更新日:2022-06-12 16:39
投稿日:2022-06-03 06:00

「もう我慢できないの…欲しい」

――続けてください。

「私はもう我慢できずにいました。車内では乳房を揉みしだかれ、今はパンティごしのアソコを弄られている。

 時々読む性愛小説では、女性みずから服を脱いだり、男の股間を触って誘う場面も珍しくありません。

 だからでしょうか、私もつい言ってしまったんです。

『もう我慢できないの……欲しい』って。

 北海道ののどかな田舎に住むK君は、びっくりしたかもしれません。もしかしたら、なんてふしだらな女だと感じたかもしれません。

 でも、私は欲望に忠実に、本音を告げてしまったんです。

 本来なら女性は受け身となって、男性のリードに任せるべきと保守的な考えもあるでしょう。

 しかし、私はそう言わずにはいられなかった。

 欲しくて欲しくてたまらない。K君のオスの部分で貫かれたい。ひとつになりたい衝動が、ますます肥え太っていきました」

結婚指輪の感触に心乱れて

――続けてください。

「ほの暗い照明のもと、私たちは服を脱ぎ、再びベッドに横たわりました。背を向ける私の体を、K君が後ろから抱きしてくれて……。

『ああ、憧れのK君と裸で抱き合っている』――私はその腕をギュッとつかみました。

 互いの汗やほのかな体臭が、鼻腔を刺激します。

 本来ならシャワーを浴びるべきですが、今は一秒たりとも彼と離れたくなかった。

 私の手が彼の腕から手首へと下り、指を絡まていたその時、私は手の動きを止めました。結婚指輪のつるりとした感触が指に当たったからです。

不貞は承知の上…燃え上がる欲情の炎

 一瞬にして、私の心は乱れました。

 彼はどんなふうに奥さんを抱くの――?

 こんなふうに、彼は奥さんを優しく抱きしめるの?

 今だけは、私だけのK君でいて――。

 不貞を承知で、私の欲情の炎はいっそう燃え上がっていったんです。

 私は体を反転させ、彼と向き合いました。互いの吐息がぶつかり合い、彼の潤んだ瞳の中に私が映っていました。

 再び唇を吸い合うと、彼の手は私の体をまさぐってきたんです。

 乳房を揉み、乳首が舐めしゃぶられました。

『すごく綺麗だよ』と囁きながらの愛撫に、私はうっとりするばかり……。生温かな唾液と舌づかいは本当に気持ちよかった。やがて、私のウエストから尻を伝いおりた手は、陰毛を梳いたのち、肉ビラに触れたんです」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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