老け疲れ顔の原因No.1目の下のクマ! 種類別、ヒアル顔回避の治療法は?【目元の美容専門医師が解説】

増田えりか 医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
更新日:2024-10-29 06:00
投稿日:2024-10-29 06:00
 東京・赤坂にある「イートップクリニック」院長の増田えりかと申します。この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。
 今回は、老け顔・疲れ顔の原因No.1とも言われる『目の下のクマ』について。目元の美容専門医師の増田えりかが解説いたします。

目の下のクマは主に3種類、どのタイプ?

 コロナ禍によって、日常生活でマスクを装着する機会が多くなりました。顔全体より目元だけで、目の前のお相手を認識したり、自分自身も顔の半分以上が覆われた顔を鏡越しで見て、目元が思いのほか老けているなあと気が付いたり…(苦笑)。

 くしくもパンデミックが後押しする形で、美容医療を上手に取り入れ、“なりたい自分”を目指す――そんな需要が増えてきたように思います。

 目の下のクマには、大きく3種類に分かれます。

A. 黒クマ…目の周りを取り囲んでいる脂肪が突出して影ができているタイプ
B. 赤クマ…血管や筋肉が透けているタイプ
C. 茶クマ…皮膚に色が付いている色素沈着タイプ

 数としては黒クマが最も多く、次に赤クマ、茶クマと続きます。


【読まれています】額と眉間のボトックスは、美容クリニックで最も多いクレーム!?【目元の美容医療に定評ある女医が解説】

【3タイプ別】クマができる原因、治療法、予防法

A. 黒クマ

【原因】

 目の周りを取り囲む脂肪が生まれつき多い、脂肪が加齢により重力で下がってくる、脂肪を支えている組織が緩んできて突出してくるなど。

【治療法】

その1:「ヒアルロン酸注入」

 ヒアルロン酸は生体に馴染みの良いジェルで、1~2年で加水分解され体内に吸収されていきます。費用は1本(1cc)約5万円~10万円目安と、比較的お手軽で、脂肪吐出の下部にある谷の部分に注入すると、クマは“即座”に目立たなくなり、ダウンタイムのほぼない治療として、当クリニックでも多くの方に施術しています。

 ただし、デメリットもあります。前出の箇所にヒアルロン酸を複数回注入すると、皮膚の伸びに繋がり、だんだんと不自然なお顔立ちに。追加で施術し続けると頬がパンパンになり、俗に言う「ヒアル顔」になってしまうので注意が必要です。

 ほどほどのタイミングで、ヒアルロン酸を溶解して手術に切り替えるのがベターとされ、自然な若返りには、美容手術が有効な選択肢となります。

その2:「目の下の脂肪突出の手術」

 目の下の脂肪突出の手術は、突出の程度や年齢により異なります。医師により様々な方法を提唱しているので、一意見として参考にしてください。

 脂肪の突出が少なく皮膚にハリがある20~30代では、瞼の裏側からの切開で脂肪の切除(脱脂)を行うのが一般的です。ただし、この方法では皮膚にシワが増える、凹む、再突出するなどの欠点があります。

 笑った時にもクマの目立つ、目の下の骨の縁に沿って骨と皮膚のくっつき(癒着)が強いタイプは「裏ハムラ法」がおすすめです。

 裏ハムラ法とは、脱脂と同様に瞼の裏側からの切開で骨と皮膚の癒着を剥がし、脂肪を切除せず、その隙間にずらす治療です。クマに見える原因の谷の部分をサステナブルに埋めることができ、理にかなっている治療といえるでしょう。

 私自身も脱脂を行った5年後にクマが再発し、裏ハムラ法と頬のボリュームを出す脂肪注入で治療しました。

 40代以上では、20~30代と比較すると老化により伸び縮みしにくい皮膚となり、瞼のハリが失われています。脂肪の突出を治療すると皮膚が余り、支えていた筋肉のたるみも出てきてしまうので、脂肪をいじるだけでは解決しにくいのです。

 そこで、余った皮膚の切除と、筋肉のたるみを解消する固定(眼輪筋吊り上げ)が必要となります。下まつげのキワを切開し、裏ハムラ法と同様に脂肪の移動も行う「表ハムラ法(切開ハムラ)」という方法で、50代以上では周囲にバレずに“10歳程若返る”治療としてとても人気です。

【予防法】

 よく笑い、よくリアクションする、目周りの筋肉が強い方は皮膚や筋肉のたるみが出やすく、重力によって下がる脂肪が突出してくるので、目尻のボトックスは一定の効果があります。逆にYouTubeなどでよく見かける、目の下のたるみ予防の眼輪筋の筋トレ(筋肉を過剰に動かす行為)は、逆効果ですので行わないほうがいいでしょう。

B. 赤クマ

【原因】

 まぶたの皮膚が薄い人は、血管や筋肉が赤く透けてみえることがあります。頬の皮膚は厚いため、まぶたから頬に切り替わるとろがクマの境界線となり赤クマとなります。

【治療法】

 クマの中でも治療が難しいとされ、皮膚を厚くするためのコラーゲンを増やす注射(ベビーコラーゲン®等)や、マイクロナノファットと呼ばれる極小に細断した脂肪を注入する手術などがあります。

【予防法】

 寝不足でクマが目立ちやすい方は、目周りの血の巡りが悪くなっている可能性があります。力を入れすぎないよう十分に注意した上で、付近のリンパ節をやさしくマッサージするのも良いでしょう。

