ワインを使ったきのこ料理
これこそフランス料理ならではの味わい。
白ワイン、白ワインビネガーはブドウが原材料なので、当然、糖分が含まれています。煮詰める前は酸味が強く、酸っぱさを感じますが、煮詰めることで、糖分はそのままで水分がなくなるため、甘味が出るのです。
「酢というのは使い方が面白くて、店で出す時も前日から仕込んでいます。冷やす前は、素材そのものの味がただ煮詰まっただけ。食べた瞬間、酸っぱさだけを感じ、全体的にとんがった味でしかありません。それが冷やすことで、味が馴染んで落ち着き、マイルドになるのです」(中尾さん)
玉ねぎはシャキシャキで、半熟卵をつけずにそのまま食べてもおいしいのですが、つけるとコクが出て、また違ったテイストになります。料理全体を包み込むような「味わい深い酸味」が特徴です。
「家庭できのこ料理というと、例えばガーリックソテーとかありふれていて、煮詰めた料理を作ることはあまりない。一日冷蔵庫で冷やすという、ひと手間を惜しまないところがポイントです。これくらいの手間なら簡単ですし、それでおいしさが増すのですから。ひと手間をかけない手はないでしょう。ヨーロッパにはきのこの郷土料理が数多くあり、長野県の白馬村に住んでいた時に、きのこのおいしさを実感しました。マッシュルームに比べ高価ですが、ポルチーニ茸なんかも抜群に合います」(中尾さん)
【材料 2人前】
・しいたけ 80グラム
・しめじ 70グラム
・マッシュルーム 50グラム
・にんにく 1片
・玉ねぎ 75グラム
・半熟卵 2個
・塩 5グラム
・こしょう 適量
・白ワイン 100グラム
・白ワインビネガー 50㏄
・オリーブオイル 30㏄
【レシピ】
1. まず、オリーブオイルを全体の分量の3分の1の10㏄だけ入れる。
2. にんにく1片をそのまま焼き、香りを出す。
3. 香りが出てきたら、きのこ類、厚めにスライスした玉ねぎを投入し、塩、こしょうで軽く炒める。
4. 白ワインと白ワインビネガーを入れ、時々混ぜながら、水分がなくなるまで煮詰める。
5. 残りのオリーブオイル20㏄を入れ、粗熱が取れたら、冷蔵庫で一日、冷やす。
6. 5分間ボイルした半熟卵を、きのこの上に盛り付ける。
本日のダンツマ達人…中尾匡宏さん
▽なかお・まさひろ
1966年、豊中市生まれ。高校時代、飲食店でアルバイトしたのをきっかけに料理人を志す。31歳で独立。97年、大阪・箕面市で仏料理店「ケセラセラ」をオープン。03年、店名を変え、豊中に移転。
▽ビストロ・リッペ
リッペとは仏語で「一口のごちそう」の意。ランチは週替わり、ディナーは月替わりでともに3種類。アラカルトは夜のみで約30種類。市場で魚介、肉などお気に入りの素材を仕入れ、信楽焼を中心とした器に盛り付けられる。「おいしく、楽しく、リーズナブルに日常的なフランス料理を」が基本的コンセプトだ。
豊中市末広町1―1―8
℡06・6858・3122(水曜、第3木曜定休日)
(日刊ゲンダイ2018年12月6日付記事を再編集)
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