40代、黒いおりものに不安MAX!もしや病気?薬剤師監修の原因と対策

コクハク編集部
更新日:2024-05-23 06:00
投稿日:2024-05-23 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 生理中ではないのに黒いおりものって大丈夫?

 しおりさん(42歳女性/仮名)からご質問をいただきました。

「生理中や生理前ではないのに、ここ数日黒いおりものが出てきて驚いています。以前はそんなこともちろんなかったんですが、最近は黒いつぶつぶや、黒いかたまりが混じっていることもあり、婦人科に行くべきなのか悩んでいます。

 会社帰りには病院が閉まっているうえ、会社の有給を使ってまで婦人科へ行くべきなのか迷っていて…。しかも、今は仕事が繁忙期で、休むと周囲に迷惑をかけてしまうので、なかなか話を切り出せません。

 幸いなことに痛みがないので、今のところは様子を見ていますが、黒いおりものは大きな病気が原因なのでは…と不安になっています」

 しおりさんの悩みを聞いて、えりのボスは真剣な表情を浮かべ、言いました。

「おりものの異常は気になるわよね。しかも黒いおりもの。不安を感じるのは無理ないわ」

 しおりさんの表情がますます深刻になっていきます。

「これって…病気なんでしょうか?」

 黒いおりものについて、不安を抱えているしおりさん。これは放っておけません!

2. 黒いおりものの正体は?

「そもそも『おりもの』とは、子宮や膣から出てくる粘性の分泌物のことなの。古くなった細胞を始め、白血球や細菌が混じり合っているわ。色、量、ニオイには個人差も大きいの。

 おりものの主な役割は、膣の中を清潔に保つ『自浄作用』ね。おりものによって、酸性に近い状態を保ち、雑菌の侵入を防ぐの。排卵日に近づくと、おりものの分泌量が多くなるわ(※1)」

 結論をいうと、黒・茶色のおりものの正体は、不正出血よ。古くなり、酸化した血液が黒いおりものとして出てくるわ。経血量そのものが少ない月経初日や、月経後半は問題がないんだけど、生理が終わっても黒いおりものが続く場合は不正出血を疑ったほうがいいわね(※2)」

3. 黒いおりものの受診の目安

 黒いおりものは、子宮や膣の病気が原因のこともあるので、注意が必要です。具体的には、以下の病気の可能性が考えられます。

・子宮頸部ポリープ
・子宮筋腫
・子宮腺筋症
・子宮がん

 また、子宮や膣以外に生じる病気として、白血病や血小板減少症、肝機能障害など、止血作用の異常によって不正出血が起こる場合があります(※3)。

 閉経前後の更年期世代の場合、更年期障害が原因の場合も。女性ホルモンの分泌が急激に減少すると、不正出血が起こりやすくなる可能性があります。

「おりものの色がおかしい」「生理前ではないのにおりものが出る」という場合は、まずは病院を受診しましょう。婦人科のある病院を受診すれば、検査を受けられます。

4. 病院で受診後、問題がなかった場合のセルフケア

 病院を受診したあと、とくに病気が原因ではない場合、セルフケアで対処していくことになります。生活習慣のさまざまな面を見直しましょう。

 ストレスの蓄積は女性ホルモンのバランスを崩し、不正出血の原因になります。日々の生活習慣を正し、食生活にも気を配りましょう。とくに、暴飲暴食は胃腸に負担をかけ、血液の巡りを低下させ、冷え症の原因になります。

 また、栄養バランスの偏りも、からだに必要なビタミン・ミネラル不足につながり、からだに必要な熱を生み出せなくなります。

腹部の冷えは要注意

 そして、腹部の冷えはとくに気をつけるポイントです。冷えは子宮の収縮力に影響して、血液がたまりやすくなり、不正出血の原因になります。普段からおなかを冷やさないように、薄着を控え、ストールやカーディガンなどでおなか周りを温めましょう。

漢方薬で体質の根本改善を

 また、セルフケアには漢方薬もおすすめです。漢方薬は、定期的に飲むだけで体質の根本改善を目指せるので、生活習慣を大きく変更する手間がなく、ラクに症状の改善を期待できます。

 おりものの異常には、「ホルモンバランスを整える」「自律神経を整えてストレスが原因のおりものを軽減する」「水分の循環をよくして、老廃物を排出する」「血流を促し膣に栄養を与え、自浄力を回復させる」といった作用を持つ漢方薬を選びましょう。

<おりものの異常が気になる方におすすめの漢方薬>

・温経湯(うんけいとう):血流をよくして、下半身を温めるとともに、おりものや月経不順などにはたらきかける漢方薬です。

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):下半身にたまった余分な熱感や水分をとり去り、おりものの異常や排尿痛にはたらきかける漢方薬です。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 黒いおりものが気になったら受診後、日常生活を見直してみよう

