「信じてくれる人もいる」壮絶セクハラの果てに見えた光明

うかみ綾乃 小説家
更新日:2020-02-10 07:00
投稿日:2020-02-10 07:00

恨みと焦燥を募らせたGの次の行動は……

 それまでは、どうすればGに嫌ってもらえるんだろう、と無意識に、冴えない人間になりたがっていたとも自覚しました。

 お洒落は楽しい。好きな人たちと会うのも楽しい。好きな人たちに好かれたいと頑張ることで、自分も前進する。

 ここで、好かれようと頑張るのではなく、相手を貶すことで自分の行為を押し付けようとするGの心理は、やはり暴力であったんだ。もうGとは関わらない。良かった、縁が切れて、すっきりした!

 と、せっかく過去を振り返らないお気楽姿勢で生きていたので、Gもそこで止めておけば良かったのです。

 ですが、彼女にとって、その数ヶ月間は、「お仕置きしたのに、反省して連絡を寄こしてこない綾さん」への、恨みと焦燥の募らせ期でした。

 そしてそれまで周りの人に、「綾さんてね、こうこうこうなのよ」と、自分がいかに私のことを知っているかを自己顕示していたのと同じノリで、今度は私を悪く言いはじめたのでした。

 人当たりだけは、抜群に良い彼女だったのに。

 周囲としては驚きです。

「あんなに『綾さん、綾さん』と言っていたGさんが、しかも仕事上の担当の立場で、いきなり綾さんを貶しだすなんて、どういうこと?」

 心配&興味で、私に問いただしてきます。

 少し心が軽くなっていた私は、中途半端に理由を言ってみました。

「Gさんって実はレズで……(笑)勝手に私に執着して、勝手にキレちゃったみたいです(笑)」

 彼らの反応は、真剣に、「あ、なるほど」。

 (笑)で話していた私は、びっくりしました。

 え、信じてくれるのですか……!?

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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