付け合わせじゃもったいない!
栗を渋皮ごと油に入れるのを見て、思わず「えっ、そのまま!?」と聞いてしまいました。
「この渋皮が衣がわりになるんです。店では、実が大きくしっかりとした甘味が特徴の『利平』というブランド栗を使っています。皮ごと素揚げにすることで、実のうまさが際立っていませんか?」
そう坂下さんが言うように、カリッカリに揚がった渋皮の香ばしさが、ホクホクになった実の甘さを引き立てています。
これは絶品です。お店ではこの栗の渋皮揚げを、「料理の付け合わせにすることが多いですね」というから、なんともぜいたく。取材前日はマツタケのリゾットに添えたそうですが、いやいや、酒のさかなとしてはこちらが主役でしょう。
坂下さんが、常備する約50種の日本酒の中から「香りとうま味のバランスがいい」と選んでくれたのは宮城の地酒、日高見のひやおろし。味覚の秋を実感するのに、これ以上の一品と一杯はないのではないでしょうか。
【材料】
・生栗 3個
・塩 適量
【レシピ】
(1)栗のお尻の部分を包丁で薄く切り落とし、鬼皮(外側の硬い皮)を剥く。
(2)渋皮がついたままの栗を170度の油で約5分揚げる(竹串がスッと入ればOK)。
(3)揚がった栗をボウルに入れ塩をまぶして完成。
本日のダンツマ達人…坂下俊さん
▽坂下俊(さかした・しゅん)
1985年、岩手県久慈市生まれ。水産高校の食物科を卒業後、豪州に留学。現地レストランの厨房で料理人としてのキャリアをスタートさせ、帰国後は横浜の中華街、フレンチ、パスタ専門店などで腕をふるった。その後、都内の和食店で料理と日本酒を学び、今年1月に独立。確かな料理はもちろん、丁寧で明るい接客にファン多数。
▽さかづき
坂下さんが2019年1月にオープンさせた、立ち飲みの割烹料理店。料理はおまかせのみで、3品1500円、6品3000円の2種。日本酒は常時50種類以上が用意され、1杯650円。カジュアルな立ち飲みスタイルながら、クエやマツタケなどの高級食材を惜しげもなく使った本格的な料理と酒がリーズナブルに味わえると、早くも下町の人気店になっている。中央区月島3―11―11 マガザン月島Ⅲ1階。
(日刊ゲンダイ2019年10月22日付記事を再編集)
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