自分を責めていたら…クリスマスイブに「5分だけいい?」

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-21 18:00
投稿日:2019-11-21 18:00

自分を省みることができない彼女は…

 一方、Gは反省することのできない人間でした。彼女のように自身のファンタジーの土俵で生きている人は、ノッているときは強いのですが、自分の得意なことにしか能力を磨こうとしません。失敗をしても、言い訳をつくるばかりで、その言い訳に自分がいちばん騙されます。

 本人はレズビアンで、男社会への反発を人一倍強く抱きながらも、結局、彼女の武器である人当たりの良さと、愛嬌のある甘え方は、男社会だからこそ通用するものでした。けれど、それにもだんだん、限界が訪れます。

 ある頃から、仕事上でのミスが続くようになりました。私との仕事の中断は、私がセクハラを拒んだことに対する制裁ですが、そうでない他者にも、不信感を抱かせる出来事が続きます。

 彼女は毎回、言い訳をします。信じてくれる人たちだけを相手にするので、彼女の視野はますます狭まり、でも仕事上の立場は落ちていきます。

「自分はこんなに頑張っていて正しいのに、どうして上はわかってくれないの」

 自分を省みず、ひたすら相手を操ろうとしか考えられない彼女は、変わらない対象を恨むことで疲弊していきました。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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