「おりものの変化は生活習慣の乱れや、病気由来、更年期由来のものなど、さまざまな原因があるわ。まずは婦人科を受診して、それから日常生活を見直してみましょう」

「わかりました。まずは病院に行ってみます!」

 えりのボスの親身で優しいアドバイスに、しおりさんは少し安心したようです。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくしおりさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

【参考】

(※1)新宿レディースクリニック会 新宿レディースクリニック「おりものの異常」

(※2)東京都の池袋アイリス婦人科クリニック「おりものが茶色い・水っぽい」

(※3)メディカルノート「おりものが黒い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典」

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


いちご鼻が嫌!毛穴悩みを解消する毛穴パックの種類や選び方
 顔の毛穴に悩む女性は多いでしょう。特に、角栓が目立ちやすい「いちご鼻」はメイクでも隠しにくく、至近距離で誰かと話す時な...
今こそポニーテールを! 垢抜け“モテスタイル”に見せるコツ
 冬はストールを巻いたり、タートルニットを着たりと、首元がつまった服を着る機会が増えます。そんなシーンでのヘアがダウンス...
つけまつげ=古いは嘘! 時短で「今っぽ盛り」が叶うテク
 10年ほど前に大流行して以来、幅広い世代に使用され、バリエーション豊かに販売されるようになった「つけまつげ」。昔はして...
ついつい雑になりがち? 意外と知らない“正しい洗顔”の方法
 洗顔は当たり前に毎日すると思います。歯を磨いたり髪をとかしたりするのと同じで、何げない日常の一部になっていますよね。で...
ビューティークレンジングバームで大人の毛穴ケア!60秒でメイクオフの効果は?
 女性誌で話題の「ビューティークレンジングバーム」ってご存知ですか?メイク落ちの良さはもちろん、毛穴悩みまで改善させてく...
かわいい系からキレイ系にシフトする手っ取り早い4つの方法
「童顔って言われることが多かったのに、気がついたら年相応に見られることが多くなった」 「ガーリーなものが大好きだったけ...
七海 2019-12-04 06:00 ビューティー
乾燥対策は12月から! ボーナスで買って損しない美容家電3選
 例年、冬の乾燥警報は12月から増えていきます。たかが乾燥、されど乾燥。加齢とともに敏感になる女性の肌には、乾燥は大敵で...
ダイソー「URGLAM」4点を紹介! 秋冬メイクを100円均一で
 100円均一で買えるなんて信じられないくらい、アイテムがオシャレなダイソーコスメ「URGLAM」。ちょうど購入予定だっ...
腫れぼったさゼロ!「涙袋×ピンク」でモテる瞳のつくり方
 ツンとしたおすまし顔をしていても、まるでニコッと微笑んでいるように見せてくれるのが涙袋メイク。  けれど、白いアイシ...
ほっそり長い脚に見せたい!コンプレックス別ブーツの選び方
 寒くなり、朝夕は息が白くなる季節になりました。防寒対策としても、お洒落としても、ブーツを導入し始めている人は多いのでは...
七海 2019-11-30 06:00 ビューティー
毛の悩みとサヨナラ! 医療脱毛のアレコレを専門医に聞いた
 脇だけ脱毛を済ませたのですが、お手入れが劇的に楽になったので、他の部位も医療脱毛をしようか迷い中。でも医療脱毛ってどん...
エイジングケア専門医が語る「セックスと美容」の良い関係
 モデルやレースクイーンの経験を持ち、40歳で“奇跡のグラドル”として活動したり2019年はラスベガスで開催された「Mr...
2021-12-21 16:23 ビューティー
いくつ実践? セルフで“美バスト”を育む効率的なポイント3つ
 彼が女性らしさを感じる大切なパーツに、“胸”は欠かせません。「胸に自信を持ちたい!」「美バストになって、彼に喜んでもら...
化粧水はコットンと手のどっちがいい? 肌の水分量UPの方法
 洗顔後に化粧水を付ける時、コットンでつけるか、手でつけるか迷ったことがある方は多いでしょう。実際のところ、どちらが正解...
湿度が低い日も怖くない!デート前の「くせ毛」を時短で救う
 くせ毛の女子にとって、広がりやパサつきが気になる日のデートは、頭を抱えがちなシチュエーション。 「今日に限って、髪が...
小顔整形って? エラを小さくする「3つの方法」を詳しく解説
 プチ整形、アンチエイジング……気になるけれど、敷居が高くてよくわからない、そんなお悩みを抱えている方も多いのでは? コ...