醤油が効いたキレのよさ…かえしを使った「そば屋の焼き鳥」

コクハク編集部
更新日:2019-11-07 21:18
投稿日:2019-11-06 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・築地の「そば処 築地長生庵」の松本憲明さんに、醤油が効いた「そば屋の焼き鳥」のレシピを教えていただきました。

もも肉と醤油の好相性

「蕎麦前なくして蕎麦屋なし」

 食通としても知られた文豪、池波正太郎の言葉です。

 蕎麦前とは、そばを食べる前に酒と肴を楽しむこと。もちろん、朝から飲める長生庵には、味にうるさい市場の飲んべえが喜ぶおつまみが多く揃っています。

 今回、紹介してもらった焼き鳥もそのひとつ。「そば屋の」とうたうからには、専門店のそれとは一味違います。

「そば屋のもり汁、かけ汁のベースとなる『かえし醤油』を使うんです」

 と、松本さん。

 かえしとも呼ばれるそれは、醤油に砂糖とみりんを混ぜたもの。店によって使う材料と分量は異なります。これを寝かせてカドを取り、だしと合わせてそばつゆをつくる、そば屋の命と言ってもいい大切なものです。

「あくまで簡易的なものですが、かえしの作り方からお教えします。難しいことはありません。ぜひ、覚えて下さい」

 そのかえしを使って焼いたもも肉には見事な照りが。ともすれば甘味が勝る照り焼きとは違い、醤油が効いた「そば屋の焼き鳥」はキレがよく、もも肉の脂と抜群に合いますよ。

【材料】

・鳥もも肉 1枚
・合わせタレ 400㏄(かえし醤油200㏄、みりん200㏄)

※かえし醤油の作り方
・醤油 500㏄
・みりん 100㏄
・砂糖 150グラム

 鍋にみりんを入れて強火で沸騰させ、アルコール分を飛ばす。弱火にして砂糖を入れ、よく溶かしたら醤油を加えて1日寝かす。

【レシピ】

1. 火が通りやすいように、鳥もも肉に5カ所ほど切り込みを入れ、合わせタレにくぐらせる。
2. 薄くサラダ油をひいたフライパンを熱し、もも肉の皮目から強火で焼く。
3. 皮に焼き目がついたら合わせタレをすべて入れ、フライパンにフタをして弱火で7分、裏返して4分ほど焼く。
4. もも肉に箸を刺し、すっと入ったらフライパンから取り出す。
5. フライパンに残ったタレを強火で熱し、少し煮詰まったところでもも肉を戻して、皮目にタレを塗り込んだら完成。

本日のダンツマ達人…松本憲明さん

▽まつもと・のりあき
 築地生まれ築地育ち。大手レコード会社に所属した過去を持つ、ロックバンドの元ドラマー。メジャーデビューを約束されながら、そば職人に転身。初代であり父でもある故・好生さんの下で修業を始め、現在は母の照代さん、兄の聰一郎さんと店を切り盛りする。

▽そば処 築地長生庵
 築地場外市場の行列の絶えない人気そば店。初代が考案した店の看板メニューである「冷やし鴨南蛮」をはじめとするそばはもちろん、新鮮な素材と工夫を凝らしたツマミも豊富でファン多数。「ここの魚、特にマグロは銀座の高級寿司屋にも負けねえよ」とは常連の市場関係者である。
中央区築地4―14―1 モンテベルデ築地101
℡03・3541・8308

(日刊ゲンダイ2018年7月24日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


白ワインと一緒に「ソーセージとクレソンのペペロンチーニ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥...
「イワシのリングアータ」脂の乗った身をサッパリといただく
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・渋谷の隠れ家イタリアン「ピノサリーチェ」の...
自家製の万能ダレが食欲をそそる「手羽先の甘だれ炒め煮」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は兵庫県・加古川のビストロ「ビストロ・エピ」の宮崎...
「アジのパクチーなめろう」和の肴とパクチーの意外な好相性
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前のカレーバー「ヘンドリクス」の若林剛...
春の味覚「ホタルイカとカブのマリネ」はひと手間でプロの味
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は横浜・野毛のビストロ「ジィーロ」の市川路朗さんに...
使う食材は2つだけ「菜の花のからし和え」は春らしさ満開!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座の老舗和食店「はち巻岡田」の岡田幸造さ...
「イカ海鮮水餃子」出汁たっぷりの卵と海鮮の甘さがピッタリ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前の中華料理店「チャイナサーカス」の劉...
スパイシーさが新しい「カツオと山芋のスパイスオイル和え」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前のカレーバー「ヘンドリクス」の若林剛...
「カキのワイン蒸しトマトサルサ添え」濃厚なのにサッパリ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は横浜・野毛のビストロ「ジィーロ」の市川路朗さんに...
あっさり「ベーコンと玉ネギの和え物」は箸休めにうれしい
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・末広町の和食店「神田明神下みやび本店 」の...
新潟の伝統調味料がいい仕事する「タコとかんずりベーコン」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥...
「菜の花の昆布締め」染み込んだ出汁とほんのりした苦み
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・渋谷の居酒屋「酒井商会」の酒井英彰さんに、...
テンメンジャンを使った「マグロユッケ」甘めの優しい味わい
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・築地の和食店「魚菜 まる富」の富成勝さんに...
「新玉ネギの和風ビネグレットサラダ」煮切り醤油でコク出し
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・新橋のビストロ「スリジィエ」の山本延年さん...
ポテサラ風に食べる「おからサラダ」はヘルシーおつまみ!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前の「ごはんやパロル」の桜井莞子さんに...
「キュウリとミョウガのシードル漬物」これはオトナの浅漬け
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は兵庫県・加古川のビストロ「ビストロ・エピ」の宮崎...