濃厚な骨のお出汁とふっくらした身を味わう「魚の酒蒸し」

コクハク編集部
更新日:2019-09-14 06:00
投稿日:2019-09-14 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は宮崎市の板前料理店「福重」の福重浩さんに、魚の自然なうま味が凝縮された「魚の酒蒸し」のレシピを教えていただきました。

骨から染み出る絶品スープ

 魚を丸ごと1尾使った酒蒸し――。めったに包丁を握らない人には、ちょっとハードルが高く感じるかもしれません。

 しかし、福重さんに調理法を聞いて驚きました。酒蒸しって、こんなに簡単に作れるんですか?

 今回、福重さんが使用した魚は宮崎産のスジアラ、別名「アカジョウ」とも呼ばれるハタ科の魚です。

「魚は基本、何でもいいんです。骨から魚のうまい出汁が出るので、それこそ、刺し身を切ったあとの頭だけでもいい」

 まず、沸騰したお湯に魚をくぐらせ、水にさらしながらウロコを取ります。生のままでは取りにくいウロコも、こうすれば面白いように剥がれるんです。

「お酒は鍋を一回りくらい。塩の分量は吸い物より、少し濃いめくらいがちょうどいい。灰汁を奇麗に取れば臭みもなくなります。どうですか? 魚の自然な味が出ているでしょう」

 福重さんの言葉通り魚のうま味が凝縮された汁を飲むと、一口ごとに「ほぅ」とため息をつきたくなる。ふっくらと蒸された身も味わい深くジューシーだ。酒がいくらあっても足りない。

【材料】

・魚(スジアラ)   1尾
・酒      大さじ3杯
・塩         適量
・昆布        1枚

【作り方】

 鍋に魚がかぶるくらいの水を張って、昆布を1枚敷く。

 そこにウロコを取った魚と塩、酒を入れ、沸騰するまで強火にかける。沸騰したら弱火にし、こまめに灰汁を取り、約5分間火にかけて完成。

本日のダンツマ達人…福重浩さん

▽ふくしげ・ひろし
 宮崎県都城市出身。高校の調理科を卒業後、大阪から南は鹿児島まで、西日本を中心に修業。しかし、「どこに行っても宮崎の食材が頭をよぎっていた。結局、日向灘の魚にかなうものはなかった」と見定めて、帰郷。30歳で独立して「福重」を構える。 

▽福重
 日向灘で取れた新鮮な海の幸が自慢の板前料理店。メニューはなく、コース中心で、料理はその日の仕入れ状況次第。「だからこそ、海の食材は面白い」(福重さん)。予算に応じた注文も可能。プロ野球選手やプロゴルファーらにもファンが多い。
宮崎県宮崎市千草町8―6 
℡0985・28・8196

(日刊ゲンダイ2017年8月24日付記事を再編集)

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