コラーゲンの塊を残しておいて…
食材のチョイスや作り方もさることながら、食べ方にひと工夫あるのが福田流。この一皿も食いしん坊ならではのおツマミです。
「鳥は、手羽先と手羽先正肉を使います。これを乱切りした大根と一緒に、コンソメを加えて30分煮るだけ。手羽の煮込みはコラーゲンが固まるので、冷蔵庫で冷やして召し上がってください。でも、コラーゲンの塊は全部食べ切らずに、少し残しておいてくださいね」
何かを隠したような顔で笑いました。
なるほど、手羽先は骨離れがよく、ドゥルッとしたコラーゲンの塊が肉としっかり絡んで、口いっぱいにウマ味が広がります。店で出すなら鳥ガラで3時間ダシを取りますが、家庭ならコンソメなど市販のダシで十分。それでも立派な冷やし鳥になります。好みでゆずこしょうを合わせると、より一層、芋焼酎が進みます。残しておくのはもったいない……。
「残ったコラーゲンに水を少し加えて火を入れ、スープに戻します。そのスープをそうめんにかけて、冷麺風に食べるとおいしいんです。一皿で2つの食べ方はズルいかな?」
のんべぇの食欲を刺激する心憎い演出。ウマければ、いい~んです!
おすすめに従って、冷麺のように酢をかけてカラシをのせて一口。これまで食べたそうめんの中で最もおいしい! 酢の酸味とカラシが、シメのような料理を見事なおツマミに仕上げてくれます。どちらも芋焼酎にぴったり。
【材料】(4人分)
・手羽先 8本
・手羽先正肉 4本
・大根の乱切り 8つ
・水 600㏄
・コンソメ 1つ
・そうめん 4束
【作り方】
鍋に食材を入れたら、たっぷりの水を張る。「たっぷり」とは、水が食材をひたひたに覆うよりもう少し多めの量だ。それより少ないと、30分煮込む間に水が蒸発。スープが足りなくなる。“ひたひたより多め”は、蒸発する水分を考慮してのことだ。
味付けは、コンソメで。30分煮込んだら粗熱を取ってから、器によそって冷蔵庫へ。コラーゲンは大さじ2杯ほど残しておき、スープの分だけ水を加えて温める。
本日のダンツマ達人…福田利明さん
▽ふくだ・としあき
埼玉県朝霞市出身。東京・銀座を中心に修業を重ねて、15年前に独立。丁寧な仕事で素材を引き立て、色鮮やかに、なおかつ惜しみなく盛り付けるのは、大柄な体格の“ヘビー級料理人”ならでは。
▽ふく田
築地で仕入れた新鮮な魚介を中心に、ひと手間加えた料理で客をもてなす。初めて訪れた人はまるで“一品料理”のような突き出しに驚く。「ゆっくり食べてほしい」との思いから、店は1回転のみ。ダッチオーブン仕上げの「やまゆりポーク」ほか名物料理多数。ミシュラン掲載。日・月曜休。PM6~9(LO)。 東京都江東区牡丹3―27―6。
(日刊ゲンダイ2017年9月6日付記事を再編集)
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