あなたの避妊は一回いくら?#3…海外より選択肢が少ない日本

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2019-08-28 08:16
投稿日:2019-04-17 06:00

出産するのも中絶するのも女性。それなのに…

 3月23日に開かれた『第1回 大人の性教育勉強会』(後援:コクハク)。NPO法人ピルコン理事長・染矢明日香さんから最先端の性教育について、#なんでないのプロジェクト代表・福田和子さんから海外の避妊事情について、筆者・神田つばきからは更年期障害について話をしました。

日本にはなんでもあると思っていたけれど

 スウェーデンに1年間留学した福田さんが驚いたこと。それは日本にはない避妊法がたくさんあり、それらが安価だったり無料だったりすることでした。 “避妊インプラント”“避妊注射”“避妊シール”など、いずれも日本では聞いたこともありません。

 スウェーデンだけが進んでいるのではありません。
支援の必要な国の女性に製薬会社がインプラントを半額提供した実績もありますし、現在、海外から働きに来ている女性の中には日本では避妊方法が少なくて困っている人も多いと聞きます。

 単純にどの避妊法がいちばん良い、この避妊法は時代遅れだ、ということではなく、選択肢がたくさんあって手に入れやすい価格になれば、誰もが自分のライフスタイルに合った避妊法を選べます。

若い人だけの問題ではない“避妊の失敗”

 私は30代でIUD(子宮内避妊用具)を入れました。避妊に失敗して人工妊娠中絶手術を受け、その病院で「もう失敗したくない」と相談したのです。でもこれ、よく考えたら順番が逆というか、逆だったら中絶手術はしないで済んだはず!

 人工妊娠中絶手術は健康保険適用外です。基本的に入院しない日帰り手術ですが、検査代などをふくめると12万円~14万円ぐらいかかります。避妊に失敗することで、精神的にもつらい思いをしながら、まとまったお金が必要になるのです。

 厚生労働省が平成30年10月に発表した『平成29年度衛生行政報告例の概況』をもとに、年代別の人工妊娠中絶実施率をグラフ化してみました。

 避妊の失敗は10~20代の若い人だけの問題ではないことがわかります。私が望まない妊娠をした経緯も、産後からセックスレスになり、旅行にコンドームを持っていかなかったことが原因でした。

 コンドームは性病の感染予防や、セックスの経験のない子が常備しておくのに向いているというメリットがあります。その一方で、“使ってもらえるかどうか”は男性の意志次第、という点が問題です。

 出産するのも中絶するのも女性なのですから、女性主体の避妊方法が多くなってほしいと思います。

避妊にまつわる女性の負担を軽減するために

失敗したら中絶手術するしかないの?

 

 避妊に失敗してしまった―そんなときの、次の月経が来るまでの不安な気持ちは女性にしかわからないものでしょう。このまま来なかったら中絶手術しかない……と恐怖に苦しむ人もいます。
そこで、アフターピル(緊急避妊薬)というホルモン避妊薬を飲むことで、受精卵の着床をふせぐ方法があります。手術より負担も小さいですが、

・避妊効果は80%前後
・吐き気など、多少の副作用の可能性
・行為から72時間以内に服用する
・医師の診断により処方する
・価格は10000円前後

 などの注意すべき点があります。

 アフターピルの効き目(避妊成功率)は時間とともに減少していきます。夜間や休日に必要が生じると、すぐに手に入らず手遅れになってしまうかも知れません。

 福田さんによれば、「アフターピルは世界86か国で市販されていて、価格も数百円から数千円なのです」とのこと。福田さんと染矢さんはアフターピルが市販で買えるように(OTC化)、署名や院内勉強会などの活動をしています。

 3月29日に厚生労働省は「緊急避妊薬のオンライン診療での処方」について検討会を開いたとのこと。この議論はまだまだこれからですが、肉体的にも精神的にもそして経済的にも、避妊にまつわる女性の負担が一日も早く軽減されてほしいものです。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

エロコク 新着一覧


ホスト依存と買い物依存は根っこが同じ…女性たちが貢ぐなぜ
 ホストに貢いでしまう女性のことが、しばしば話題になります。その時なぜか、ホストは常に悪者扱い。「あんなに貢がせてヒドイ...
内藤みか 2019-03-07 17:24 エロコク
マッチングアプリで2回目デートに誘われるための2つの法則
 マッチングアプリを使った出会いも当たり前になってきましたね。月に何回もデート相手が見つかるようになっている方もいると思...
世界のTENGAのカップル向け商品 オススメは騎乗位か正常位
 先月から始まった「幸せになれるラブグッズ」ですが、幸せといっても、1人で感じる幸せ、2人で感じる幸せと、それぞれありま...
桃子 2019-11-12 04:34 エロコク
マッチングアプリで外国人とも出会えるこのごろですが……
 歌舞伎町で27歳の女性が、自称英国人の男性にバッグを奪われそうになったうえに刃物で切りつけられる事件が発生しました。女...
内藤みか 2019-03-04 06:00 エロコク
出会い編<1>精神的にも年齢的にも“一番遠い人”に一目惚れ
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
興味はあるけど…“出会い系”で会える男性って本当はどう?
 最近、男女の出逢いのきっかけとしてめざましい発展を遂げている出会い系サイトやマッチングアプリ。  けれどプロフィ...
初めての中イキ体験できるかも 輪っかの持ち手がポイント
 目にした瞬間に「あ、これは気持ちよさそう」と思うバイブがあります。サイズや素材もそうですが、私はその形状を見てそう思う...
桃子 2019-11-12 04:34 エロコク
なぜ人気? 女ですがVRでアダルト動画観た感想を書きます
 今、アダルト動画ランキングに異変が起きています。大手動画サイトのランキングは、その半数近くがVR動画になっているのです...
内藤みか 2019-08-27 16:21 エロコク
常連客は若い男性…高齢者風俗嬢は世界的に増加するのかも
 あたらしいもの好きの作家・内藤みかです。最近は性風俗の高齢化について考えています。  人生100年時代と言われる...
内藤みか 2019-03-12 16:20 エロコク
まずは老人愛=ジェロントフィリアについてお話しします
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものか。ホッ...
試したいけど言い出せない…「ソフトSM」おねだりの仕方
 女性もセックスに積極的になってきたとはいえ、まだまだ自分のやりたいことなど口に出すのは恥ずかしい、という人が多いのでは...
一目惚れしたローター…鮮やかなかわいい黄色が心躍らせる
 まだラブグッズを使ったことがないという女性には、まずバイブレーターではなくローターを使うことをオススメしています。昨今...
桃子 2019-11-12 04:34 エロコク
どちらも痛いけど…DVとSMの違いについて考えてみました
 こちらでは、はじめまして。作家の内藤みかと申します。私は、あたらしもの好きです。いろいろな新しいモノやコトを試したり観...
内藤みか 2019-03-06 20:31 エロコク
機能もルックスも超優秀…多彩に快楽を引き出す最新バイブ
 はじめまして、バイブコレクターの桃子です。これまで国内外のラブグッズ350種超を試してきた経験から、どんなグッズがいい...
桃子 2019-11-12 04:33 エロコク