白子の美味しさを最大限に味わえる「タチ入りキンチャク」

コクハク編集部
更新日:2019-05-29 05:54
投稿日:2019-05-01 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は北海道・旭川の老舗居酒屋「独酌・三四郎 」の西岡美子さんに、北海道ならではのおつまみ「タチ入りキンチャク」のレシピを教えていただきました

トロ~リ白子を最大限においしく

 北海道の冬の味覚といえば、これ。「タチ(スケトウダラの白子)」を忘れちゃあ、始まりません。湯引きしてポン酢で和えたり、天ぷらにしたり。火を通すことでぐっと味が凝縮されるタチだけに、うま味を逃さずいただく「袋煮」は実に理にかなった調理方法です。

 こちらは旭川生まれ、旭川育ちの女将が考案した一品。一口食べると分かるのですが、溶き卵を合わせるアイデアが実に効いています。味わいに深みが増し、甘い味付けにぴったり。

 もちろん、新鮮な白子が手に入らなくても大丈夫。「タチの代わりに生卵を入れてもおいしいですよ」と、女将の高校時代の同級生で現在は右腕として支える女性スタッフが教えてくれました。

 さっそく生卵で作ってみたところ、甘めの味付けでふっくらと煮上がり、心安らぐアテが完成。生卵を代用する場合は溶き卵は不要です。口の中でトロリととろけるタチ特有の舌触り……とはいかないけれど、フトコロには優しいおつまみができました。

【材料】

・タチ(スケトウダラの白子) 200グラム
・油揚げ(小) 5枚
・溶き卵 1個分
・だし汁 適量
・砂糖 大さじ3
・酒、醤油 各大さじ2

【レシピ】

1. タチは流水で軽く洗って、水気をきり、一口大に切る。
2. 油揚げは菜箸を転がしてのし、端を切って袋状にする。熱湯を回しかけて油抜きをする。
3. 2の中に1のタチ、等分した溶き卵を入れ、ようじで口をとめる。
4. 鍋に3と残りの材料を入れ、中火で15分ほどコトコト煮含める。だし汁の分量の目安はキンチャクが浸るぐらい。
5. 火を止めたらそのまま冷まし、ようじを取って皿に盛り、水菜(分量外)を飾って出来上がり。

▽どくしゃく・さんしろう
 1946年創業の老舗居酒屋。道北最大の歓楽街「三・六街」に店を構え、作家の太田和彦氏からは「北海道一の名居酒屋」と評される。ちょっぴり風変わりな店名は、酒の強かった初代主人が「姿三四郎が柔の六段なら俺は酒呑みの六段」と豪語して名付けたもの。地元客はもちろん、出張族や観光客が訪れるが、喧騒とは無縁。カウンターでひとり、じっくりと杯を傾けてひたすら静かに飲める幸せがここにある。

 テレビドラマ「孤独のグルメ」にも出演した2代目主人が2017年9月に他界。現在は引き続き、妻で女将の西岡美子さんが切り盛りする。利き酒師や日本酒学講師の資格を持つ女将が目利きした日本酒は、いずれも地の旬の食材を使った一品にピタリと合う。
北海道旭川市2条通5丁目左7号(日祝休)
℡0166・22・6751

(日刊ゲンダイ2018年3月14日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


お米を前菜として食べる 赤ワインに合う「ライスコロッケ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神田のビストロ「関山米穀店」のオーナーシェ...
これぞツマミ!ハイボールが飲みたくなる「ラー油きゅうり」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座のバー「ロックフィッシュ」店主・間口一...
「旨キャベツ炒め」新鮮なモツと赤ウインナーの懐かしい味
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・お花茶屋にある居酒屋「東邦酒場」の遠藤泰典...
イタリアンおつまみ「ゴーヤのアンチョビマリネ ユッケ風」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・六本木ヒルズにあるイタリアン「オッジ・ダル...
2020-07-15 06:02 フード
20分で完成 うま味とコクたっぷり「鳥ひき肉と豆のカレー」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座の和食店「かこい亭」の栫山賢一さんに、...
ひき肉とキャベツと混ぜて焼くだけ「紅ショウガハンバーグ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・大井町にあるテキーラバー「Gatito」の...
6時間待てばプロの味 「アユのコンフィ」は暇な土日の午後に
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神田のビストロ「関山米穀店」のオーナーシェ...
発酵食品を組み合わせ キムチとチーズで「キムチーズサンド」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座のバー「ロックフィッシュ」店主・間口一...
彩り野菜と「鶏の白ワイン蒸し」スープは締めの一杯に最高
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は兵庫・芦屋のビストロ「Isshiki」の一色幸作...
いろいろ使える自家製「そば味噌」 夏の燗酒には最高の相棒
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・築地の「そば処 築地長生庵」の松本憲明さん...
「厚揚げの麻婆豆腐」揚げにしみ込んだピリ辛がたまらない
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・西荻窪の居酒屋「じんから」の堅谷博さんに、...
「さば缶のリエット」バターと混ぜて冷蔵庫で冷やすだけ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前のワインビストロ「アミニマ」の阿部真...
締めに食べたい「〆鯖サンドイッチ」 わさびバターで洋風に
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・渋谷にある「小料理 百けん」の松﨑友江さん...
外出自粛で体重が…ヘルシーだけどおいしいスープで調整!
 外出自粛中に運動がなかなかできず、体重が増えて気になる……という方も多いのではないでしょうか? 私たちもみなさんと同じ...
ぐっち夫婦 2020-07-31 11:31 フード
「サーモンのタルタル、グリビッシュソース」中華風の味わい
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・学芸大学のフレンチレストラン「トキヤ」の飯...
ガラス小鉢で涼しげに…「夏野菜のジュレ」で暑さを忘れる
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・築地の「そば処 築地長生庵」の松本憲明さん...