに有効で、おりものや排尿痛にも用いられます。

 漢方薬を服用する際は自分の症状と体質を見極め、適切なものを服用することが大切です。合わないものを飲んでも効果が出ず、副作用が出る場合もあるので注意しましょう。

 自分にぴったりの漢方薬を見極めるには、漢方薬に精通した医師・薬剤師に相談すると安心です。

 最近では、スマホひとつで専門家に相談できるオンライン個別相談サービスも人気ですよ。対面では質問しづらいデリケートゾーンのトラブルも、オンラインなら気軽に相談できます。

4. デリケートゾーンのできもので、もう悩まない!

「えりのさん、詳しく教えてくださってありがとうございました。誰にも相談できずに困っていたので、本当に助かりました」

 明るい表情になったみさきさんに、えりのボスも笑顔になって答えます。

「日頃のケアで予防しつつ、できものができたときには早めに対処することが大切よ。なかなか治らないときは、婦人科で診てもらってね。また気になることがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」

「ありがとうございます!」

 みさきさんは、元気に笑ってサロンを去って行きました。

 皆さんも、デリケートゾーンの悩みは自分ひとりで抱え込まず、専門家に気軽に相談してみましょう!

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


あぶらとり紙で肌トラブルが起こる!?正しい使い方&注意点
 肌がべたついたり、テカってくると気になるもの。そんな時、あぶらとり紙を使ってケアしている人も多いでしょう。しかし、普段...
あなたは当てはまる? 派手顔女性の特徴5つ&嬉しいメリット
 目鼻立ちがくっきりとした「派手顔女性」は多くの女性から羨ましがられる存在。しかし、実際は「ケバく見られる」「ナチュラル...
マスク焼け対策6選!従来とは違う日焼け止めの正しい使い方
 コロナ蔓延の前後で一番大きく変わったのが、「マスク着用」という新習慣ではないでしょうか?暑い季節を迎えるにあたって、マ...
メイク道具の簡単お手入れ方法5STEP!まずは週一から♪
 毎日のように使用するメイク道具ですが、意外にもお手入れをしていない人が多くいます。でも、メイク道具が汚れていると、メイ...
紫外線&ウイルス対策 ビタミンC美容の「塗る・貼る・飲む」
 紫外線が強まってきたうえに、コロナ疲れやウイルスに負けない身体づくりも気になる今日この頃。こんなとき、デイリー美容に積...
仕上がりが変わる!メイクブラシの種類&選び方のポイント♪
「メイクブラシをプロみたいに使いこなしたい!」と思っても、種類が多くて何を選んで良いか迷ってしまう人も多いでしょう。そこ...
彼がドキッとする「描きボクロ」でイメージチェンジ
 その日のメイクやファッションの気分によって、ホクロを描く女性が増えています。描く位置によって、可愛くもなればセクシーな...
“黄金比とメイク”で理想の美人顔に♡パーツ別メイクポイント
「メイクを研究しているのに、イマイチメイクが決まらない……」その理由は、顔の黄金比を無視しているからもしれません。実は、...
お泊まりデートでの“すっぴん悩み”どうしてる?5つの対策
 大好きな彼氏とのお泊まりデート、化粧を落とすタイミングだけではなく、そもそも、「すっぴんを見せて良いの?」と悩んでしま...
あなたに似合う色はどれ?パーソナルカラーの効果&診断方法
 パーソナルカラーとは、「自分に似合う色」のことを言います。肌の色や髪の毛の色、瞳の色によって似合う色は人それぞれ。でも...
オンライン映えを狙うなら…?買ってはいけない3つのコスメ
 オンライン飲み会にオンライン合コン、オンラインデートなどなど、“新しい生活様式”の一環として、オンラインを通じた恋愛の...
背中ニキビには種類がある! 治らない6つの原因&ケア方法
「お風呂に入ってふと鏡を見ると、いつの間にか背中ニキビができていた……!」そんな経験をお持ちの女性は多いはず。特に春〜夏...
地味顔女性の5つの特徴&可愛く変身させるメイクポイント♪
「私の顔は地味だから……」と、自分の顔にコンプレックスを抱いている女性は多いようでうす。そんな女性の多くは、ぱっちり二重...
爪の健康維持にも!ネイリストが実践する菌活ライフを紹介
「菌活」とは、ヒトの身体に良いとされる菌を積極的に摂取する活動のことを指します。そんな筆者も菌活に興味を持ち、今やすっか...
“冷蔵庫で化粧水を冷やした方が良い”は嘘!正しい保管方法
「化粧水を冷蔵庫で保管した方が肌に良い」「長持ちする」、そんな噂を聞いたことがある方は多いでしょう。確かに、冷やした化粧...
おうちでチャレンジ♪180度開脚ストレッチを2週間続けてみた
 美容や健康のことを考えて、そして運動不足にならないためにも、毎日ストレッチなどの運動をしたいところですよね。でも、そう...