C. 茶クマ

【原因】

 皮膚に色が付く主な原因は炎症と乾燥、そして紫外線です。アトピーやアレルギーなどで目をこする癖があり、慢性的に赤みが出たり、皮がむけたりしている状態に、追い打ちをかけるように乾燥と紫外線が加わるとメラニンが大量に生成され、茶色く色素沈着してしまうのです。

【予防法】

 何はともあれ瞼をこする癖を改善したいところ。就寝中に擦ってしまう方も多いので、アイマスクを利用するのもいいでしょう。皮膚を乾燥させないよう、目元美容液などを使用して保湿をしっかり行い、炎症が起きにくい状態にしておくことも大事です。十分な保湿や紫外線対策をした上で、美白効果のあるクリームをうまく味方につけたいところです。

  ◇  ◇  ◇

 いかがでしたか? 目の下のクマひとつとっても、アプローチや治療方法はさまざまです。基本的な知識を理解したら、まずは、しっかりとトレーニングを積んだドクターのいる安心安全な美容クリニックを選びましょう。

 そして、カウンセリングで希望や不安をきちんと伝えることが大切です。次回は目の上のたるみについてお話しします!

 美容医療にまつわる知りたいこと、聞きたいことなどありましたら、コメント欄(執筆者は「増田えりか」を選択)へのメッセージをお願いします^^

「イートップクリニック」院長/増田えりか

 2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

増田えりか
記事一覧
医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
「イートップクリニック」院長。2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

病院HPYouTubeInstagram

関連キーワード

ビューティー 新着一覧


安いけど…セルフ縮毛矯正の効果はある?頻度・値段・やり方
 やっかいなくせ毛の悩みを解決してくれる「縮毛矯正」。でも、美容院でやると値段も高いし、時間もかかってしまいますよね……...
2021年最新!雑誌の付録でおこもりケア♡ 自分磨きで美肌get
 冬休み中の自分磨きに、部屋も肌も大掃除してみてはいかがでしょうか? 旅行やパーティーなどができない今だからこそ、おこも...
正月太りはなぜ起こる?原因&誰でもできる6つの予防方法
 正月休みに入ると食べては寝て、食べては寝て……を繰り返してしまう人も多いはず。しかし、それゆえに太りやすい時期でもあり...
帰省中にも♡ 義母とのコミュニケーションに役立つコスメ3選
 年末年始は、義母と顔を合わせる機会が増える女性も少なくありませんよね。夫の実家との距離感にかかわらず、義母と過ごす時間...
鍋や包丁は不要♪ もやし効果を活かす時短ダイエットレシピ
 お手頃価格で手に入れやすい「もやし」。シャキシャキとした歯ごたえでカロリーも少なめという魅力的な食材ですが、そのまま食...
出合えてよかった!コロナ禍に美容家が重宝した時短美容品3選
 2020年は、“コロナ禍”という特殊なシチュエーションだっただけに「この美容アイテムに、出合えてよかった!」も、例年と...
イマイチ眉になってない? 残念なポイント&正しい描き方♡
 眉毛って、実は結構見られていることを知っていますか? しかし、それにも関わらず、肌やアイメイクには力を入れても眉毛は手...
美容代にお金かけすぎ!? 一番にお金をかけるべきもの7選
 あなたは、美容にどのくらいお金をかけていますか? エステ、スキンケア、ヘアケア、コスメ、美容家電など、挙げ始めたらキリ...
“水は1日2リットル”って本当? 効果や正しい飲み方を紹介
 よく「水は1日に2リットル飲むと健康に良い」と、言われますよね。実際に、美意識の高い女性は毎日量に気をつけて、水分補給...
プチギフトに入浴剤のススメ!至福の癒しバスタイムを贈ろう
 年末年始はお世話になったあの人に、プチギフトで感謝の気持ちを伝えたい! でもこのご時世、会う機会がなくなって渡しそびれ...
一重の人必見♡“デカ目メイク”のポイント&似合うカラー
 日本人では珍しくない「一重まぶた」は、クールでミステリアスな印象が素敵です。でも、やっぱり「クールもいいけど大きなぱっ...
デートで男性ウケが悪いNGコーデって?5つの特徴と注意点
 大好きな彼とのデート、女性なら誰もがコーデに気合いが入りますよね。しかし、どんなに頑張っても、男性ウケが悪いコーデだと...
美容家が太鼓判!ベタつきを感じないハンドクリーム3選
 感染症対策の手洗いやアルコール消毒を徹底することが影響し、例年よりも手荒れにまつわるお悩みが数多く聞こえてきます。ハン...
この“太眉”ダサい?失敗例&理想の眉毛の描き方3つのコツ
 細眉ブームが過ぎ去って、世の中はすっかり太眉ムードに! でも、ちょっと待って。その太眉、もしかしてダサく見られているか...
まつ毛を伸ばしたい!抜ける原因&健康なまつ毛を目指す方法
「まつ毛を伸ばしたい!」と思っている女性は多いですよね。濃くて長いまつ毛のほうが、目元が大きく見えますし、第一印象にも大...
BBクリームとファンデーションの違いは? 賢い併用方法♪
 BBクリームといえば、なんとなく「いろいろな機能が一つになった便利なファンデーション」と思っている人が多いでしょう。で...